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道徳【どうとく】

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

道徳
どうとく
moral
社会の成員によって承認され,かつ実現される倫理的諸価値ないし規範の総体。その原理は,主観的内面的規制原理として,主体のうちに現れる自然的本能,自己保全の欲求,名誉権力欲,所有欲などの利己的,本能的欲求と正義真理,愛,誠実,信頼,平等,国益などの普遍的ないし社会的諸価値の対立あるいは現実と理想の相克を調整し,社会的成員にふさわしい行為を選択するようにしむける。さらに道は内面に深く関わるものとして実存の重要な構成契機となり,個人の世界観に重大な影響を及ぼす。ヘーゲルは個人的主観的な道徳性と習慣や法律として客観化された道徳すなわち人倫とを区別している。

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デジタル大辞泉

どう‐とく〔ダウ‐〕【道徳】
人々が、善悪をわきまえて正しい行為をなすために、守り従わねばならない規範の総体。外面的・物理的強制を伴う法律と異なり、自発的に正しい行為へと促す内面的原理として働く。
小・中学校の教科の一。生命を大切にする心や善悪の判断などを学ぶもの。昭和33年(1958)に教科外活動の一つとして教育課程に設けられ、平成27年(2015)学習指導要領改正に伴い「特別の教科」となった。
《道と徳を説くところから》老子

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世界大百科事典 第2版

どうとく【道徳】
こんにちの用法では倫理という語と根本的な相違はない。倫とは仲間を意味し,人倫といえば,畜生禽獣のあり方との対比において,人間特有の共同生活の種々のあり方を意味する。倫理とは,そういう人倫の原理を意味し,道徳もほぼ同様であるが,いずれかといえば原理そのものよりも,その体得重点がある。すなわち,道とは人倫を成立させる道理として,倫理とほぼ同義であり,それを体得している状態がであるが,道徳といえば,倫理とほぼ同義的に用いられながらも,徳という意味合いを強く含意する。

出典:株式会社平凡社
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大辞林 第三版

どうとく【道徳】
ある社会で、人々がそれによって善悪・正邪を判断し、正しく行為するための規範の総体。法律と違い外的強制力としてではなく、個々人の内面的原理として働くものをいい、また宗教と異なって超越者との関係ではなく人間相互の関係を規定するもの。
小・中学校において、道徳教育を行う教育課程。1958年(昭和33)に設置。
もっぱら道と徳とを説くことから 老子の学。

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日本大百科全書(ニッポニカ)

道徳
どうとく
moral
道徳は「道」と「徳」からなるが、この場合の「道」とは世の中で人が従うべき道のことであり、「徳」とはそれを体得した状態のことである。すでに中国の古典にあることばで、たとえば『易経』のなかに、「(聖人は)道徳に和順して義を理(おさ)め、理を窮(きわ)め性を尽くして以(もっ)て命に至る」という表現がある。ここでは、道徳は天の道でもあって、人間の従うべき理法と自然の理法とが一体であることが示されている。
 ところで、道徳にあたる英語moral(日本でも道徳のかわりにモラルという表現がよく用いられる)は「習俗」を原義とするラテン語のmoresに由来する。この側面に注目すれば、道徳とは時代的、地域的に限定された特定の社会において成立している慣習的な掟(おきて)の総体とみることができる。したがって、いわゆる礼儀(エチケット)や作法(マナー)も、道徳の一部である。小・中学校に「道徳」の教科があるのも、一つにはこうした礼儀作法への躾(しつけ)が重視されているからであろう。
 17世紀のイギリスの哲学者ロックによると、行為の道徳的善悪は、行為が法に従っているか否かによって決まるが、その法には「神の法」と「市民法」と「世論の法」(「風習の法」)の別がある。神の法に従わない者は来世で罰せられ、市民法に従わない者は法的処罰を、世論の法に従わない者は世間から非難されるという制裁を受ける。ロックはここで広義の道徳について語っているが、普通、道徳とよばれているのは三番目の世論の法であり、二番目の法律としての法から区別される。もっとも法学者のなかには、法(法律)は人間が従うべき「最小限の道徳」であるという見方もあり、この場合には法も道徳のうちに含まれることになる。
 こうした慣習としての道徳は、ロックが世論の法とよぶように、世間の常識に支えられており、なぜそれに従わなければならないかといった反省を必要としない場合が多い。そこでアメリカの哲学者デューイは、慣習道徳と反省道徳とを区別した。反省道徳は道徳的善悪についての反省のうえにたった自律的な道徳で、場合によっては通用している慣習道徳を否定することもある。「道徳」と「倫理」はおおむね同じ意味で用いられるが、区別するとすれば、後者の反省道徳を倫理とよぶのが適切であろう。倫理学は、単に慣習道徳を記述するのではなく、反省道徳の立場にたって道徳の原理を探究する学問である。[宇都宮芳明]

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精選版 日本国語大辞典

どう‐とく ダウ‥【道徳】
〘名〙
① 人間がそれに従って行為すべき正当な原理(道)と、その原理に従って行為できるように育成された人間の習慣(徳)。はじめ慣習、風習、習俗の中に現われるが、人間の批判的な自覚の高まりとともに、慣習や習俗を批判し反省しながら、慣習から分化した精神的規範や規準として現われる。
※続日本紀‐慶雲三年(706)三月丙辰「道徳仁義、因礼、礼乃弘」 〔易経‐説卦〕
② 学道を修めた人の徳。
※蔭凉軒日録‐寛正三年(1462)九月二九日「前夕小雨洒。今晨果日晴。国師道徳所致、尤希有之由」
③ 小・中学校教育課程の一領域。行動の善悪正邪の基本を養うことを目的とする。
※小学校学習指導要領(昭和三三年)(1958)一「道徳の時間においては」
④ 老子の説いた恬淡虚無(てんたんきょむ)の学。もっぱら道と徳を説くところからいう。〔史記‐老子伝〕

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