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都市国家【としこっか】

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

都市国家
としこっか
city-state
中心市とその周辺領域から成る小規模な国家と解されるが,その明確な定義は現在でも定まっていない。史家によっては,中世末以降みられるイタリアドイツ都市共和国,自治都市を都市国家に含めることもあるが,一般にはローマ帝国などの中央集権的古代帝国成立以前の都市を中心とする社会発展形態の一段階とみなされ,古代オリエント諸都市,モヘンジョ・ダロなどのインダス文明諸都市,古代ギリシアの諸都市,初期ローマなどのイタリア半島諸都市がこれに相当する。しかし,これらの諸都市の間にも都市国家として確たる基準は存在せず,一応,外的要素として城壁中核をなす広場神殿の存在,内的要素として自由な市民団の存在が考えられる。また,より厳密な意味においては前6~5世紀の古代ギリシア諸都市 (→ポリス ) をさすものとされている。

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デジタル大辞泉

とし‐こっか〔‐コクカ〕【都市国家】
都市が政治的に独立し、自由市民を中心に一つの国家を形成したもの。アテネスパルタなど、古代ギリシャのポリスはその代表的なもの。また、ヨーロッパ中世末から近世にかけての自由都市をいう。

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世界大百科事典 第2版

としこっか【都市国家 city‐state】
都市とその領域が独立の国家を成す政治体をいう。それは新石器時代村落の生産力が発達して,それに伴う社会の階級・階層分化と,農業を基礎にしながらも非農的住民部分の成立とに基づいて小規模な国家権力が発生した段階で生まれたものである。したがってまたそれは広領域国家や世界帝国が形成される以前の段階で,中心市には多く都市様相をもつ居住地があり,神殿や城壁をもち,かつ周辺の農村を支配するような形態をもっていた。

出典:株式会社平凡社
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大辞林 第三版

としこっか【都市国家】
神殿・王宮・公共施設などを中心に城壁をめぐらした都市が、その周辺の農牧地を含めて政治的に独立し、一小国家を構成したもの。古代ギリシャのポリスが代表的。他に古代ローマ、古代のエジプト・メソポタミア・インド・中国などにみられる。

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日本大百科全書(ニッポニカ)

都市国家
としこっか
city-state英語
Stadtstaatドイツ語
tat citadinフランス語
都市とその領域が小規模ながら国家として独立の一全体をなしているような人間の結合体ないし組織体。漢末以来シルク・ロードに沿って内陸アジアの砂漠のなかのオアシスに栄えたカラシャール、クチャ、カシュガル、トゥルファンなどの城郭都市、あるいは中世後半イタリアに栄えたベネチア、フィレンツェ、ピサ、ミラノ、パドバなどもこの意味で都市国家の範疇(はんちゅう)に帰属する。[太田秀通]

初期の都市国家

しかし、世界史の全行程のうえでもっとも顕著な現象としての都市国家は、数千年前の大河の流域などに生まれた新石器時代の村落(農耕、牧畜を基礎とする)がいっそうの発展をして、非農的住民階層をも内包するに至った都市が、人間の集団としては部族連合という段階にある複雑な村落の支配と行政・宗教の中心としての王宮または神殿、または王宮兼宗教的聖所の所在地となった段階の組織体である。都市国家はこのような状態を出発点とし、その後の発展過程でいろいろな政治形態をとるに至ったが、このような人間の結合体が都市を中心として、しかも国家とよびうる支配機構をもつことが都市国家の基礎的条件であり、その政治形態いかんは副次的な問題である。
 したがって、初めて都市国家が歴史のうえに出現したときには、部族連合の首長としての王を頂点とするか、宗教と生活の中心としての神殿の大祭司を頂点とした。そして名門貴族の先駆形態としての長老会と共同体の一般成員からなる民会とが共同体的機関として存在するような単純な構造をもち、奴隷をはじめとする不自由身分も成長しつつあったと推測される。紀元前3000年ごろのメソポタミアで数百年にわたって発展したシュメール人のウル、ウルク、キシュ、ラガシュ、ラルサ、ニップールなどの都市国家は、その後ここに統一国家が形成される以前の段階に栄えた小王国であったと考えられる。前3000年ごろナイル河畔に出現した上エジプト王国、下エジプト王国も、これに先行する都市国家の発展を基礎にしていたと考えられるし、前3000年ごろのインダス文明も、前1600年ごろの殷(いん)王朝以前の中国文明も、都市国家の一定の発展を前提としていたと考えられる。しかしこれらはいずれも、やがてここに成立する強大な統一王国に支配されるか編入されるかして、都市国家の形態としてはそれ以上の発展は示さなかった。[太田秀通]

古典古代の都市国家

これに反し、都市国家の形態を典型的に発展させたのは、東地中海に面したフェニキア人、エーゲ海周辺に居住したギリシア人、イタリアのラティウムから興ったローマ人であった。前1000年ごろから栄えたフェニキアのティルス、シドン、ビブロスなどの都市国家は、前8世紀にアッシリアに征服され、その後新バビロニア、アケメネス朝ペルシア、アレクサンドロス大王の支配下に入ったが、クレタ・ミケーネ文明の崩壊(前1200ころ)後の地中海貿易を基礎にして発展したフェニキア文字は前8世紀ギリシア人に採用されて、今日のローマ字の基礎であるラテン・アルファベットのもとであるギリシア文字が発明された。またアッシリアによる征服後、西地中海沿岸につくられた多くのフェニキア人植民市は、ギリシア人の植民市と並んで栄え、ことにアフリカ北岸に建設されたカルタゴは貴族政国家として強力な陸海軍を擁し、西方のフェニキア勢力の防衛拠点となり、またイタリアに台頭したローマと対立するに至った。
 しかし、ミケーネ文明崩壊後エーゲ海周辺に拡大されたギリシア世界に、前8世紀ごろ多数形成された都市国家(ギリシア語でポリスとよばれた)は、貴族政、寡頭政、僭主(せんしゅ)政などを経験したばかりでなく、市民団による民主政を生み出し、その全過程を通じて文学、哲学、科学、美術、工芸に独創的なみごとな発展をみせ、都市国家の発展がいかなる文化的可能性を開花させるかを如実に示したといえる。王政から始まったローマ都市国家も共和政期を通じて民主主義を発展させた。古代民主政は都市国家の積極的市民の相互関係だけに限られていたという歴史的限界があり、その最盛時には鉱工業分野だけでなく農業においても奴隷制が不可欠の労働組織であったが、民会を構成する市民団の中心が中小規模の土地所有者、自営農民であったことは注目すべき点である。この市民層が健在である間は市民共同体も健全であり、古典古代文明も栄えていた。商工業の発展と商品貨幣関係および奴隷制の発展が市民共同体を両極分解に導いたとき、市民間抗争を抑え外敵に備えるための必要から富裕市民層は軍事的独裁権を求め、これが世界帝国の形成を促し、都市国家の独立時代も数百年にして終わった。しかし古代都市そのものは国家としての独立を失ったのちも生き残り、長く古代文明の中心であることをやめなかった。古典古代以外の都市国家がどれだけギリシア・ローマのそれに近づいたかを判定するには、土地所有農民たる市民が民会に結集することによって国家の意思を決めるという国制にどの程度近づいていたかを見極めなければならない。[太田秀通]
『クーランジュ著、田辺貞之助訳『古代都市』(1961・白水社) ▽レオナルド・ベネーヴォロ著、佐野敬彦・林寛治訳『図説 都市の世界史1 古代』(1983・相模書房)』

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精選版 日本国語大辞典

とし‐こっか ‥コクカ【都市国家】
〘名〙 都市自体が政治的に独立して形成された国家。通常は古代国家の一つの型をいう。中央集権国家成立前にみられ、都市成員の住む中心市と周辺の農牧地を領域とする国家。オリエントのウルラガシュ、ギリシアのアテナイ、スパルタなどの諸ポリス、イタリア半島のローマなど。特に市民団の自由と自治に支えられたギリシア、ローマの都市国家が有名。中世末期、近世初頭のイタリアのコムーネも一つの型。中国の封建諸侯の国をいれる説もある。

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旺文社世界史事典 三訂版

都市国家
としこっか
city-state
都市とその周辺部からなる小国家
人類が定着農耕にはいって村落が成立すると,これらの村落は征服・連合によって拡大し,その領域内の政治・軍事信仰・交換の中心として都市が成立する。この段階が都市国家で,金属器・文字などの文明の発生とほぼ時期が一致する。メソポタミアにおけるシュメール人のウル・ラガシュ,フェニキア人シドンなどの諸都市,インドのモヘンジョ−ダロやハラッパーの諸都市,ギリシアのポリス,ローマの諸都市,中国の (ゆう) などがこれにあたる。ただし,政治単位でもある市民共同体の存在の有無からみれば,ギリシア・ローマとアジア諸地域の場合ははっきりした違いがある。これらの都市国家は,経済的には遠近の都市国家や,国家形成前の農耕地帯との交易に依存した場合が多く,政治的には奴隷制社会を形成している。都市国家はさらに征服連合をくりかえして領土国家に拡大する。中世末期からイタリアを中心にヨーロッパに成立した都市共和国(コムーネ)も都市国家の一形態であり,現代においてもヴァチカン市やルクセンブルクなども都市国家とみることが可能であろう。

出典:旺文社世界史事典 三訂版
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