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超越【ちょうえつ】

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

超越
ちょうえつ
transcendence; Transzendenz
内在に対する哲学神学用語。神が現実世界をこえてその外にあるとか,対象が人間の意識の外に,あるいは意識と独立に存在すると考える場合などがその例。ラテン語 transcendensは元来スコラ哲学における用語で,アリストテレスの 10範疇のなかに包摂されない存在の属性をいう。カントでは可能的経験をこえるものをいった。現代実存哲学では,人間が日常的現実を乗越えてゆくことに本来の人間のあり方をみ,これを「超越する」といった。

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デジタル大辞泉

ちょう‐えつ〔テウヱツ〕【超越】
[名](スル)
普通に考えられる程度をはるかにこえていること。ずばぬけていること。「人間の能力を超越した技術」
ある限界や枠をはるかにこえていること。また、その物事からかけ離れた境地にあって、問題にしないこと。「時代を超越した作品」「世俗を超越する」
《〈ドイツ〉Transzendenz》哲学で、
㋐人間一般の経験や認識の範囲(次元)外にこえ出ていること。
カント哲学では、あらゆる可能的経験をこえた、超感性的なものについての認識を超越的といい、超越論的先験的)と区別した。超絶
現象学では、意識内在に対し、自然的態度に付着する意識超越をいう。
順序をとびこえて高い地位につくこと。とびこすこと。ちょうおつ。
「数のほかの四の宮に―せられ」〈保元・上〉

出典:小学館
監修:松村明
編集委員:池上秋彦、金田弘、杉崎一雄、鈴木丹士郎、中嶋尚、林巨樹、飛田良文
編集協力:田中牧郎、曽根脩
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ちょう‐おつ〔テウヲツ〕【超越】
ちょうえつ(超越)4」に同じ。
「次男宗盛中納言にておはせしが、数輩の上﨟を―して」〈平家・一〉

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世界大百科事典 第2版

ちょうえつ【超越 transcendence】
もろもろの類genusを超え出るものを意味する,中世スコラ哲学・神学の重要な概念。ふつう〈一unum〉〈真verum〉〈善bonum〉などが〈超越(するもの)transcendens,transcendentia〉と呼ばれ,〈ものres〉〈(あ)るものaliquid〉〈美pulchrum〉などが加えられることもある。超越理論の歴史は〈在るもの〉と〈一〉とをめぐるアリストテレスの形而上学的思索にまでさかのぼり,新プラトン主義哲学,およびその影響を受けたキリスト教およびイスラムの思想家たちによって発展させられたが,その体系的解明は13世紀において,とりわけトマス・アクイナスによって成就された。

出典:株式会社平凡社
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大辞林 第三版

ちょうえつ【超越】
スル
普通の程度をこえ、すぐれていること。とびぬけてすぐれていること。 一人だけ-した力を持つ
俗事にこだわらないこと。 世俗を-している
順序などをとび越えること。とび越えて高い位などにつくこと。ちょうおつ。 あまつさへ又数のほかの四宮に-せられ/保元
ドイツ Transzendenz
何ものかを超え、その外または上に位置すること。世界の創造主として世界を超えている神、意識によって定立されるのではなくそれから独立する存在など。
カントでは、感性的直観により経験することができない超感性的なもの、現象に対する物自体をいい、超越についての認識を「超越的」と呼んで「超越論的(先験的)」とは別のものとする。
ハイデッガーでは、現存在(人間)が、諸々の存在者を超えて存在そのものに開かれてあること。
▽⇔ 内在

出典:三省堂
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ちょうおつ【超越】
ちょうえつ(超越)に同じ。 数輩の上﨟を-して/平家 1

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日本大百科全書(ニッポニカ)

超越
ちょうえつ
transcendence 英語 フランス語
Transzendenzドイツ語
超越とは、ある領域を超え出ること、または超え出ていることで、当の領域内にとどまる「内在」に対立する。また超え出た先の領域に存在するものも、超越もしくは超越者とよばれるが、その内容は超え出られる領域がどのような領域であるかによって種々異なる。
 キリスト教では、神は世界から超越した超越神であって、世界の外にあって無から世界を創造し、それを維持していく超越因と考えられる(これに反してスピノザなどの汎神(はんしん)論では、神は世界のなかにあって世界を規制する内在因である)。さらにキリスト教では、信仰の領域は人間の知力の及ぶ合理的認識の領域を超えるものとされ、そこから、たとえばグノーシス派は、超越的な神を認識するのに、合理的知識とは異なる神秘的な知識、すなわちグノーシスの必要を説いた。
 また、超え出られる領域が感覚を通じて現れる現象界である場合は、感覚によってはとらえられず、ただ理性によってのみ知られる世界が超越界であって、たとえばプラトンのイデア界がそれにあたる。
 近世に入ると、人間の意識を基準として意識内の内在と意識外の超越とが区別されるが、その際意識の外に超越するものを認めないですべてを意識内の表象に還元するのが内在主義で、その極端な形式が唯我(ゆいが)論的な観念論である。他方、意識外の超越を認めて意識からの対象の独立を説くのが、素朴実在論に始まる各種の実在論で、唯物論もこの系列に属する。[宇都宮芳明]

出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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精選版 日本国語大辞典

ちょう‐えつ テウヱツ【超越】
〘名〙
① 他のもの、また標準をはるかにこえてまさること。ぬきんでること。超絶。
※江談抄(1111頃)五「清行才名超越於時輩
※米欧回覧実記(1877)〈久米邦武〉一「若し全屋を権衡して較べるときは、其重量は迥(はる)かに超越すべしと云」 〔石崇‐大雅吟〕
② とびこえること。順序をとび越えて高い境地や位につくこと。ちょうおつ。
※性霊集‐九(1079)奉勧諸有縁衆応奉写秘密蔵法文「則不経三僧祇、父母所生身、超越十地位、速証入心仏」
③ ある生活態度や考え方などから脱して、より高い立場にあること。超絶。
※二百十日(1906)〈夏目漱石〉三「齷齪たる塵事を超越(テウヱツ)するんだ」
④ (Transzendenz の訳語) 哲学で、一般に制限や不完全さ、理解や自然などからはるかにぬきんでていること。スコラ哲学で、アリストテレスの範疇にはいらない存在、善、神といった概念のあり方。カント哲学で、超感性的なものがわれわれの経験から独立であること。実存哲学で、無自覚な日常的存在の立場から哲学的自覚の立場へ超えて進むこと。超絶。⇔内在

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ちょう‐おつ テウヲツ【超越】
〘名〙 =ちょうえつ(超越)②〔色葉字類抄(1177‐81)〕
※高野本平家(13C前)一「次男宗盛中納言にておはせしが、数輩の上臈を超越(テウヲツ)して」

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