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階層【かいそう】

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

階層
かいそう
stratum
なんらかの尺度によって区分された社会を構成する各層のことであるが,普通その尺度として威信が用いられる。階級のように各層の間に敵対的成立の要素を必ずしも必要としないが,各層間にはある程度の質的差異が見出されなければならない。階層区分の基準として用いられる威信の具体的内容は,当然所与の社会の価値体系が前提とされており,それと不可分の関係をもって構成される。それゆえ当該社会の価値体系が異なれば,尺度化される威信の内容も異なるものを採用しなければならない。また用いられる尺度の内容によっては経済階層,社会階層などに分けて応用することも可能である。階層研究の盛んなアメリカでは,その尺度化の代表例として W.L.ウォーナーらの用いたISCや F.S.チェーピンらによる社会=経済的地位尺度などをあげることができる。

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デジタル大辞泉

かい‐そう【階層】
社会的、経済的地位がほぼ同じ程度の人々の集団。職業・収入・財産・学歴・年齢などが基準となって、格づけ・識別される。界層。「富裕な階層
建築物の階の上下の重なり

出典:小学館
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世界大百科事典 第2版

かいそう【階層 social stratification】
階級に関する諸学説のうち,多元的指標を用い階級分析に対して数量的アプローチをとる人びとが,しだいに階級social classという語よりも階層social stratification(この用語はP.A.ソローキンがその著《社会移動論》(1927)で初めて使った)という語を多用するようになったことによって,階層研究と呼ばれる分野が形成されるようになった。したがって階層論は階級論の一形態であり,階級以外に特別に階層という研究対象があると考えるのは適切でない。

出典:株式会社平凡社
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大辞林 第三版

かいそう【階層】
建物の層のかさなり。
データなどの上下に層をなしたかさなり。
社会的地位が大体等しい人々の集団。職業・学歴・財産・年齢・身分・人種など様々な基準やそのかさなったものでつくられる。社会階層。界層。 → ヒエラルキー

出典:三省堂
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日本大百科全書(ニッポニカ)

階層
かいそう
stratum英語
Schichtドイツ語
かなり多義的な概念であって、一方ではカースト、身分、階級の上位概念として用いられ、他方では同じ地位を占有する人々のグルーピングとして用いられる。普通には、社会の重層的、段階的な構造としての社会的成層social stratificationを構成する各層を意味する。したがってそれは、社会的成層という一つの連続的全体のなかでほぼ同一の地位を占める一群の人々を他から段階的に区分して設定したもので、社会の構成または構造を内部的に明らかにしたり、各層を構成する個々人の意識や行動の特性をこれによって解釈し意味づけるために用いられる任意的カテゴリーであり、操作概念である。
 階層の現象形態は多種多様であって、たとえば、農村における身分階層制は土地所有と家格に基づく上下序列であり、それぞれの階層(地主・旧家、自作農、小作農など)は固有の生活・行動様式によって差別的に評価された。大都市や全体社会の場面でも、上流、中流、下流階層というように、職業や生活程度による上下序列が大まかにではあるが存在し、あるいは意識されている。また、企業体などでは(そして労働者階級の間にも)規模別や技能別年功序列に基づく階層化(大企業・中小企業・零細企業労働者、役付き工・古参工・平工員など)が認められる。
 これらの階層は、他人から与えられる社会的尊敬と他人に対して享有し要求しうる威信prestigeの格づけに基づく上下・優劣の威信序列であって、この威信の格づけ(差別的評価)は、財産、収入、生活水準などの(消費面に働く)経済的要因、宗派、家系、職業、学歴、教養などの生活様式や生活態度にかかわる社会的・文化的要因、役職、発言力、人的つながりなどの政治的要因その他のうちの一つまたはすべてに基づいて行われる。階層、つまり上下・優劣、貴賤(きせん)という威信序列の規定要因は、財産、収入、居住形態などが問題となる場合でも、純粋に経済的な要因であるよりは、むしろ社会的、文化的に焼き直された要因であり、威信序列としての階層は、生産手段の所有・非所有の別に基づき搾取・被搾取、支配・被支配の力関係を伴う階級とは本質的に区別される。
 階層と階級との違いは、もちろんそれだけにとどまらない。マルクス主義の階級理論に原理的に対立するアメリカ社会学の成層理論においては、社会が分業体系である以上、いくつかの階層に社会が分化するのは歴史を越えた必然であり、また階層分化は社会が存続し統合を維持していくうえに必要不可欠の構造的・機能的要件であるとみる。階級の分裂的、解体的契機に対し、階層の統合的契機が強調される。と同時に、階層は地位や役割への社会的分化に差別的な社会的評価(格づけ)が加えられたという意味で、階級のように客観的経済構造に根ざすものではなく、主観的な現象である。しかも、この差別的評価に基づく威信序列としての階層は、両極的に分裂し対立し抗争する階級とは違って、共通の価値を分有し、相互に調和または適応の関係にたつ連続体であると考えられている。上位にたつ階層の生活様式や生活態度、価値観などは下位の階層によって模倣され、社会化の先取りという心理機制を通じて受容されるからである。このような心理機制によって各層に特有な行動様式や各層に共通の価値観念などを押し付け、威信序列を正当化する規範的機能を営むと同時に、個人に対して階層の上昇・下降による自我の拡大・縮小、他への優越感または劣等感を経験させることを通じて、上層への同一化ないしは上昇志向(立身出世欲)を促進するという動機的機能をも営む。
 なお、このような連続的威信序列における段階区分としての階層は、次のようなやり方で格づけされ、類別される。第一は、職業、収入、学歴などの標識、ときには居住地域や住居形態、居間の調度類などの標識による外的・客観的方法であり、ウォーナーの地位特性指数(ISC)、チェーピンのリビングルーム・スケールなどの社会経済的地位尺度socio-economic status scaleがこれに含まれる。第二は、複数の評定者による格づけの結果を総合して階層所属を決定する内的・客観的方法であって、ウォーナーの参与評価法(EP)がその例である。第三は、その人がどの階層に所属するかを尋ね、その回答に基づいて識別する主観的方法であり、アメリカの社会心理学者センターズRichard Centers(1912―81)の階層帰属意識stratum identificationによる方法がこれにあたる。これらの方法によって、地域社会または全体社会の階層構造の輪郭や階層相互の関係、集団参加様式その他思考・行動様式を明らかにすることを通じて、日常的な階層現象を把握し解明することになる。[濱嶋 朗]

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精選版 日本国語大辞典

かい‐そう【階層】
〘名〙
① 建築物の階の、上下の重なり。
② 社会を形づくるいろいろな生活層。また、一定の職業社会の中でのいろいろな階級。界層。階級層。
※フランスの百科辞典について(1950)〈渡辺一夫〉六「文化の各階層への浸透によって」

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