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身分【みぶん】

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

身分
みぶん
status; Stand
特定の歴史的社会における固定化された階層をさすこともあれば,またある社会体系内で,ある特定の個人がある期間占める地位をさすこともある。 F.J.テンニェスゲマインシャフトゲゼルシャフトの概念を対応させ,身分をゲマインシャフト的関係のうちにみたことなどは前者に属する。この場合には,身分は封鎖的,固定的であり,法,慣習によって規制されているものと考えられる。中世にみられる身分制度あるいはカーストなどはその端的な例としてあげることができ,しばしばこれは近代的階級の概念と対置的にとらえられる。後者の場合は,社会関係の体系のなかで個人が占める地位をさすもので,そこではその地位を占める個人に対して,社会が課している態度,価値,行動のすべてとのかかわり合いが問題となる。この場合地位 (身分) は役割と対応する概念としてとらえられる。しかし身分という訳語は,どちらかといえば前者の意味を強くもつものとして用いられており,後者の場合は身分よりは「地位」という訳語のもとにとらえるほうが適切である。

出典:ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
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デジタル大辞泉

み‐ぶん【身分】
ある集団・組織における、その人の地位・資格。「身分を明かす」
封建的社会における上下の序列。「身分の違いを考える」
境遇。身の上。やや皮肉をこめていう。「まったく気楽な御身分だ」
人の法律上の地位。民法では親族法上の夫・妻というような特定の地位をいう。

出典:小学館
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世界大百科事典 第2版

みぶん【身分 status】
地位階級などと同様,社会における人々の序列的位置を指示する概念。階級が経済関係を基底とする人々の序列化であるのに対し,身分の序列化は法または慣習によって定まる。また,地位の配分には世襲による属性的地位と,業績による獲得的地位があるが,身分は属性的地位であり,地位移動すなわち身分の上昇・下降は非常に困難であり,固定的な序列として人々に観念される。人々の序列化における身分から階級へという移行は,中世封建社会から近代産業社会への変化の一つの指標でもある。

出典:株式会社平凡社
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大辞林 第三版

みぶん【身分】
その人が属する社会における地位や資格。 「 -を保障される」 「 -を証明する物」
境遇。 〔「いい身分だ」などの形で、恵まれた境遇にある人に対して、皮肉を込めて用いることがある。「遊んで暮らせるなんて、いい御-だね」〕
封建社会における制度的階級序列。西洋中世の貴族・僧侶・市民・農奴、日本江戸時代の士・農・工・商の類。 「 -制度」
法律が規定する関係としての地位。

出典:三省堂
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日本大百科全書(ニッポニカ)

身分
みぶん
status英語
Standドイツ語
tatフランス語
この概念は国により時代によってかならずしも一定しない。
(1)ごく広義には、特定の社会またはその内部の集団のなかで個人が占める地位を意味し、それに付随する役割とともに、他に対しなんらかの上下・同等の別とつながる権利・義務関係を伴う場合をいう。この場合の身分を構成する要因は、血統や家柄、財産や権力、職業や収入、教養や名誉などであって、それらに対して上下・優劣の差別評価がなされる。
(2)身分法や親族法にみられる身分とは、親子、夫婦、きょうだい、親族の間の人間関係が多少とも支配と被支配、権威と恭順の関係を特色とする場合にいわれる。
(3)歴史的な概念としての身分とは、とくに中世の封建社会にみられるような、世襲によって固定化された生得的な社会的地位をいう。その場合、この地位は生得的であるためにきわめて閉鎖的・固定的であり、しかもそれが通婚の制限とか職業の世襲あるいは一定の生活様式の遵守などのように法的な規制を受けることによって、相互に排他的・閉鎖的な性格をいっそう強めることになる。こうして、ある社会の内部で社会的名誉とか威信の享有度に応じてくぎられた各身分は、身分的特権の有無とか系統や家格の高下・貴賤(きせん)およびそれらに対応する固有の生活様式や生活態度、職業や教養によって特徴づけられ、それらを純粋培養することになる。この種の身分は閉鎖的階級ともよばれ、また、歴史的な意味を離れて、より一般的には社会階級(差別評価による威信に基づく階級または身分的性格の強い階級)を意味することもある。[濱嶋 朗]

身分と差別

歴史的概念としての身分の例としては、中世封建社会における士・農・工・商の身分別がある。これらの身分別は、通常、一定の社会のなかで人々が営む職能の別と不可分に結び付いており、それぞれの職能に特有の生活態度、慣習、意識、行為様式などが付着する。そして、これらの諸特徴に対し差別的な社会的評価が与えられ、威信や名誉の大小、特権の有無などを伴う上下、支配・被支配の関係を伴うことになる。その場合、富力、財力といった経済的勢力の所有はかならずしも高い社会的尊敬を受け、名誉を与えられるとは限らない。むしろ、ある特別の生活様式や生活態度に対して与えられる社会的尊敬(したがって名誉や威信)が重要な意味をもつ。にわか成金が貴族の称号や官職を買い求めたり、貴族の生活様式を模倣したりするのはそのためである(町人貴族)。
 すでにみたように、身分別の生活様式、生活態度、特権などは、支配的上層身分が自己の身分支配を正当化し、身分秩序を維持する必要から、法制的に固定化され、世襲化されるが、この世襲的固定化がさらに進んで、身分別が法制上ばかりか宗教的、儀礼的にも保証されるようになると、カーストが成立する。古代インドのバラモン、クシャトリア、バイシャ、シュードラ、不可触民の威信序列と支配秩序(カースト制度)は、異なるカースト間の自由な接触を厳しく制限し(食事の同席の禁止、摂食禁制、通婚の禁止など)、また業による輪廻(りんね)・因果応報思想によって自らを正当化してきたが、現代では近代化の趨勢(すうせい)下で解体過程をたどっている。なお、アメリカ南部における白人と黒人の間にも人種に基づく社会的差別があり、政治的・経済的な権利と地位の不平等、人種的な差別と偏見を伴っているが、これもカーストの変形といえないことはない。[濱嶋 朗]
『R・リントン著、清水幾太郎・犬養康彦訳『文化人類学入門』(1952・東京創元社) ▽M・ウェーバー著、濱嶋朗訳『権力と支配』(1954・みすず書房)』

出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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精選版 日本国語大辞典

しん‐ぶん【身分】
〘名〙
① 身のほど。みぶん。分際。〔広益熟字典(1874)〕 〔顔氏家訓‐省事〕
② 体を形成する部分。また、体を養う飲食、衣服、臥具などをいう。
往生要集(984‐985)大文一「一切身分、分分分離」
※幸若・信太(室町末‐近世初)「五躰しんふんきれそんじ、あまりくつうの有時は、しゃおちばやと思ひしが」 〔遺教論〕

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み‐ぶん【身分】
〘名〙
① 社会における地位。社会的な序列。
※浮世草子・人倫糸屑(1688)潜上者「己が身分(ミブン)をかへりみず」
※日本国憲法(1946)一四条「すべて国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない」
身の上境遇
※滑稽本・浮世風呂(1809‐13)四「ハテ、結構な御身分(ゴミブン)だ」
③ 人の法律上における地位、資格。
(イ) 民法では親族法上における特定の地位をさす。〔仏和法律字彙(1886)〕
※民法(1947)七八九条「父が認知した子は、その父母の婚姻によって嫡出子たる身分を取得する」
(ロ) 社会的組織の中での地位。特に、公務員など公務上の一定の地位、その地位に伴う権利・義務。→身分犯

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