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食事療法

栄養・生化学辞典

食事療法
 食事によって疾病を治療したり軽減させる目的で行われる処置.糖尿病高血圧,その他多くの疾病に適用される.

出典:朝倉書店
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デジタル大辞泉

しょくじ‐りょうほう〔‐レウハフ〕【食事療法】
病気の治療や再発・悪化の防止を目的として、医師の指示に基づいて、エネルギー栄養素を管理した食事をとること。食餌療法

出典:小学館
監修:松村明
編集委員:池上秋彦、金田弘、杉崎一雄、鈴木丹士郎、中嶋尚、林巨樹、飛田良文
編集協力:田中牧郎、曽根脩
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日本大百科全書(ニッポニカ)

食事療法
しょくじりょうほう
diet therapy
病人に適した一定の食品構成をもつ食事を与えて病気の経過をよくし、治療の目的を果たす療法をいう。食事療法の概念は宗教的・経験的なものから出発して実証的研究段階に入って体系づけられ、病態生理学や病態生化学の進歩に伴い医学としての病態栄養学の形をとるようになった。日本では、東京大学の佐々廉平(さっされんぺい)(1882―1979)がヨーロッパ留学の知識を用いて食事療法の先鞭(せんべん)をつけ、ついで慶応義塾大学の大森憲太(1889―1973)が医学部内に食養研究所を設けて食養学の講義を行い、先駆者となった。その後も一般に食事療法は軽視される傾向にあったが、疾患を生化学面から詳細に観察できるようになって、代謝の源泉となる食事の重要性が認識され、薬物療法や理学療法とも関連したたいせつな療法の一つとして位置づけられた。
 食事療法は、まず医師が病人に適した食事の内容を指示する食事箋(せん)を作成し、これに基づいて栄養士が献立をつくり、病院や家庭で実施される。対象となる代表的疾患には、代謝異常の糖尿病をはじめ、高血圧および動脈硬化症、腎臓(じんぞう)病、肝臓および膵臓(すいぞう)疾患、胃腸病、痛風、心臓病、貧血、偏食、肥満などがあり、老年者に対する食事指導も含まれる。病人は種々の理由から食事をとらなかったり食べさせられないことも多く、病気によっては食事の量や質を制限する必要もある。したがって、病態をよく調べてその代謝異常に適した食事の内容を決めるとともに、食欲や嗜好(しこう)に適合した食事をつくる必要があり、しかも栄養学的にバランスのとれたものにしなければならない。これらは食事療法の基本とされる。なお、病人が食べ残したものもチェックする必要があり、ときには非経口的に栄養を補給することもある。
 食事療法の内容は、不足した栄養素を補強するいわゆる栄養食と庇護(ひご)食に大別できる。栄養食は適量のエネルギーおよびタンパク質を含んでおり、積極的に栄養をよくして病気を治す目的をもつ。庇護食は解剖的あるいは機能的に障害された臓器などに安静を与えてその回復を待つものである。原則的には、庇護食を病気の急性期に与え、栄養食は回復期あるいは慢性期に与える。また、病人食は一般食と特別食に大別され、一般食はさらに流動食、粥(かゆ)食、常食に細分される。流動食には、重湯、スープ、飴湯(あめゆ)(水飴を湯に溶かしたもの)、牛乳、果汁、葛湯(くずゆ)などが用いられ、急性の消化器疾患、急性伝染病などの熱性疾患、外科手術後など消化吸収機能の衰えている場合や、脳卒中などによる嚥下(えんげ)障害のある場合に与えられる。粥食は三分粥、五分粥、七分粥、全粥に分けられ、流動食時の症状が軽快して食欲や消化吸収機能が回復してきた病人や口腔(こうくう)疾患などに対して与えられる。常食は回復期の病人に与えられる。また、特別食は直接治療効果を図るための食事で、一定の栄養素を制限したり多量に与えたりする。対象とする疾患によって糖尿病食、高血圧食、腎臓病食、痛風食などとよばれる。
 食事療法は、病態生理の解明や薬物療法の進歩に伴ってずいぶん変わってきた。たとえば糖尿病の場合、かつては糖質をまったくとらせずに尿糖が出なければすこしずつ糖質を与え、どのくらいの糖に耐えられるか観察したり、カロリーはタンパク質よりおもに脂質からとるように指導していたが、糖尿病の代謝異常が解明された現在ではそんな食事療法はむしろ有害とされ、1日の総カロリーを決めてそれを糖質、タンパク質、脂質に配分するようになった。また肝臓病の場合も、かつては肝臓に負担をかけない庇護食とし、総カロリーの大半を糖質にしてタンパク質と脂質を制限し、少量ずつ回数を増やして与える方法をとってきたが、現在では慢性の肝障害には高タンパク、高カロリーが強調され、肝機能障害に応じてタンパク質とカロリーが決められるようになった。[柳下徳雄]
『浅野誠一他編『食事療法事典』第5版(1980・同文書院) ▽織田敏次他著『食事療法シリーズ1 食事療法の基礎知識』(1984・同文書院) ▽芦川修弐・古畑公編著『やさしい食事療法入門――貧血から生活習慣病まで』(2002・調理栄養教育公社) ▽中村丁次編著『栄養食事療法必携』第3版(2005・医歯薬出版) ▽本田佳子編『臨床栄養学 食事療法の実習』第6版(2006・医歯薬出版) ▽上田隆史・河村剛史・佐藤祐造編『臨床栄養学 病態・食事療法編』(2006・培風館)』

出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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内科学 第10版

食事療法(腎・尿路系の疾患の治療)
(2)食事療法
a.食事療法の基本と有効性
 腎臓病の食事療法で着目すべき成分は,水分および食塩,カリウム,カルシウム,リンなどのミネラルと3大栄養素(炭水化物,脂質,蛋白質)である.腎・尿路系の疾患のうち,食事療法が必要な病態とそれに対する食事内容の要点は表11-1-21に示す通りである.これらの病態が複数併存している場合も多く,その場合には食事療法の内容も多岐にわたることになる.
 腎臓病に対する食事療法の効果や有用性は,糸球体濾過量が60 mL/分以上のステージでは明らかとはいえない.しかし糸球体濾過量が30 mL/分以下で腎機能が低ければ低いほど,低食塩・低蛋白質の食事療法の有用性・有効性が高くなり,これにより透析療法への導入を著しく遅延できる.低食塩・低蛋白質の食事療法は腎不全保存療法の中心となる治療であり,薬物療法では発揮できない効果を示す.また維持透析患者では,食塩や水分,カリウム摂取のコントロール不良により直ちに生命の危険が出る事態になる.
b.食事療法各論
ⅰ)水分
 尿の排泄障害がない場合には,水分は健常者と同様に自然の渇感にまかせて摂取するのでよい.強制的な水分摂取は必要がないばかりか,慢性腎臓病ではかえって進行を促進する危険性が指摘されている.浮腫が高度の患者や乏尿・無尿の腎不全患者あるいは維持透析患者では厳重な水分制限が必要である.汁物を含まない食事での食物中から摂取される水分は800~1000 mL/日であるので,ほぼ不感蒸泄量と等しい.したがって腎機能障害患者が排泄尿量をこえて飲料を摂取した場合には,体液量の増大をきたすこととなる.食塩制限が実施されていないと,細胞外液浸透圧調節の生理学的機構上から口渇が生じるので水分制限は不可能である.したがって,水分制限が必要な場合は食塩も同時に制限する.
ⅱ)食塩
 糸球体疾患では食塩の過剰摂取により高血圧をきたしやすい.そして高血圧は既存の糸球体疾患の悪化を促進するという悪循環を招く.特に糸球体濾過量が低下した腎疾患に合併する降圧薬抵抗性の高血圧が,食塩制限により奏効するようになることが期待できる.また糸球体疾患での食塩の過剰摂取では,糸球体過剰濾過による尿蛋白量の増加をきたすこととなる.さらに,腎不全では食塩の排泄障害により体内に貯留すると細胞外液量の増加を招き,浮腫を生じる.こうして細胞外液量増大さらには循環血漿量増大が高度となると心不全・肺水腫となる.
 このように,食塩制限は腎臓病患者の食事療法の基本となる事項であるが,とくに浮腫あるいは高血圧を伴う患者や維持透析患者では1日6 g未満の厳重な食塩制限が必要である.これは調味料などにより付加する食塩と,食品に含まれている食塩を合計した数値である.調理されてしまった食塩は,目で見えるものではなく,また患者一人一人の食塩の感じかたも異なる.さらに腎疾患患者では塩分味覚は健常者に比較し,劣っているので食塩管理が客観的にできるよう十分指導するべきである.
ⅲ)カリウム
 血清カリウム濃度が7.0 mEq/L以上の高カリウム血症では不整脈の発症による急死の原因となるので厳重な注意が必要である.糸球体濾過量30 mL/分以下の腎不全では血清カリウム濃度の上昇をきたしやすい.とくに,アシデミアの存在やアンジオテンシン変換酵素阻害薬・同受容体拮抗薬の使用,抗アルドステロン薬の使用では高カリウム血症となる頻度が高い. 血清カリウム濃度が6.0 mEq/LL以上を示す患者では,1日量1500 mg以下のカリウム摂取制限が必要である.カリウムを含まない食品は油と精製された砂糖ぐらいで,ほとんどの食品に含まれている.低蛋白食事療法が実施されていれば,カリウム摂取量も同時に制限されている.このほか,一般的に生野菜や果物,海草,豆類,芋類などカリウム含有量の多い食品の摂取の制限を行う.また野菜,芋類などは大量の水で茹でるとカリウム含有量を20~30%減少させることができる.食品に含まれるカリウム量は食品成分表に示されているが,食事での摂取量を正確に把握することは食品含有量の誤差や,調理によるカリウムの減少もあり困難である.したがって,血清カリウム値が高い場合に食事内容を点検して原因を探索し指導する方法が実際的である.
 ⅳ)蛋白質
 糸球体濾過量30 mL/分以下の腎不全に対する低蛋白食事療法では,尿毒症物質の産生・貯留を抑制して透析導入を阻止ないし遅延させることができることは古くから周知の事実であり,このことは最近の臨床研究のメタ解析の結果でも示されている. このような低蛋白食事療法の実施において,有効性を引き出してかつ栄養障害を防ぐには,表11-1-22に示すような要件をすべて満たすことが必要である.砂糖,油以外のほとんどの食品には蛋白質が含まれているので,通常の食品のみで蛋白質制限の食事療法を行おうとすると,どうしてもエネルギー不足となる.この点を解決するには,低蛋白質食品(無~低蛋白質含有量でありながら,エネルギー含有量の高い食品)を摂取する必要がある.これには低甘味ブドウ糖重合体製品,中鎖脂肪酸製品,でんぷん製品,蛋白質調整食品などがある.
 低蛋白食事療法が有効かつ安全に行われるためには,高いレベルでの患者管理を行える優秀な技術と適切なシステムを医療者側が所有していることが必要であり,そこには綿密で高度な専門的臨床力が要求される.
ⅴ)エネルギー量
 エネルギー摂取の不足が続くと,るいそう・低栄養となり,一方過剰では肥満をきたす.推定エネルギー必要量は,基礎代謝量×身体活動レベルとして求められる.慢性腎不全患者や血液透析患者の基礎代謝量および活動時消費エネルギー量は健常者と差はないとされているので,腎臓病患者の推定エネルギー必要量は健常人に準ずる【⇨3-1-1)-(1)】.エネルギー必要量は,年齢,性別,生活強度別に異なるが,大部分の患者が標準体重あたり25~35 kcal/kg/日の範囲である.
 ⅵ)三大栄養素の配分
 動脈硬化性疾患予防の観点より,腎臓病患者でも健常者と同様に脂質の%エネルギー摂取比率は20~25%とする.一方,蛋白質の%エネルギー摂取比率は制限の程度により5~12%程度となる.炭水化物の%エネルギー摂取比率は55~70%とする.
 ⅶ)リン
 腎不全で高リン血症を認める場合はリンの摂取制限が求められる.リン摂取量は蛋白質摂取量と密接な正の相関関係があるので,低蛋白食事療法が実施されていれば,リン摂取量も同時に制限される.このほか,乳製品やレバー,魚卵,しらす干し,ししゃも,丸干しなどの摂取ではリン摂取が多くなるので注意する.
ⅷ)カルシウム
 腎臓病患者におけるカルシウムの摂取目標量は,一般健常者と同様に600mg/日とされている.食事でのカルシウムの摂取量を増加させようとすると,どうしても蛋白質摂取量も同時に増加するので,蛋白質制限が必要な患者ではカルシウムは薬剤などで補給する.[中尾俊之]
■文献
厚生労働省:日本人の食事摂取基準 2010年版,第一出版,東京,2009.
日本腎臓学会:腎疾患患者の妊娠―診療の手引き,東京医学社,東京,2007.日本腎臓学会:腎疾患患者の生活指導・食事療法に関するガイドライン,日腎会誌,39: 1-17, 1997.
日本腎臓学会:CKD診療ガイド2012,東京医学社,東京,2012.

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六訂版 家庭医学大全科

食事療法
しょくじりょうほう
Diet Therapy
(代謝異常で起こる病気)

 食事療法は、糖尿病治療の基本です。不十分な食事療法のもとでの薬物に依存した治療では、肥満などを助長し、糖尿病の血管合併症を予防できません。逆に、しっかりとした食事療法と運動療法を行うと、診断されてまもない2型糖尿病のかなりの人は薬物療法の必要もなく、血糖値を良好にコントロールできます。

 食事療法を実施すると、エネルギーの摂取量が減少するので、血糖値を下げるために必要なインスリンの量を減らすことができます。さらに、肥満も解消されてインスリンのはたらきをよくすることもできます。

食事のしかた

 食事療法の原則は、適正なエネルギー量とバランスのとれた栄養素配分です。糖尿病食は病人食ではなく健康食といえるものです。さらに、食事の回数・時間・配分エネルギーも重要で、なるべく3食均等に規則正しく摂食することが望ましい姿です。

 とくに朝食を抜いてエネルギー制限を行うことは、昼食、夕食の摂取量が増加し、その後の血糖値上昇、肥満を招きやすいのでよくありません。また、早食いもよくありません。食べすぎにつながりやすく、血糖値も上がりやすいからです。よくかんでゆっくり食べましょう。

エネルギー量

 1日の適正なエネルギー量は、年齢、性別、肥満度、身体活動量、合併症の有無などを参考に決められます。

 おおよそのエネルギー量は、患者さんの標準体重を算出し(肥満症を参照)、標準体重に身体活動量(表11)をかけて求めます。肥満の人や高齢者などは少なめに、成長期にある若年者などは多めにします。

 通常、エネルギー量は、男性では1400~2000k㎈、女性では1200~1600k㎈の範囲となり、極端に少ないわけではありません。

栄養素の配分

 栄養素の配分は、糖質(炭水化物)50~60%、たんぱく質20%以下、残りが脂質となります。この配分は、最近の日本食の配分とほぼ一致しており、そのため日本食は健康食として世界中から注目されています。

 全栄養素の半分強を炭水化物からとります。糖尿病だからといって、炭水化物を極端に制限するわけではないことに注意してください。なお、2013年の日本糖尿病学会の提言では、減量目的に炭水化物を極端に制限することは、その効果や長期的な安全性に関するエビデンスが不足しており、現時点ではすすめられないとされています。

 たんぱく質は、エネルギー量の20%までとします。腎障害のある人には、標準体重1kgあたり0.8g程度に制限することがすすめられています。

 脂質はエネルギーが高いので、とりすぎに注意して、植物性の比率を多くします。また、脂質の種類により血糖値や血中脂質値に及ぼす影響に違いはありますが、エネルギー量は同じであることに注意してください。

 食物繊維は、食べ物の消化吸収を遅らせたりするので血糖値、血中脂質値の上昇を改善させる効果があり、また便秘の改善にも有効ですから、多くとるようにします(野菜として300g以上が目標です)。

 塩分は、過剰に摂取すると血圧を上昇させたりするので適量とし(1日男性8g未満、女性7g未満)、高血圧や腎障害のある人は6g未満にします。

食品交換表

 適正な栄養バランスの食事療法を実践するためには、『糖尿病食事療法のための食品交換表』(日本糖尿病学会編、文光堂発行)を使用するのが便利です。

 食品交換表では、食品を栄養素の含まれる割合により、大きく「表1」から「表6」に分類し、各食品の1単位(80k㎈)に相当する重量を示してあります(表12)。1日の摂取エネルギー量は単位で示されます。たとえば、指示エネルギー量が1600k㎈の場合は、1単位は80k㎈なので、1日20単位となります。食事の献立をつくるために、炭水化物の割合が60%、55%、50%の3段階に分けて配分例が示されています。食事に占める炭水化物の割合は、合併症の程度、肥満度、嗜好などにより、60%、55%、50%から主治医が選択します。食事療法を行う際は、「表1」から「表6」まで、それぞれ何単位をとるかが指示されます(表13)。

 合計単位によって摂取エネルギーが守られ、その単位配分が適切であれば栄養素配分も適切になります。さらに、同じ表の食品は栄養成分が似ており、互いに交換できるので、バラエティー豊かな食事をすることが可能になります。ビタミン、ミネラル、食物繊維の摂取不足を防ぐためにも、「表6」の食品を中心として、できるだけ多くの食品をとることが望まれます。なお、表1と表2はどちらも栄養素のほとんどは炭水化物ですが、表1に含まれる炭水化物の多くは多糖類であるでんぷんであるのに対して、表2に含まれる炭水化物の半分以上は単糖類である果糖であり、残りは単糖類であるブドウ糖と二糖類である砂糖です。でんぷんのほうがブドウ糖や砂糖よりも血糖は上がりにくく、果糖よりも中性脂肪になりにくいのです。そのため、主食としての炭水化物は表1の食品から摂取します。

 実際に食事療法を実践するためには、糖尿病教室を受講したり、病院での栄養指導を受けて、自宅で実際に食品を計量することが大切です。計量を繰り返すうちに目安量がわかってきます。

外食、中食

 最近は、外食やファストフード、あるいはコンビニエンスストア、スーパーなどの弁当・総菜(中食(なかしょく))で食事をすますことも多くなってきました。そのため、よりいっそうエネルギー量や栄養バランスに注意する必要があります。

 一般的に外食や中食はエネルギーが高く、脂質、炭水化物が過剰で野菜が足りない傾向にあるので、一部を食べ残してサラダを追加するなどの工夫が大切です。サラダには、エネルギーが高いマヨネーズや油を使ったドレッシングはつけないようにします。

甘いもの

 お菓子、ジャム、清涼飲料水、缶コーヒー、スポーツドリンクなどは砂糖や果糖ブドウ糖液糖(果糖とブドウ糖の混合液)を多く含み、血糖値や中性脂肪値が上昇するのでとらないようにします。せんべいなど、甘くないお菓子でも炭水化物が多いので注意しましょう。なお、「低カロリー(カロリーオフ、カロリーライト、カロリーひかえめなどと表示)」「低糖(微糖、糖分カットなどと表示)」として市販されている飲料は100mlあたり、それぞれエネルギー量20k㎈以下、糖質2.5g以下が表示基準であるため、大量にとれば摂取エネルギーが増し、血糖値が上昇することに注意してください。

 果物はビタミン、ミネラル、食物繊維の補給によいのですが、とりすぎると含まれる果糖などにより中性脂肪が増加し肥満や脂肪肝の原因となるとともに、血糖値が上昇するので、1日に1単位程度(80k㎈)とします。

 代用甘味料は、どうしても甘いものがほしい時に使用しますが、甘いものをとるという習慣を助長するので少量にとどめておいたほうがよいでしょう。また、代用甘味料の過剰摂取は、腸内細菌叢のバランスをくずし、糖尿病の悪化や肥満をまねくことも報告されています。

 空腹感が強い場合は、コンニャク、ところてん、海藻、昆布、タケノコ、キノコ類など、低カロリーの食品をとるとよいでしょう。

アルコール

 アルコール飲料は、つまみの摂取やアルコールによる食欲亢進作用によって食事療法が乱れる原因になるだけでなく、肥満、脂質異常症、肝障害、膵炎(すいえん)の原因ともなるので、原則的には制限し、合併症や肝障害のある人は禁酒するようにします。

 また、蒸留酒である焼酎(しょうちゅう)やウイスキー、ブランデーには糖質はほとんど含まれず、日本酒やワイン、ビールは飲み過ぎなければ糖質の量は問題ないレベルですが、梅酒、果汁の入った酎ハイやカクテルに含まれている糖質には注意が必要です。さらに、アルコール自体は肝臓からのブドウ糖の産生を減らすので、インスリン注射などの薬物療法を行っている患者では、糖質を摂取しないでアルコール飲料のみを多飲すると低血糖をきたしやすいことにも注意が必要です。

健康食品・トクホ・栄養機能食品・機能性表示食品

 消費者の健康志向の高まりに伴い、健康食品の市場が拡大しています。糖尿病に関してもさまざまな「いわゆる健康食品」がその効果を喧伝(けんでん)していますが、その多くは有効性・安全性の科学的根拠に問題があり、時には含まれている違法な成分により、重大な健康被害を起こすこともあります。このような背景のもと、国は食品の安全性や有効性に関する基準を設け、「保健機能食品制度」を開始しています。機能表示ができる保健機能食品は、特定保健用食品、栄養機能食品、機能性表示食品の3種類に分類できます。

 特定保健用食品(通称トクホ)は「いわゆる健康食品」とは異なり、その有効性・安全性が消費者庁により認可された食品です。糖尿病の患者さんにとって気になりそうな「食後の血糖値の上昇を緩やかにする」などと「血糖値」に言及するトクホも少なくありません。しかしながら、トクホは糖尿病の患者さんを利用対象者としておらず、その効果もかなり限定的であり、一般的に高価であることなどにも注意する必要があります。

 また、栄養機能食品はビタミンやミネラルなどが対象で、含有量など国の規格基準を満たせば審査や届け出は必要なく、「カルシウムは、骨や歯の形成に必要な栄養素です」など、あらかじめ決められた健康効果を表示できます。3つ目の保健機能食品として、2015年4月に始まった制度にもとづく機能性表示食品は、科学的根拠を示した研究論文などを添えて消費者庁に届け出れば、国の審査なしで「内臓脂肪を減らす」など具体的な体の部位を挙げて健康効果を表示でき、トクホより申請の敷居が低いものの栄養機能食品より表示の自由度が増している食品です。

 健康食品・トクホなどに関しては消費者庁(http://www.caa.go.jp)や独立行政法人国立健康・栄養研究所のホームページ(http://hfnet.nih.go.jp/)にあるサイトも参照してください。

出典:法研「六訂版 家庭医学大全科」
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