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進路指導【しんろしどう】

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

進路指導
しんろしどう
career guidance
中等教育機関でなされる,生徒がその進路について考え,自己将来を選択する能力を培うことを目的とした指導。特別活動の学級活動に位置付けられている。アメリカ職業指導始まり,日本でも第2次世界大戦前から職業指導として行われてきたが,1958年告示の中学校学習指導要領以来,進路指導という名称が用いられるようになった。就職指導と進学指導の2つの側面を持つが,就職,進学に関する情報を提供するだけではなく,生き方につながる進路観を形成するものとして,両者は総合的にとらえられ,教育活動全体を通じて計画的,組織的に行われることが期待されている。

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デジタル大辞泉

しんろ‐しどう〔‐シダウ〕【進路指導】
学生・生徒の卒業後の進路について学校が行う指導。

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監修:松村明
編集委員:池上秋彦、金田弘、杉崎一雄、鈴木丹士郎、中嶋尚、林巨樹、飛田良文
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世界大百科事典 第2版

しんろしどう【進路指導】

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大辞林 第三版

しんろしどう【進路指導】
生徒や学生の卒業後の進路に関して行われる指導。進学指導や就職指導。

出典:三省堂
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日本大百科全書(ニッポニカ)

進路指導
しんろしどう
職業指導という語が発展して進路指導になり、それに進学指導を含むようになった。学校における進路指導は、個人資料、職業・学校情報、啓発的経験(勤労体験活動などによる)および相談を通じて、生徒が自ら将来の進路の選択、計画をし、就職または進学して、さらに、その後の生活によりよく適応し進歩する能力を伸長するように、教師が組織的、継続的に援助する過程である。[坂本昇一]

沿革

職業指導という用語は、1915年(大正4)に入沢宗寿(いりさわむねとし)の『現今の教育』のなかで、vocational guidanceの訳語として用いられたのが最初である。この入沢の職業指導の概念は教育としての職業指導である。1917年に久保良英(よしひで)が東京に児童教養研究所を設立して、選職相談を行ったのが組織的職業指導の始まりである。
 1919年には大阪市に市立児童相談所ができ教育相談部内の一部門として選職相談を行い、1920年に少年職業相談所として独立した。さらに1921年に職業紹介法が制定された。1922年に初めて文部省主催の職業指導講習会が開催され、1924年に東京市の赤坂と小石川の両高等小学校の教育課程に職業指導が繰り込まれた。1926年(大正15)には大日本職業指導協会(1927設立)の前身である職業指導研究会が設立され、また東京、名古屋、神戸などに児童職業相談所が開設された。文部省は1927年(昭和2)に「児童生徒の個性尊重及び職業指導に関する件」(大臣訓令)を発した。これを契機として、従来社会福祉のように考えられていた職業指導が学校教育として認識されるようになり、職業斡旋(あっせん)以上の概念を含むようになった。
 職業指導が学校教育の教育課程の内容になったのは第二次世界大戦後である。1951年(昭和26)の学習指導要領で職業家庭科に職業指導が位置づけられ、職業指導の教職員免許も設けられた。1954年には法規により職業指導主事の設置が定められた。その後、高校への進学率が上昇するとともに、職業指導の概念が生き方の指導という方向に拡大するに伴って、「職業指導」は「進路指導」に変わり、特別活動のなかで年間時数を定めて実施するようになった。[坂本昇一]

内容・方法

進路指導の内容を大別すると次の三つになる。(1)生徒に自分の個性、適性、環境などについての自己理解をさせる。(2)生徒に学校や職業についての詳しい情報を与える。(3)前記の(1)(2)を結合させて進路決定をするときに援助する。これら自己理解を正しく行うために適性検査を利用したり、啓発的な経験を与えたりする。学校や職業についての情報を生徒が自ら集める活動を取り入れたり、それについて学級で話し合ったりすることにより、情報を自分とかかわって考える構えを生徒のなかに育てる。また、進路決定に際しては、個別的な進路相談を行う。これらのことは学校教育のあらゆる場で行われる。すなわち、各教科、道徳、特別活動のそれぞれにおいて行われる。しかし、とくに、特別活動のなかの学級指導において、各学年段階に応じた進路指導の年間指導計画が具体化される。[坂本昇一]

問題点


〔1〕進路の最終決定者は生徒自身であることは理論的に理解されていても、現実の進路の決定は、学校の各教科の成績や模擬テストの結果によって行われる。個人の適性や興味・関心やその他の要因はほとんど考慮されない実状である。理論的な進路指導のあり方と現実のそれとの間のギャップが大きすぎる。
〔2〕一般的には進路指導即進路選択の指導と考えている傾向があり、中学校では3年生の後半に行われるものとされている。1年の進路指導、2年の進路指導、3年の進路指導というように、各段階での進路指導が、首尾一貫したものとして計画され実施されていないことが多い。
〔3〕進路指導は教育課程の全領域で行われ、それを補充し深化し統合するものとして、各学年の特別活動内の学級指導での進路指導があるはずなのに、一般的には、各教科のなかではなされず、学級指導の一部としての進路指導のみになっているという実状である。
〔4〕進路指導はとくに社会の風潮に直接影響を受けやすいだけに、進路指導の直面する問題は過度の受験競争、親や教師の進路指導についての理解不足などによってもたらされているものも少なくない。
〔5〕進路指導の理念についての研究が十分に進んでいないことも問題点とされよう。
 知的偏差値に基づく生徒の選別による進路指導は、高校中途退学生徒の増加(1998年に約11万人、在籍者の2.6%)などからも改善が求められて、進路指導の充実が指向されている。他方、入学試験制度の見直しが進められ、高校入試にも推薦入学制度が取り入れられたり、大学入試には、科目の削減や論文のみの入試などが取り入れられてきている。これらの状況から、偏差値のみの生徒の振り分けの進路指導はやや改善されたものの、やはり、進路指導が生き方の指導のなかに位置づけられて全学年を通じて行われるという状況からはほど遠い。[坂本昇一]
『坂本昇一他編著『進路指導の計画と展開』(1981・ぎょうせい) ▽落合良行他「進路相談において生徒に望まれる教師の対応」(『教育心理学研究』第43巻第4号所収・1995・日本教育心理学会) ▽東京都立教育研究所『進路指導研究プロジェクト 主体的な進路選択能力を育てる中学校進路指導の研究』(1996・東京都立教育研究所) ▽上野香織「女子の進学と両親の教育期待」(『早稲田大学大学院教育学研究科紀要 別冊4号』所収・1996・早稲田大学)』

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精選版 日本国語大辞典

しんろ‐しどう ‥シダウ【進路指導】
〘名〙 学生・生徒の卒業後の進む方向について、学校で行なう指導。職業指導や進学指導のこと。

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最新 心理学事典

しんろしどう
進路指導
career guidance
進路指導とは,1961年の文部省による『中学校進路指導の手びき(学級担任編)』では,「生徒の個人資料,進路情報,啓発的経験および相談を通して,生徒自ら,将来の進路の選択・計画をし,就職または進学して,さらにその後の生活によりよく適応し,進歩する能力を伸張するように,教師が組織的・継続的に指導・援助する過程」と定義されている。なお,進路指導は職業指導ともよばれている。

 進路指導の具体的な内容には,子どもの自己理解の促進,進路情報の提供,啓発的経験の提供,進路相談,追指導などがあり,学校において組織的・計画的にこれらを実施する必要がある。なお,中学校と高等学校では進路指導主事を置き,生徒の職業選択の指導やその他の進路の指導に関する事項について,連絡調整や指導,助言を行なうことになっている。小学校においてもしかるべき担当者(例,キャリア教育推進係)を中心に,キャリア教育を推進する必要がある。従来から,中学校や高等学校での就職・進学指導に終始することなく,小学校段階から生き方の指導として進路指導を行なう必要性が指摘されているが,近年はさらにキャリア教育の推進が図られている。

【キャリア教育career education】 キャリア教育とは,1999年の中央教育審議会答申で「望ましい職業観・勤労観及び職業に関する知識や技能を身に付けさせるとともに,自己の個性を理解し,主体的に進路を選択する能力・態度を育てる教育」と説明され,さらに端的には児童・生徒一人ひとりの勤労観,職業観を育てる教育とされている。キャリアcareerとは,一般には実地・実践の経歴や職業そのものを意味するが,スーパーSuper,D.E.は「生涯の過程を通してある人によって演じられるさまざまな役割の組み合わせの連続」と説明している。つまり職業人は,子ども,学生,親,市民,余暇人などとともに,役割(ライフロール)の一つとされ,生涯の各段階によって,役割の組み合わせ方や比重は異なる。こうした役割の組み合わせ方の様相の変化には一定の方向性や過程が存在すると考えられ,キャリア発達career developmentとよばれている。キャリア発達の考え方では,各段階で達成されるべき発達課題があるとされ,単に進学や就職の段階だけが重要なのではなく,職業を中心とした生涯にわたる生き方に関する問題となる。

【キャリア教育の理論】 キャリア教育の代表的な理論に,スーパーによる職業的発達理論career development theoryがある。これは,職業生活の諸段階,自己概念理論,職業的成熟理論からなり,とくに自己概念の形成と実現(職業的自己実現)に注目した点が特徴といえる。それによると,青年期以降のキャリア発達は,自己概念の形成段階,自己概念を職業上の用語に翻訳し当てはめる段階,そして自己概念を実現する段階に大別される。このように,キャリア発達は生涯にわたる過程であるが,古くから注目されている,個人の能力や興味などの特性と職業が求める要因との適合を重視する点に変わりはない。また,ホランドHolland,J.L.の理論は,人格を欲求・興味・性格などによって類型化し,各類型に適合した職業分野を見いだすことを試みている。この理論に基づく職業興味検査vocational preference inventory(VPI)が開発されており,類型は現実型,研究型,芸術型,社会型,企業型,慣習型の六つとなっている。この検査は大学生以上が対象の検査であるが,自己理解の促進とそれに基づく個別支援のためには,有効な理論とツールの一つとなっている。

 これら以外に,予期していなかった偶然の出来事によってキャリアが形成されていくことに注目した計画された偶発性理論planned happenstance theoryが,クランボルツKurumboltz,J.D.によって提唱されている。これは人間が,環境や状況によって行動を変えていく側面に焦点を当てた理論である。

【学校におけるキャリア教育】 進路指導から発展してキャリア教育の推進の必要性が重視されるようになったことの背景には,少子高齢社会の到来や就職・就労をめぐる社会環境の変化と,一方で若者の変化がある。すなわち,定職に就かずアルバイトなどで生計を立てるフリーターfreeterや,わが国では就労意欲のない若者を意味するニートNEETに代表される若者の勤労観や職業観の未発達,あるいはモラトリアム傾向の広がりなど精神的・社会的自立の遅れである。このためキャリア教育には,子どもの発達段階に合わせてキャリア発達を促し,各人が社会とのかかわりの中で自立ができるように,これまでの教育のあり方を見直していくための教育改革の理念と方向性を示すものという意義がある。

 学校で勤労観・職業観を育てるための学習プログラムとしては,2002年に国立教育政策研究所生徒指導研究センターによって枠組み例が示されている。その中では,四つの能力領域(人間関係形成能力,情報活用能力,将来設計能力,意思決定能力)が挙げられ,小学校の大まかな学年区分および中学校・高等学校の校種区分ごとに,児童生徒が到達することが望ましいとされる能力や態度が例示されている。

 キャリア教育のための系統的・計画的な取り組みはキャリア・ガイダンスcareer guidanceとよばれている。そのための具体的な手順としては,大まかに①目標設定(育てたい児童生徒像の明確化),②児童生徒の実態把握,③校内体制づくり(キャリア教育推進委員会などの設置),④教育計画の立案(教育課程への位置づけを含む),⑤教員研修,⑥キャリア教育の実践,⑦評価と改善が挙げられる。キャリア教育の実践面では従来に比べ体験活動などの活用が進み,職場・職業体験,インターンシップ(就業体験),ボランティア活動,地域の職業調べ,保幼小中高大などの多様な学校と施設間の連携,上級学校調べなどが実施されている。単なる体験に終わらないように,事前・事後指導を含めて,活動などのねらいが達成されるように配慮する必要がある。

 なお,キャリア教育の中で相談的側面が強いものがキャリア・カウンセリングcareer counseling(進路相談)とよばれている。これは単なる進学・就職相談ではなく,最終的に一人ひとりの児童・生徒の職業や人生に取り組もうとする態度や準備状況(職業レディネスcareer readiness)を高め,キャリア発達を促す教育活動であり,児童・生徒の自己理解を促進するとともに,指導者が児童・生徒への理解を進め,その変容を的確にとらえて発達を支援する必要がある。 →キャリア発達 →生徒指導
〔小泉 令三〕

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