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長者【ちょうじゃ】

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

長者
ちょうじゃ
śreṣṭhin; gṛha-pati
仏教用語。資産があってをそなえた者の通称。 gṛha-patiは居士と訳し,富み,かつ学徳のある在俗信者。日本では特に東寺の長官を長者といい,承和3 (836) 年に実慧によって任じられたのがそのりである (→東寺長者 ) 。

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デジタル大辞泉

ちょう‐じゃ〔チヤウ‐〕【長者】
《「ちょうしゃ」とも》年上の人。また、目上の人。年長者。
《「ちょうしゃ」とも》徳のすぐれている人。また、穏やかな人。
「そこは温厚の―だから、別段激した様子もなく」〈漱石吾輩は猫である
金持ち。富豪。「億万長者
一門一族の統率者。「氏(うじ)の長者
「親戚の―たる一見老猾らしき金富醇次郎が」〈魯庵社会百面相
京都東寺座主(ざす)の称。
宿駅の長。駅長。
宿場の遊女屋の主人。また、遊女のかしら。
「かの宿の―ゆやがむすめ、侍従がもとにその夜は宿せられけり」〈平家・一〇〉

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大辞林 第三版

ちょうじゃ【長者】
ちょうしゃとも 年上の人。目上の人。年長者。
ちょうしゃとも 徳のすぐれた人。おだやかな人柄の人。 彼を敬愛に価する-として認めてゐた/硝子戸の中 漱石
金持ち。富豪。 億万-
長老。芸道などの最高の地位を示す称号として用いた。 五条の三位入道は此道の-にています/無名抄
うじの長として一族を統率する人。氏の長者。うじのかみ。 南京=奈良は例なくて罪なき-を配流せらる/平家 4
宿場の遊女宿の女主人。 彼宿の-ゆやがむすめ、侍従がもとに其夜は宿せられけり/平家 10
宿駅の長。うまやのおさ。 これは青墓の-にて候/謡曲・朝長
教王護国寺の最高位の僧。勅任で定められた。

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日本大百科全書(ニッポニカ)

長者
ちょうじゃ
仏典に現れる富豪、資産家のこと。サンスクリット語のグリハ・パティgha-patiとシュレーシュティンrehinの両者の訳。前者を資産者、後者を長者と区別して訳す専門家もある。いずれも社会的な身分として認められた名称であり、仏教教団の発展には大きな原動力となった。シュレーシュティンは商人代表とか同業組合の組合長の意味をもち、グリハ・パティは居士(こじ)と漢訳され、年齢や徳行の長じた者と理解された。日本では、長老耆宿(ぎしゅく)の意味に用いられ、とくに東寺(教王護国寺)座主(ざす)の称となったが、これは空海(くうかい)の遺告(ゆいごう)によるといわれる。のちに仁和(にんな)寺、大覚(だいかく)寺、三宝(さんぼう)院、勧修(かじゅう)寺の四門跡(もんぜき)が戒を受けた順で勅任された。初めは長者は1人であったが、やがて四長者となり、さらに長者補任(ぶにん)さえ置かれるようになった。[石上善應]

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精選版 日本国語大辞典

ちょう‐ざ チャウ‥【長者】
〘名〙 (「ざ」は「じゃ」の直音表記)
① 金持。富豪。ちょうじゃ。
※古本説話集(1130頃か)五六「喜こびあひて、給はるほどにぞ、まことのちゃうさはかへりたる」

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ちょう‐じゃ チャウ‥【長者】
〘名〙 (śreṣṭhin の訳語。団体や組合の長である富豪、または地位や徳行の高い年長者の意)
① (「ちょうしゃ」とも) 徳のすぐれている人。高徳者。また、おだやかな人。重厚な人。
※旱霖集(1422)題扇「寛厚長者意、跡混軽薄子」 〔史記‐項羽本紀〕
② 金持。富豪。金満家。ちょうざ。
※竹取(9C末‐10C初)「火鼠の皮衣〈略〉若天竺にたまさかにもて渡りなば、若長者のあたりにとぶらひ求めんに、なき物ならば」
③ 福徳のすぐれた者。めぐまれた幸福な人。
※性霊集‐九(1079)高雄山寺択任三綱之書「善心長者等、依内外法律、治擯而已」
④ 氏族の長。一門一族の統率者。氏(うじ)の長者。〔令集解(868)〕
※大鏡(12C前)五「その時に藤氏の長者殿うらなはしめ給に」
⑤ (「ちょうしゃ」とも) 年上の人。目上の人。また、身分の高い人。
※応永本論語抄(1420)李氏第一六「尊者の前にて物を申は、先長者たる人が申して、次第に少き者が申べき也」 〔礼記‐曲礼上〕
⑥ (⑤から、共同体や芸道などの最高の地位を示す称号として用いたもの) 首長。長老。主宰者。かしら。
※中右記‐康和五年(1103)一二月二一日「民部大夫博定於備中国去八日卒去〈年余〉長管絃道、勤陪従、琵琶、筆和歌、横笛、篳篥皆以伝之、已終命、誠惜哉、一道長者也、可惜々々」
⑦ 京都の東寺の座主の称。空海の弟子実慧が初めてこれに補せられた。当初は一人であったが、のちに一の長者から四の長者まで置くようになった。ちょうざ。
※中右記‐長治元年(1104)三月一七日「今日法印権大僧都経範入滅云々、東寺一長者法務也」
⑧ 太政官の史の最上席の者。平安後期以降、小槻氏長者が世襲した。官長者。官務。
※愚管抄(1220)四「官にめして、長者・大夫史・大外記候て、弁官、職事にてとはれける」
⑨ 宿駅の長。うまやのおさ。駅長。
※太平記(14C後)二「重衡中将の、東夷の為に囚れて、此宿に付き給しに、東路の丹生の小屋のいぶせきに、古郷いかに恋しかるらんと、長者の女が読たりし」
⑩ (昔、宿駅の女主人が主になって、宿泊人の世話、伝馬の継ぎ立てなどをし、また官人、貴人の宿泊にあたっては、遊女の歌舞・管弦によって旅の疲労を慰める斡旋(あっせん)をしたところから) 娼家の女主人。また、遊女のかしら。
※吾妻鏡‐文治三年(1187)二月二五日「折節信濃国保科宿遊女長者、依訴訟事参住」
⑪ くしゃみがでた時にとなえるまじないのことば。
※四河入海(17C前)六「仏嚔ときに弟子たち祝して長寿長寿と云ぞ〈略〉さて日本に嚔時に長者と云は、仏を長寿と云たを今長者と云ぞ」

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