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資本蓄積【しほんちくせき】

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

資本蓄積
しほんちくせき
capital accumulation
(1) 近代経済学では実物的な資本の追加,すなわち資本形成または投資同義語に用いられる。 (2) マルクス経済学では,生産過程で生み出された剰余価値を新たに資本に投入することをいい,したがって資本蓄積は必然的に拡大再生産を意味する。

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世界大百科事典 第2版

しほんちくせき【資本蓄積 accumulation of capital】

[近代経済学]
 資本労働および土地と並んで生産要素に数えられ,それらが生産過程において協同することによって財貨・サービスが生み出される。労働および土地は本源的生産要素と呼ばれるが,資本がそれらと異なるのは,資本は生産物の一種であり,生産過程から生産されるということである。すなわち,資本は生産された生産要素あるいは生産された生産手段である。このように生産過程に用いられる資本は実物資本であって,貨幣の形態をした貨幣資本金融資本ではない。

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大辞林 第三版

しほんちくせき【資本蓄積】
剰余価値の一部を資本に再転化し、生産規模を拡大していくこと。

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日本大百科全書(ニッポニカ)

資本蓄積
しほんちくせき
accumulation of capital英語
Akkumulation des Kapitalsドイツ語
資本のとらえ方には実物的なとらえ方と貨幣的なとらえ方とがあるが、資本蓄積もこれに対応して二つのとらえ方に大別される。実物的なとらえ方は、主として近代経済学が追究するところであり、一方、貨幣的なとらえ方は、マルクス経済学で重視されている。[大塚勇一郎]

近代経済学

資本蓄積とは資本財ストックの増加のことで、資本形成ともいわれる。資本蓄積の経済分析は、重農学派にすでにその萌芽(ほうが)がみられるが、古典派経済学において初めて明確な形をとる。D・リカードは、資本蓄積の進行はより劣等な農地の耕作をもたらし、農産物価格の騰貴を通じて利潤率を低下させるとした。利潤率の低下は資本蓄積を減速させ、経済を定常状態へと導くことになる。R・F・ハロッドは、J・M・ケインズの『雇用・利子および貨幣の一般理論』(1936)の長期化に努めた。ケインズ以前の経済学においては生産能力と有効需要の間に差異は認められず、生産能力の拡大はそのまま現実の産出量の増加に結び付くものと考えられていたが、ハロッドは、生産能力の完全利用をもたらす資本蓄積経路と現実の蓄積経路(そして労働の完全雇用をもたらす経路)を截然(せつぜん)と区別し、前者は特殊な条件においてのみ実現されることを明らかにした。こうした独立の経路を前提にしつつ資本蓄積の問題を分析しようとしたところにハロッドの意義があるといえる。1950年代になると、新古典派の理論が展開されるようになる。そこでは資本の完全利用と労働の完全雇用がともに満たされるような均衡経路の研究が主要なテーマとなる。
 ケインズやハロッドは、資本蓄積をもたらす投資を資本主義経済の原動力ととらえ、成長・衰退・変動をもたらす動的な要素として位置づけた。J・ロビンソンやN・カルドア、L・L・パシネッティらの資本蓄積論も同様である。たとえばロビンソンは、経済諸量は資本蓄積率に規定され、それが高ければ高いほど資本利潤率は高いこと、そして資本蓄積率を規定するものは、ケインズのいうように、企業家のアニマル・スピリットであるとみる。これに対して新古典派では、投資の重要性は比較的小さく、完全雇用(利用)産出量をもたらす技術的関係と、それから派生する効率性や価格メカニズムの問題が重視されることになる。
 なお、これらの理論においてかならずしも明らかでない資本蓄積と経済の再生産構造との関係は、一方においてK・マルクスによって、他方においてフォン・ノイマンやW・レオンチェフらによって分析が行われており、さらにこれらとは異質な内容をもって、L・L・パシネッティによって展開されている。[大塚勇一郎]

マルクス経済学

資本によって増殖された剰余価値を追加資本として用いること、あるいはその剰余価値を資本にふたたび転化することを資本の蓄積という。したがって資本の蓄積は、一方で生産の繰り返しの連続的流れ、再生産を含み、他方ではその再生産の量的拡大として現れる。資本蓄積の動因は、価値増殖が自己目的たる資本の本質規定そのものにある。資本は競争に負けずに存立を維持するためには絶えず生産規模を拡大していかなければならないが、それは資本の累積的蓄積によってのみ可能なのである。こうして資本にとっては、蓄積のための蓄積、生産のための生産の拡大が至上命令となる。貨幣蓄蔵者においては個人的狂気として現れた絶対的致富衝動は、資本家においては彼が1個の動輪として組み込まれているところの社会的機構の作用となるのである。
 生産の繰り返しの連続的流れのなかでは、資本蓄積の源泉は労働者のつくりだした剰余価値の一部となる。1回きりの生産過程では賃金は資本家のあらかじめ準備した貨幣(=可変資本)の前払いであるが、同一規模の生産の連続的繰り返しではその外観的性格は消えうせ、労働者がそれ以前の過去の生産過程ですでに生産し貨幣に実現した価値の一部でもってこの生産過程の賃金が支払われるようになり、これを永久に繰り返すのである。これは資本全体についても同じで、連続的流れの再生産では、資本は初め自ら労働して得たものでも、資本として投ぜられるなら、一定期間後には遅かれ早かれ対価なしに取得された価値、すなわち蓄積された剰余価値、他人の不払い労働の結晶となる。なぜなら、労働しない者は他人の労働を手に入れない限りその間自ら創造した価値を消費するにすぎないのであり、それ以外はなんらの価値も消費できないからである。
 さらに再生産の量的拡大、拡大再生産は、剰余価値の一部を追加資本として投下することによって行われるが、この資本部分は初めから蓄積された剰余価値以外のなにものでもない。したがって資本は初めから他人の不払い労働の結晶、堆積(たいせき)であり、この本質が蓄積過程で前面に出てくるのである。そして資本の蓄積は累進的な規模での資本の再生産であり、過去の不払い労働の所有が今日の生きた不払い労働の取得を可能にし、ますます拡大する唯一の条件になる。したがって最初に投下された資本は、資本に再転化した剰余価値すなわち蓄積された資本に比較するとまったく消えてなくなりそうな量(数学的意味での無限小)になる。
 このように蓄積は、資本をして永久に不払い労働の取得の手段として運動を続けさせ、労働者を賃労働として再生産し、労働者の搾取条件を永久化する。それは商品および剰余価値を生産・再生産し、拡大再生産するだけでなく、資本関係そのもの、一方における資本家と他方における賃労働者を再生産し、拡大再生産する。
 こうして商品生産のもとでは自己労働に基づく所有が、資本主義生産のもとでは、資本家の側では資本による他人の不払い労働およびその生産物を取得する権利となり、労働者の側では自ら生産した自己の労働生産物を取得することの不可能性となる。かくて労働力売買の等価交換は仮象にすぎなくなる。
 資本を維持するために絶えずそれを増大させなければ競争に打ち勝てない資本主義生産では、そのために累積的蓄積を行うが、それはまた個別資本間の競争と相互の反発を激化させる。資本の蓄積はこのように個別資本の競争を通じて資本の集積・集中を相互に促進して労働の社会的生産力を高めていくのである。
 この労働生産力の増大は資本の有機的構成を高度化させる。そのもとでは労働に対する需要は、絶対的に増大するとはいえ、資本全体に比べて相対的に減少し、資本の大きさが増大するにつれてさらに加速的、累進的に減少する。そのうえ投下資本は資本蓄積と集中により加速的に増大するのに対し、それ以上に可変資本の相対的減少が速められるから、絶えず相対的過剰人口(=失業者)が形成され、累積していく。こうして資本蓄積から生み出される相対的過剰人口は、産業予備軍として資本の突然の膨張の際の労働需要に対処し、資本蓄積の槓杆(こうかん)として作用するとともに、就業労働者の労働条件、賃金を圧迫する。したがって相対的過剰人口の存在は、労働者の就業を圧迫し、生存条件をますます不安定にし、労働者の貧困化を必然化する。
 このように資本の蓄積は、資本を増大し、労働生産力を高め、資本の支配圏を拡大するが、それと同時にその同じ原因が労働者を増大し、労働苦を広げ、資本への隷属をいっそう強化し、資本の有機的構成の高度化による相対的過剰人口を増大し、労働者の極貧層、受救貧民をも分厚く沈殿させる。したがって資本の蓄積は一方の極での富の蓄積と、他方の極での貧困、労働苦、奴隷状態、無知、粗暴、道徳的退廃の蓄積とを固く結び付けて進行する。これが資本主義的蓄積の敵対的性格であり、その絶対的、一般的法則である。[海道勝稔]
『R・F・ハロッド著、高橋長太郎・鈴木諒一訳『動態経済学序説』(1953・有斐閣) ▽富塚良三他編『資本論体系3 剰余価値・資本蓄積』(1985・有斐閣) ▽K・マルクス著『資本論』第1巻第7篇(向坂逸郎訳・岩波文庫/岡崎次郎訳・大月書店・国民文庫)』

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精選版 日本国語大辞典

しほん‐ちくせき【資本蓄積】
〘名〙 利潤の一部を資本に繰り入れて生産規模を拡大し、絶えずより多くの利潤を求めること。資本集積。〔尖端語百科辞典(1931)〕

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デジタル大辞泉

しほん‐ちくせき【資本蓄積】
剰余価値の一部を資本に転化し、生産規模を拡大していくこと。

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