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集団社会学【しゅうだんしゃかいがく】

日本大百科全書(ニッポニカ)

集団社会学
しゅうだんしゃかいがく
sociology of groups
集団を研究対象とする社会学の一部門。われわれの社会生活は各種の集団を基盤として営まれているから、社会学がその中心的な研究領域として集団を取り上げてきたのも当然である。しかし、社会学の第一世代であるコントやH・スペンサーの研究は、社会全体の発展史を類型的に総合的にとらえようとし、集団よりも全体社会に関心を向け、しかも実証的分析によってではなく、思弁的総合によって特徴づけられていた。それに続く社会学の第二世代は、第一世代に比べて歴史実証的に、近代社会の特質を前近代社会のそれと比較しながら、類型的に浮き彫りにする。たとえば、テンニエスのゲマインシャフトとゲゼルシャフト、デュルケームの環節的社会から有機的社会へ、マッキーバーのコミュニティとアソシエーション、さらにマックス・ウェーバーの支配の3類型(合法的、伝統的、カリスマ的支配)などは、それぞれの観点から実証的に社会の比較類型論を提示したものとして、今日でも社会学徒がまず最初に学習すべき重要な基礎的知識在庫となっている。しかし、彼らの関心もなお、集団それ自体についての分析によりは、むしろ全体社会のあり方に向けられていた。
 こうした社会類型的知識に対して、集団の構造と機能の分析に大きな影響を与えた、社会学の第二世代に属する学者にジンメルとクーリーとがいる。ジンメルは現代社会学における小集団研究の先駆者として位置づけられる。彼の研究のうちに集団の類型学にかわる集団の構造・機能分析の方向がみられる。クーリーは第一次集団primary groupの概念を提示したことで有名である。第一次集団とは、対面的な親密な「われわれ意識」we consciousnessによって特徴づけられる小集団であり、それは個人のパーソナリティー形成と社会的価値の内面化にとって決定的な役割を果たすものである。
 これらの第二世代の社会学者によって提示された集団論が、第二次世界大戦後の観察的・実験的な意味での実証的・経験的な集団研究によって乗り越えられていく。すなわち、その研究方向は類型論にかわるに分析理論の方向である。分析理論は、集団が存続発展するのに必要な要件を明らかにし、その要件を充足するような集団の構造と機能とを明らかにしようとする方向である。こうした集団の分析的方向に決定的な影響を与えたのが、インフォーマル・グループの発見で有名なホーソン実験であった。ホーソン実験において、合理的にフォーマルに形成された官僚制組織のうちに、それとは自律的な仲間のインフォーマル・グループが形成され、それがフォーマルな組織の構造と機能のあり方に影響を与えることが明らかにされた。
 現代社会学における集団研究は、一方では現代社会組織を特徴づける官僚制(ビューロクラシー)の各種集団に対する影響力に関心を向けると同時に、他方では個人と社会とを媒介する中間集団や、小集団における人々の行動を詳細に研究することによって、組織や集団における人間行動に関する実証的および理論的研究を積み重ね、多くの仮説を提示している。[佐藤慶幸]
『G・ジンメル著、堀喜望・居安正訳『集団の社会学』(1972・ミネルヴァ書房) ▽C・H・クーリー著、大橋幸・菊池美代志訳『現代社会学大系4 社会組織論』(1970・青木書店) ▽G・C・ホーマンズ著、馬場明男・早川浩一訳『ヒューマン・グループ』(1959・誠信書房) ▽安田三郎・塩原勉・富永健一・吉田民人編著『基礎社会学 第3巻 社会集団』(1981・東洋経済新報社)』

出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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