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電子写真【でんししゃしん】

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

電子写真
でんししゃしん
electrophotography
半導体の光導電効果と帯電現象を利用した印写技術。その操作過程が従来の化学的・湿式でなく,物理的・乾式であるのが特徴である。感光材料として高抵抗光導電体を金属板あるいは紙などの上に蒸着または塗布したものを用い,この感光板感光紙コロナ放電によって一様に帯電させる。これにあるパターンを露光すると光導電効果によって露光部分の表面電荷が失われて光の像が電荷の像 (潜像) に変化する。これに帯電したトナーと呼ばれる微粉末を付着させて現像し,加熱により定着を行う。光導電体として酸化亜鉛粉末を紙に塗布して感光紙とした方式がエレクトロファックスである。他方無定形セレン蒸着膜を光導電体として金属板につけ,これを感光板とし,紙に転写する方式がゼログラフィー xerographyである。これらの技術は使用目的によって電子写真,電子印刷,電子コピー,電子記録などと呼ばれるが,原理は同じである。

出典:ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
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デジタル大辞泉

でんし‐しゃしん【電子写真】
暗い所では絶縁性であるが明るい所では伝導性をもつセレン酸化亜鉛などを感光体とし、静電気の吸着現象を利用して画像を得る写真法。複写機に応用される。

出典:小学館
監修:松村明
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編集協力:田中牧郎、曽根脩
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世界大百科事典 第2版

でんししゃしん【電子写真 electrophotography】
ゼログラフィーxerography,エレクトロフォトグラフィー,あるいは静電写真ともいう。電子的,かつ静電気現象を利用した乾式の写真方法の総称。絶縁性光導電体層(暗所では高い電気絶縁性,明所では導電性を示す材料)に静電荷を与え,これに光像を照射,光像に対応して静電荷を放電させて静電荷潜像(目に見えない静電荷のパターン)を作り,これに静電荷をもった着色微粉末を静電気力を利用して付着させ現像し可視像を作る。

出典:株式会社平凡社
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大辞林 第三版

でんししゃしん【電子写真】
光電現象や静電気を利用して画像を得る写真方式の総称。代表的なものは、金属や紙などの上に光伝導性物質の薄層を設け、あらかじめ静電気を帯電させて感光化しておき、カメラなどで露光して画像明部の電気を除き静電潜像をつくる。これに反対電荷をもつ着色微粒(トナー)を付着させ、紙に伝写して加熱・定着する。複写機に応用される。

出典:三省堂
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日本大百科全書(ニッポニカ)

電子写真
でんししゃしん
electrophotography
電子写真は光導電現象と静電気を利用した画像形成法である。エレクトロフォトグラフィー、ゼログラフィーxerographyあるいは電子写真法の発明者の名前をつけてカールソン法ともよぶ。複写機(コピー機)およびコンピュータ出力端末としてのページプリンターや普通紙ファクシミリ、さらに必要なときに必要な部数を印刷するオンデマンド印刷用電子写真印刷機などに広く利用されている。[北村孝司]

電子写真のプロセス

1938年にアメリカのカールソンChester Floyd Carlson(1906―1968)が光導電現象と静電気を用いた電子写真法を発明した。1950年に手動の電子写真複写機が実用化され、1959年に初めて自動の事務用電子写真複写機が発売された。
 電子写真の画像形成プロセスは、コロナ帯電、画像露光、トナー現像、転写、定着およびクリーニングの各ステップから構成されている。
(1)コロナ帯電 コロナ帯電器により感光体表面に均一に電荷を与える。
(2)画像露光 原稿を蛍光灯などの光で照明し、その反射光を感光体に照射する。原稿からの反射光が感光体に照射されると光導電現象により電荷が生成し感光体内を移動して表面の帯電電荷が消失する。このようにして、原稿の白い部分つまり画像部以外のところは帯電がなくなり、画像部のみが帯電している電荷像ができる。
(3)トナー現像 トナーとよぶ着色された微粒子が感光体上の電荷像に接近するとクーロン引力(静電引力)によりトナーが引き寄せられ感光体表面に付着する。感光体表面の電荷が存在するところだけにトナーが付着し、目で見ることができるようになる。
(4)転写 感光体上にできたトナー像を普通紙に移動させる。普通紙をトナー像の上に重ね、紙の裏面からコロナ帯電を行うとトナーは紙表面に転写される。
(5)定着 感光体表面から引き離された紙は定着ローラにて加熱される。定着ローラは高温に加熱されており、トナーに含まれる樹脂が溶融して紙上に固定される。
(6)クリーニング 感光体の表面に残ったトナーが取り除かれる。
 各工程が感光体ドラムの円周上に配置されており、感光体ドラムが1回転することにより、あるいは直径の小さな感光体ドラムの場合では数回転することにより1枚のコピーができあがる。なお、トナーには一般には粉体トナーが使用されるが、液体トナーを用いる機器もある。[北村孝司]

電子写真プリンター

電子写真は複写機のほかにコンピュータで作成した文書や画像のハードコピーをつくる電子写真プリンターに使用されている。プリンターではコンピュータからの電気信号により半導体レーザーあるいは発光ダイオードの光を変化させ、その光を感光体に照射する。その後、トナー現像および紙への転写が行われハードコピーを得ることができる。[北村孝司]

カラー電子写真

コピーは単色が主であるがフルカラー化も行われている。カラー電子写真はカラー印刷と同様に、画像を赤(レッド)、緑(グリーン)、青(ブルー)の三原色に色分解したのち画像処理および信号変換を行い、赤色潜像をシアン、緑色潜像をマゼンタ、青色潜像をイエローのトナーで可視画像化する。さらに3色のトナーにブラックのトナーを加えて4色のトナー像を重ね合わせてフルカラーコピーをつくる。[北村孝司]

電子写真の特徴

電子写真は画像品質が高く、出力スピードが早いという特徴を有する。画像の精細度は解像度で示され、慣用的であるが1インチ当りに形成するドット数(単位はdpi=dot per inch)で表す。現在の電子写真プリンターでは、600dpiが標準的であり、ドット1個の大きさは目で確認できないほど小さい。また、文字や画像のエッジはスムージング処理により解像度が高められ、画像品質の向上が図られている。[北村孝司]
『電子写真学会編『電子写真技術の基礎と応用』(1986・コロナ社) ▽電子写真学会編『続電子写真技術の基礎と応用』(1996・コロナ社) ▽日本写真学会・日本画像学会合同出版委員会編『ファインイメージングとハードコピー』(1999・コロナ社) ▽高橋恭介・北村孝司監修『ディジタルハードコピー技術と材料――最新の電子写真技術とその材料』(1999・シーエムシー) ▽面谷信監修『トナーおよびトナー材料の最新技術』(2000・シーエムシー) ▽日本画像学会編、平倉浩治・川本広行監修『電子写真――プロセスとシミュレーション』(2008・東京電機大学出版局)』

出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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精選版 日本国語大辞典

でんし‐しゃしん【電子写真】
〘名〙 光導電体上の帯電現象を利用した写真方式。絶縁性光導電体層に静電荷を与え、これに光像を照射、光像に対応して静電荷を放電させて静電荷潜像を作り、これに静電荷をもった着色微粉末を付着させ現像し、可視像を得るもの。複写機に応用される。

出典:精選版 日本国語大辞典
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化学辞典 第2版

電子写真
デンシシャシン
electrophotography

感光材料に与えた光パターンによって電気的潜像をつくり,これを可視化する記録法.感光材料としては,光伝導体(無定形セレン,酸化亜鉛,硫化カドミウム,有機半導体など)を用いる.多くの方式があるが,絶縁性光半導体と静電現象を巧みに組み合わせた静電電子写真のカールソン法が代表的なものである.この方式は,感光材料と像形成材料が異なる粉像転写法(間接法)であって,工程の概略は以下のようである.
(1)暗所中でコロナ放電により感光体表面を一様に帯電させる.
(2)露光によって光照射部の電荷を放電させ,静電潜像を形成させる.
(3)静電潜像上に逆極性に帯電したトナー(着色粉体)を選択的に付着させて可視像化する.
(4)普通紙を感光体に重ね,紙裏面側からトナーと逆極性のコロナ放電を与え,トナー粉体を紙面上に移した後に紙を感光体からはく離する(粉像転写).
(5)転写紙上のトナー像を熱,圧力で固着(定着)させる.
(6)残留するトナーを取り除く.
(7)最後に残留電荷を光やコロナ放電で消去し,次の記録の準備をする.
感光体としては,電極基板上に光伝導性絶縁層を設けたものが用いられ,構造的には単層型,積層型,樹脂分散型がある.この方式は乾式で操作性にすぐれ,3色のトナーを重ね合わせてカラー像を得ることもでき,複写,レーザープリンターなど,広範囲に利用されている.トナー転写を行わず,支持体上に設けられた感光体上に像を直接定着する方式もあり,トナーの疎水性を利用した印刷用の写真製版などに用いられる.このほかにも,持続性内部分極用を用いるPIP(persistent internal polarization)電子写真,持続性伝導性像を用いる電解電子写真,粒子移動電子写真など,多岐にわたる方式がある.

出典:森北出版「化学辞典(第2版)」
東京工業大学名誉教授理博 吉村 壽次(編集代表)
信州大学元教授理博 梅本 喜三郎(編集)
東京大学名誉教授理博 大内 昭(編集)
東京大学名誉教授工博 奥居 徳昌(編集)
東京工業大学名誉教授理博 海津 洋行(編集)
東京工業大学元教授学術博 梶 雅範(編集)
東京大学名誉教授理博 小林 啓二(編集)
東京工業大学名誉教授 工博佐藤 伸(編集)
東京大学名誉教授理博 西川 勝(編集)
東京大学名誉教授理博 野村 祐次郎(編集)
東京工業大学名誉教授理博 橋本 弘信(編集)
東京工業大学教授理博 広瀬 茂久(編集)
東京工業大学名誉教授工博 丸山 俊夫(編集)
東京工業大学名誉教授工博 八嶋 建明(編集)
東京工業大学名誉教授理博 脇原 將孝(編集)

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