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道徳劇【どうとくげき】

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

道徳劇
どうとくげき
morality play
中世演劇の1つ。 15~16世紀,啓蒙道徳教訓を目的として演じられた寓意劇。美徳や悪徳,死,友情などの抽象観念を登場人物とし,人間の魂が救済の道にいたるまでの葛藤を象徴的に描く。ヨーロッパの中世劇が,各地の言語による世俗劇へと展開する接点をなす。代表作は,15世紀末のオランダの原作からイギリスで翻案された『エブリマン』 Everyman。 20世紀になって,中世劇への関心が高まり,道徳劇や奇跡劇の復活上演が行われるようになったが,『エブリマン』も 1901年ロンドンで上演され評判になった。また M.ラインハルトは,20年ザルツブルク祝祭において,H.ホーフマンスタールによる『イェーダーマン (人間) 』を野外の広場で上演して成功,以後この劇の上演はそのフェスティバルの恒例となった。

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世界大百科事典 第2版

どうとくげき【道徳劇 morality play】
教訓劇〉とも訳される。真,善,美,信仰,悪,虚栄,放蕩などの抽象概念を擬人化して主要人物とした宗教劇で,多くは民衆に啓蒙と道徳的教訓を与え,また人間の魂の救済を説くものである。イギリス,フランス,ドイツ,オランダなどヨーロッパの中世末期(14~16世紀)に,いわば説教にいくらか喜劇的脚色を加えたものとして栄えたが,作者は性質上たいていは聖職者であった。フランスではもとは道徳的教訓文学一般がmoralitéとよばれたが,のちにはこれらの道徳・教訓的比喩劇もそうよばれ,ときには他の宗教劇や茶番狂言も同じ名でよばれた。

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日本大百科全書(ニッポニカ)

道徳劇
どうとくげき
morality play英語
Moralittenドイツ語
西洋中世末期から近世初頭にかけて盛んであった演劇の一種。個々人の良心に訴え、悔い改めを促す教訓的性格が濃い。聖書や教理を伝えるためではないから狭い意味の宗教劇とはいえない。特定のだれかではなく、人間一般を代表する主人公の写実的な表現と、アレゴリーallegory(徳・悪徳・幸福・財産・死などの概念を役名とする寓意(ぐうい)的な登場人物たち)に特徴がある。1425年イギリスの『忍耐城』、1476年フランスの『正しい人と俗な人』が有名であるが、代表的なものは15世紀末イギリスの『エブリマン』(刊本初版1529)である。これにはほとんど同じ時期に同じ素材によるオランダ語の『エルケルック』があるが、どちらが源であるかはわからない。金持ちのエブリマン(人)が突然「死」の来訪を受ける。それまでの友人たち(「美」「力」「富」)に見放され、「善業」だけを供として神の裁きの前に立つ。この善業の効果をめぐって宗教改革期には神学的論争劇にもなった。エブリマン素材のドイツ語版である『イェーダーマン』では1549年のハンス・ザックスによるものが知られている。現代ではオーストリアのホフマンスタールが英語版からドイツ語に訳した『イェーダーマン』(1911)が、1920年以来ザルツブルク祝祭劇として今日まで毎夏上演されている。[尾崎賢治]

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