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近代国家【きんだいこっか】

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

近代国家
きんだいこっか
近代市民階級を基礎とする国家。地域国家としての近代国家の枠組みをつくり上げたのは絶対主義で,主権の名のもとに国王は中世的な上位の権威の拘束を脱して至高性を要求し,また領域内の聖,俗領主や都市のあらゆる権力に優越する絶対性を要求した。これを現実化したのは,間接には封建的生産様式の崩壊によって解放された生産および交通技術の発展であり,直接には国王の傭兵から成る職業的軍隊が,分散した封建的軍事力を無力化し,強力な家産官僚制が,権力機構としての割拠的な封建権力を一元化していった。また権力と癒着した前期的商業資本は,その財政を支えた。このような中央集権化の過程に対応して,底辺の共同社会では生産構造の多様化が進行し,財を蓄積した自作農やマニュファクチュア生産者によって,新たに市民層が形成された。しかも,絶対主義国家の枠内でつくられた広域市場での自由な交易を通して共通の利害が生じるとともに,それを基盤とした市民層の政治的一体意識によってネーション (民族,国民) が形成されるにいたった。この市民層は初めは絶対主義と密着していたが,やがて自己主張を行うようになる。まず宗教改革によって個人の内面に干渉する絶対主義権力をはねのけ,また社会契約論によって支配者の権力行使に制約を課した。次いで,過酷な徴税や市場経済への介入に抗して市民革命を強行し,ここに君主主権は国民主権に転換し,「第三階級がすべてである」市民国家が登場した。それは,私有財産と分業とを特質とする商品生産社会としての市民社会を基盤としていた。したがって政府機能は,財産擁護という最小限のものに限定された。こうして,権力分立と国民代表の原理とに支えられた自由主義的な近代国家が生れた。それは,「名望家支配」という言葉に象徴されるように,選挙権の制限などによる産業資本家を主体とした市民階級の体制であったともいえる。

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デジタル大辞泉

きんだい‐こっか〔‐コクカ〕【近代国家】
封建国家や絶対主義国家の崩壊後に、市民革命によって成立した国家。自由・平等、基本的人権保障議会政治法治主義による中央集権制などを特徴とする。

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監修:松村明
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世界大百科事典 第2版

きんだいこっか【近代国家】

出典:株式会社平凡社
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大辞林 第三版

きんだいこっか【近代国家】
中世封建国家や近世の絶対主義国家の崩壊後に成立した国家。国民の代表機関である議会制度、統一的に組織された行政制度、合理的法体系に基づく司法制度、国民的基盤に立つ常備軍制度などが整備され、中央集権的統治機構をもつ国家。

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日本大百科全書(ニッポニカ)

近代国家
きんだいこっか
modern state
一般には、17、18世紀のイギリス革命やフランス革命以後の近代社会・近代世界に登場した国民(民族)国家をいう。その意味では、現代資本主義国家、社会主義国家、発展途上国なども広くその範疇(はんちゅう)に含めて考えてよいであろう。いずれにせよ、この近代国家は、ギリシアの都市国家、中世の封建国家、あるいは市民革命前の絶対主義国家とは、政治原理や政治運営の方法においてその性格を大きく異にする。
 近代国家の政治原理としては、主権は国民にある(国民主権主義)、政治は国民が選出した代表者からなる会議体(議会)の制定した法律によって運営される(法の支配)、国民の権利・自由は最大限に保障され(人権保障)、そのためには民主的政治制度(代議制・権力分立)の確立を必要とする、などがあげられる。このような近代国家の論理や政治思想は、ホッブズ、ハリントン、ロック、モンテスキュー、ルソーなどによって体系化されたものである。
 近代国家は、ギリシアの都市国家や中世の封建国家とは異なり、その規模(領土)においても人口の数においてもきわめて巨大な統一国家である。また絶対王政末期のイングランドにみられるように、この政治共同体内部ではすでに分業による生産組織(資本主義)が広範に形成され、いまや商工業者(市民)の力は無視できない状況にまでなっている。したがって、こうした政治共同体においては、もはや君主や少数の貴族による力の支配は時代遅れのものとなり、不適合なものであった。国民のエネルギーを結集し、生産力の飛躍的発展を図るためには、国民の多数が政治に参加し、共通の法律を基礎にして統治し統治される自由で安定した政治運営の確立が必要となった。このようにみるとき、国民の自由や平等の確立要求、国民主権主義、法の支配、議会制民主主義の思想や制度、いや近代国家の成立そのものさえが、新しい経済組織(資本主義)の発展と密接な関係にあったことがわかる。
 ところで、近代国家形成の初期には、地主階級や上層ブルジョアジー以外の人々は参政権を認められていなかったから、近代国家の標榜(ひょうぼう)する国民の権利・自由の保障はかならずしも十分なものとはいえなかった。この問題は、産業革命後、急速に増大し始めた中・小市民層や労働者階級による政治参加の要求が高まるにつれて、19世紀から20世紀の間(かん)に各国において普通選挙制が実施されるなかで、しだいに改善されていった。また資本主義経済を基礎にして出発した近代国家においては、その後、資本主義の発展によって、恐慌、失業、貧困などのさまざまな経済・労働・社会問題が発生した。この問題については、19世紀末ごろからとくに世界大恐慌以後、国家が社会保障や社会福祉の充実に努め、財政・金融政策などをはじめとする福祉・経済・労働政策を実施することによって、その解決策を図っている。こうして、現代の国家は、政府が経済の運行に積極的に関与し経済成長と経済の安定を図るいわゆる「混合経済」を基調とする性格をもつものとなり、このような国家は、今日では、福祉国家、行政国家、修正資本主義国家、国家独占資本主義国家などのさまざまな名称でよばれている。
 そのほか現代の国家には、資本主義とは異なる社会主義の原理に基づいて建設された社会主義国家や、資本主義と社会主義の双方の原理を組み合わせたような多数の発展途上国もある。このように現在この地球上には、政治・経済体制を異にする約200か国の国民国家が共存しているが、そのほとんどは、国民の権利・自由の確立と生活の安定を努力目標に掲げている。その際すべての国々の政治運営の指針となるものは、近代国家成立期から現代に至るまで「自由と平等」「民主主義と平和」の確立を求めて努力してきた人類の歴史と思想原理のなかにみいだすことができよう。[田中 浩]
『田中浩著『国家と個人』(1990・岩波書店)』

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精選版 日本国語大辞典

きんだい‐こっか ‥コクカ【近代国家】
〘名〙 身分制的な絶対主義国家体制を否定してできた、国民が主権を持つ近代的な国家。原則として法治主義をとり、人間の自由、平等、基本的人権の保障、議会政治などを特徴とする。民族を単位として形成された事例が多く、この場合には国民国家ともいう。
※新小説‐大正五年(1916)二月号・街頭の群集〈大山郁夫〉「民族関係乃至国民関係を基礎とする近代国家を建設するために必要であった」

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