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高尿酸血症/痛風【こうにょうさんけつしょうつうふう】

家庭医学館

こうにょうさんけつしょうつうふう【高尿酸血症/痛風 Hyperuricemia / Gout】
◎尿酸結晶が関節や腎臓(じんぞう)に沈着
[どんな病気か]
[原因]
[検査と診断]
◎関節炎や結節がみられる
[症状]
◎まず食生活の改善を
[治療]
[日常生活の注意]
[予防]

[どんな病気か]
 尿酸(にょうさん)ということばから、尿が酸になる病気とイメージされるかもしれませんが、そうではありません。すべての人の血液の中に尿酸という物質は含まれているのですが、その濃度(血清尿酸値(けっせいにょうさんち))が高くなる病気を、高尿酸血症(こうにょうさんけつしょう)といいます。
 血清中の尿酸の値が1dℓあたり7mg以上あれば、高尿酸血症と診断されます。
 血清尿酸値は一時的に高くても、なんの症状もでませんが、高い状態が続くと、尿酸は静かに着実に、おもに関節に沈着していきます。
 尿酸は針状の結晶ですので、痛覚神経を刺激して、突然キリで刺すような激しい痛みをおこします。これが痛風(つうふう)です。
 患者さんの90%以上は男性です。

[原因]
 高尿酸血症と痛風に分けて説明しましょう。
●高尿酸血症の原因
 健康な人では、毎日700mgの尿酸が、肝臓でつくられます。そのうち500mgが尿中に排泄(はいせつ)され、200mgが汗や便(べん)の中に排泄されます。
 つくられる尿酸の量が多くなるか、尿中への排泄が抑えられると、高尿酸血症になります。
①つくられる尿酸の量が多い場合
 高(こう)プリン食(しょく)の過大摂取 尿酸は肝臓でつくられますが、その原料はプリン体(たい)(アデニン、グアニン)というものです。このプリン体は、細胞の核に含まれている物質で、動物にも植物にもあります。ですから、多くの食物の中にはプリン体が含まれているのです。
 食品中に含まれているプリン体の量は差がありますが、多く含まれている食物は高プリン食と呼ばれています。
 高プリン食を多くとると、肝臓に尿酸の原料がどんどん送られるため、血清尿酸値が高くなります。
 多くの血球(けっきゅう)が壊れる病気 血液中の赤血球(せっけっきゅう)と白血球(はっけっきゅう)にもプリン体が含まれています。
 健康な人でも、1日に決まった数の赤血球・白血球が自然に壊れ、その中に含まれているプリン体が血液中に放出され、尿酸に変わっていきます。
 しかし、健康な人の場合より、はるかに多くの赤血球や白血球が壊れる病気があります(「高尿酸血症をおこす血液疾患」)。
 こうした病気では、血液中に放出されるプリン体も大量になるために、血清尿酸値が高くなります。
 激しい運動 個人の運動能力の限界に近い激しい運動、たとえば非常に速く走る陸上トレーニングとか、重量挙げをくり返したりすると、筋肉から血液中に、別の尿酸の原料(キサンチンなど)が大量に流れ込み、一時的に尿酸が高くなります。
②尿中への排泄が抑えられる場合
 薬剤 病気を治す薬のなかに、尿酸が尿中に排泄されるのを抑えるものがあります(表「高尿酸血症をおこす薬剤」)。高血圧の治療薬である利尿薬(りにょうやく)は、高尿酸血症をおこすことで有名です。
 腎臓(じんぞう)の病気 慢性糸球体腎炎(まんせいしきゅうたいじんえん)や多発性嚢胞腎(たはつせいのうほうじん)など、原因が何であっても、腎機能が低下してくると、血液の濾過(ろか)がうまくできなくなり、たくさんの老廃物が体内にたまってきます。
 尿酸もその1つで、腎臓病の患者さんには、高尿酸血症がみられます。
 肥満 太っている人は、尿酸の尿中への排泄量が減ります。
 実際、肥満の程度が強いほど、血清尿酸値が高い傾向がありますので、肥満が排泄力低下の原因になっていると考えられています。
③つくられる尿酸も多く、排泄も抑えられている場合
 これは飲酒によっておこります。ふつう、飲酒量の多い人は、血清尿酸値が高くなっているものです。
 誰でもアルコールを摂取するだけで血清尿酸値が上がるのですが、いつも大量のアルコール飲料を摂取している人では、とくに血清尿酸値の上がり方が激しくなります。つまり、いつもアルコール飲料を大量に飲む人は、痛風にかかりやすいわけです。
●痛風の原因
 痛風は、高尿酸血症が原因となっておこります。1990~95年の人間ドックのデータを調べると、成人の20%が高尿酸血症になっています。
 人によって差はありますが、尿酸の高い状態が5年、10年と長く続くと、痛風発作(つうふうほっさ)がおこるのがふつうです。

[検査と診断]
 早朝の空腹時に採血して、血清尿酸値が基準値(1dℓあたり7mg)以上あれば、高尿酸血症と診断されます。
 尿酸は水に溶けにくく、基準値以上になると、全身に沈着し始め、関節炎(かんせつえん)と痛風結節(つうふうけっせつ)という症状をおこします。
 痛風の診断は、この2症状と、診断基準によって行なわれます(表「アメリカリウマチ協会の痛風診断基準」のc)。

[症状]
 おもな症状として、痛風性関節炎と痛風結節(しこり)がみられます。
■痛風性関節炎(つうふうせいかんせつえん)
 もっとも典型的な例は、ある日突然、足の親指の関節、とくにつけ根の関節(第1中足指節関節(だいいちちゅうそくしせつかんせつ))に、針を刺すような激しい痛みが生じ、赤くなって腫(は)れてきます。これが痛風発作(つうふうほっさ)です。
 この症状は、24時間以内にピークに達し、約10日で自然に消えます。
 痛風発作は、手足のどの関節にもおこりますが、大部分(70%)は足の親指の関節に現われます。
●軽症
 初めて痛風発作があっても、その後、出現しない時期が続きます。これを間欠期といいます。
 40%の患者さんでは、1年以上もたってから2回目の発作がおこります。
 こうした発作は、前ぶれなくおこるので、急性痛風性関節炎(きゅうせいつうふうせいかんせつえん)といいます。
●重症
 病気が重くなると、複数の関節が障害され、しかも間欠期がなくなって、いつも痛みが続くようになります。
 この状態を、とくに慢性痛風性関節炎(まんせいつうふうせいかんせつえん)といいます。
■痛風結節(つうふうけっせつ)
 尿酸が軟骨の内外に沈着して、外から結節(しこり)として触れる場合があります。これを痛風結節といいます。結節の60%は耳たぶ(耳介(じかい))にみられ、ほかに足関節(そくかんせつ)、肘関節(ちゅうかんせつ)、手指などにもみられます。
 触れると、痛い場合と痛くない場合があります。
 典型的な痛風は、診断が容易です。症状が、外反母趾(がいはんぼし)(「外反母趾」)、関節(かんせつ)リウマチ(「関節リウマチ」)、変形性骨関節炎(へんけいせいこつかんせつえん)などと似ていて区別できない場合は、関節腔(かんせつくう)から関節液を採取し、これを顕微鏡で調べ、好中球(こうちゅうきゅう)(リンパ球の一種)に尿酸ナトリウムの針状結晶が見つかれば、痛風と確定されます(表「アメリカリウマチ協会の痛風診断基準」のa)。
 痛風結節の場合も、そのしこりの中から結晶を見つけ出すことができれば、診断が確定できます(表「アメリカリウマチ協会の痛風診断基準」のb)。
●合併症
 高尿酸血症が続くと、それが原因で、つぎのような病気がおこります。
 尿路結石(にょうろけっせき) 痛風の患者さんの20~30%に尿路結石がおこります。
 痛みの発作があり、X線検査を行なって結石が見つかれば診断できます。
 痛風腎(つうふうじん) 腎臓に尿酸が沈着してくると、腎臓の機能が低下します。腎臓の検査をすれば、診断できます。悪化すると尿毒症(にょうどくしょう)(「尿毒症」)になります。

[治療]
 血清尿酸値を1dℓあたり7mg以下にするのが基本です。症状がみられなくても、尿酸値が高ければ下げます。尿酸値を下げるためには、高尿酸血症の原因をさがし、それを除くことです。
 また、尿酸値が1dℓあたり8mg以上あれば、高尿酸血症治療薬を服用する必要があります。
 痛風の発作時には、非ステロイド抗炎症薬を、できるだけ早く使います。痛む部分への冷湿布(れいしっぷ)は、痛みをやわらげる効果があります。発作の再発を防ぐために、24時間の安静をとることが勧められます。
 ふだんから血清尿酸値を1dℓあたり6mg以下に下げていれば、痛風発作はほとんどおこりません。

[日常生活の注意]
 痛風の患者さんは、1965年の調査では、約400人という報告でした。ところが、2001年の厚生労働省の調査では約28万人と激増しています。
 遺伝が原因で痛風になることもありますが、日本ではきわめてめずらしく、したがって痛風の患者さんが、このように爆発的に増えた原因は、毎日の生活のなかにあると思われます。
 痛風の発作をおこした人は、つぎのチェックを行なってみてください。
①自分の健康に無関心で、仕事中心の生活をしていませんか?
 痛風にかかる人は、食生活を含め、自分の健康に無関心なことが多く、過度の緊張やいらいらが続くとストレスがたまり、それが発作の引き金になります。不健康な生活を続けないように注意する必要があります。
②太っていませんか?
 痛風にかかる人には、大食漢を自認している人が多くみられます。肥満しているほど、血清尿酸値が高い傾向があります。太っている人は、減量する必要があります。
③アルコールの飲みすぎではありませんか?
 γ(ガンマ)‐GTPが高い長期飲酒者や、短期どしゃぶり型の飲酒習慣のある人には、痛風の発作が多くみられます。ビールは、とくによくありません。
④美食家ではありませんか?
 エビ、レバー、ステーキ、シラコなどを好んで食べていませんか? これらは、すべて尿酸の原料であるプリン体を多く含む食品です。
 プリン体を制限すると、尿中の尿酸排泄量が低下するため、尿路結石の予防にもなります。
⑤水分の補給をしていますか?
 血液が濃縮されると、血清尿酸値が上がります。また、尿が濃縮されると、尿路結石がおこりやすくなります。
 予防のためにも、多めの水分をとることがたいせつです。とくに夏場や運動した後は、水分補給を忘れないようにしてください。

[予防]
 検査を受けて、尿酸値が1dℓあたり7mg以上であれば、前項にあげた生活のなかにある原因を、1つでも除いていくように心がけましょう。

出典:小学館
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