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霊魂【れいこん】

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

霊魂
れいこん
soul
有機体一般の生命原理として想定されるもの。プラトンは,これを肉体にとらわれ,故郷である天上に憧れるものとし,アリストテレスは生体の形相と考えた。いずれも霊不死のものとしてとらえ,その考え方はスコラ哲学にも引継がれたが,これと対立するものにエピクロスの霊魂をも物体とする哲学があった。またデカルトは,霊魂を生命とは切り離して思惟する実体とし,デカルト以後の哲学では,霊魂を生命原理とみることは,哲学的には否定されてきている。しかし宗教においては,なお重要な基礎観念の一つとなっている。日本では,古くから霊魂を生命の根源であるとする霊魂信仰の観念があり,霊魂は永遠に不滅とされた。肉体は朽ち果てるが,霊魂は潔まって祖霊となるとする考え方で,この世に恨みを残して死んだ者の霊魂は,このような祖霊信仰体系に乗ることができず,浮遊霊となって迷い出るものとした。ここから御霊信仰が生れ,その盛行とともに浮遊霊の数もふえて,多くの霊異,怪異の伝承が生じた。

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デジタル大辞泉

れい‐こん【霊魂】
肉体と別に、それだけで一つの実体をもち、肉体から遊離したり、死後も存続することが可能と考えられている非物質的な存在。魂。魂魄(こんぱく)。
人間の身体内に宿り、精神的活動の根源・原動力として考えられる存在

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世界大百科事典 第2版

れいこん【霊魂 soul】
身体にひそむと信じられる超自然的な存在。人間だけでなく万物にひそむとされるときはアニマanimaといわれる。また古代ギリシアでは,プシュケーという霊魂概念が知られている。このプシュケーやアニマはもと〈気息〉を意味したが,そこから,この目に見えない超自然的存在を生命の原理とする考えが発達し,やがてそれを神的実在とみなしたり,人格や精神の根元とする観念が生じた。キリスト教神学にいう聖霊,ウパニシャッド哲学のアートマンなどがそれである。

出典:株式会社平凡社
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大辞林 第三版

れいこん【霊魂】
肉体に宿ってそれを支配し、精神現象の根源となり、肉体が滅びても独立に存在することのできるもの。たましい。霊。
未開宗教、特にアニミズムにおいて、無生物や動植物に宿る目に見えない存在。

出典:三省堂
(C) Sanseido Co.,Ltd. 編者:松村明 編 発行者:株式会社 三省堂 ※ 書籍版『大辞林第三版』の図表・付録は収録させておりません。 ※ それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

日本大百科全書(ニッポニカ)

霊魂
れいこん
soulspirit英語
meespritフランス語
人間を生かし、精神的な働きをつかさどる原理として想定されるもの。単に「霊」ないし「魂」ともよばれる。人間だけでなく、動植物をはじめとする全存在に潜むとされることもある。肉体や事物から独立した原理としての霊魂の観念は、近代以降の実証科学では否定されてきた。しかし多くの宗教体系は、独立した実体としての霊魂の存在を認めており、教えの基本としている。また科学者の一部にも、その存在を実証しようとする試みがある。
 霊魂の観念はきわめて包括的かつ流動的なものであるが、一般に次の二つに分化する傾向がある。一つは、生命体を維持し、動かす原理としての霊魂の考え方であり、「生命霊」と称することができる。これは無個性、非個別的なものであり、人間においてはとくに息や血、影などに結び付けられている。ヘブライ語rua、サンスクリット語tman、ギリシア語psyche、ラテン語anima, spiritusなど、霊魂を表す語が「風」や「息」を語源としていることも、この考え方が背景にある。わが国では「気」の観念がそれに近い。
 もう一つは、肉体のうちに潜み、その精神活動を引き起こす原理としての霊魂の考え方であり、「個体霊」とよぶことができる。これは、感情、意志、認識を支配する主体とされるがゆえに個別的、個性的なものであり、肉体から独立した原理として、肉体を離れたり、肉体の滅亡後も存続する力をもつと信じられている。他者や生者に影響する霊としての生霊(いきりょう)、死霊(しりょう)、祖霊(それい)、精霊(せいれい)などの観念は、この考え方によるものである。人間は、憑依(ひょうい)その他の理由によりこれらの霊の影響下に置かれるが、逆に儀礼や職能者を通じて霊を操作することで、他者や事物に働きかけたり、未来や神意を知ることができるとする信念は広くみられる。このような霊の考え方は、わが国では古くから「たま」「もの」と称せられてきた。[竹沢尚一郎]

事例

霊魂の観念は、地域や時代によって大きく異なっており、それぞれの文化の特徴をなしている。アフリカの諸社会では、霊魂が万物に潜むとするアニミズムの考え方が有力であるが、霊魂は一般に単体としてはとらえられていない。たとえば西アフリカのドゴン人では、霊魂は生命霊と魂という二つの要素を含み、それぞれ複数の要素からなるとされる。生者においては、知性や意志をつかさどる魂が生命霊を支配しているが、死とともに両者は四散し、不浄をもたらす。仮面を伴う葬送儀礼の目的は、魂と生命霊を集め直すことで世界を再浄化し、死者の国へ送り届けることにある。
 古代エジプトでは、霊魂は肉体に宿る不可視の実体とされ、好んでアオサギや人間の顔をした鳥の姿で表象された。これは人間と神に潜むものであり、その力と勇気の源泉である。人間の死後霊魂は肉体を離れ、地下の世界や砂漠をさまようが、危険にあうと肉体のところへ戻ってくると信じられ、ここから、ミイラなどにして肉体を保存する方法がとられるようになった。
 ホメロス期のギリシアでは、霊魂の観念は存在したが、きわめて漠然としたものでしかなく、思考や欲望は肉体の作用とされた。のちオルフェウス教の影響下に、ソクラテスやプラトンとともに霊魂こそが真の自己であり、知と善の主体であるとの考えが生じた。それによると、霊魂は神によって創造されたものであり、神のように不滅なものである。
 キリスト教においては、ギリシア文化の影響下に霊魂の信仰が説かれたが、霊と肉は分離されるものではなく、復活には両者が伴うという信仰が保持された。また仏教においても、無我説の立場から、霊魂と肉体とを区別する二元論の立場は否定された。しかしいずれの教えにおいても、中世以降霊魂の不滅の信仰が強調され、今日に至っている。[竹沢尚一郎]
『ファン・デル・レーウ著、田丸徳善・大竹みよ子訳『宗教現象学入門』(1979・東京大学出版会) ▽山折哲雄著『霊と肉』(1979・東京大学出版会) ▽マルセル・グリオール著、坂井信三・竹沢尚一郎訳『水の神』(1981・せりか書房)』

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