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豪農【ごうのう】

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

豪農
ごうのう
江戸末期から明治維新期の農民諸階層の一つ。比較的大規模な土地を所有し,その大部分を小作に出している地主であるが,残りは手作りし,同時に手工業や商業を兼業した。村役人を兼ねるものが多い。幕末・維新期の政治経済において重要な役割をになったため,研究史上その性格規定には諸説があるが,資本主義の内在的発展を認める立場から行われた性格規定が一般的。それによると江戸時代における小農経営の成立から,次第に農民的剰余がみられるようになり,それに村役人の権限などを利用した剰余の集積,土地集積への転化がはかられ,事実上の農民的土地所有を実現させる日本型富農としての豪農経営の成立をみる。封建制崩壊期には領主層への上昇転化がみられたが,維新後,近代化の諸条件が整うと再び資本主義的経営を展開し,政治的には自由民権運動の主要なにない手となる。運動の挫折後は松方デフレ (→松方財政 ) の展開と相まって寄生地主化していくという。しかしこれには異論もあり,豪農の本質は質地地主であるとしてブルジョア的性格を過小評価し,それゆえ上昇転化もありえないとする批判もある。

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デジタル大辞泉

ごう‐のう〔ガウ‐〕【豪農】
多くの土地・財産を持ち、その地方勢力のある農家

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世界大百科事典 第2版

ごうのう【豪農】
18世紀半ば以降,小商品生産の展開に伴って成長していった村方地主をいう。経済的には作徳地主として小作人から小作料をとり,買占め商人として前貸しによって小生産者の生産した商品を手に入れ,みずからも生産者として年季奉公人を使役しながら,穀作とともに商品生産を行っているという,三つの性格をもっている。社会的には,村落共同体代表者として共同体的規制関係の頂点にあるとともに,村役人として農民支配の末端機構に組み込まれて階級的強制関係の先端に位置づけられていた。

出典:株式会社平凡社
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大辞林 第三版

ごうのう【豪農】
財力や勢力のある農家。

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日本大百科全書(ニッポニカ)

豪農
ごうのう
江戸末期から明治前期にかけて存在した上層農民。多くの田畑山林を所有し、貸付地主としての側面をもつとともに、地主手作り経営を行い、あるいは農村小工業の経営に従事し、さらに村役人や区戸長などを務めるなど、地域社会の動向に重要な関連を維持していた。豪農の土地所有の経過は多様であるが、とくに江戸時代の中期以降、商品貨幣経済の進展を背景に、農民の階層分化が進行し、豪農とよばれる上層農民が増加することとなった。幕末から明治前期にかけて、雇用労働力に依存する、5~6町歩から10町歩程度の規模をもつ豪農経営が全国各地に存在した。豪農の勧業型地主としての側面を示すものであり、新種苗や新式農具の導入に熱意をもち、養蚕・製糸などの事業に進出する者も多かった。徳富蘇峰(とくとみそほう)・蘆花(ろか)兄弟の生家、熊本県の徳富家など、この時期における勧業型地主・豪農の典型であった。豪農は明治10年代に高揚をみた自由民権運動においても、「豪農民権」の呼称に示されるように、運動に関係する者が多く、群馬県の武藤幸逸(こういつ)、福井県の杉田定一、奈良県の土倉庄三郎(どくらしょうざぶろう)などがその例であった。
 彼らは地主として農業生産にかかわり、製糸業や織物業など地方的工業に関連をもつとともに、地方の民生についても豊富な経験と抱負とをもつ人々であった。地租をはじめとする諸税の動向に強い関心を寄せ、国政について彼らの主張を反映させる場として、民会や国会の開設を要求する者が多かった。民権運動を通じて藩閥政府を批判し、地方自治の確立を要求する姿勢がみいだされる。しかし明治後期より地主的土地所有制度が確立され、豪農の生産力的性格は急速に後退するに至った。土地を集積して小作に付するという有利な状況が一般化され、豪農層は生産過程から遊離し、単なる地代取得者としての性格を深化せしめていくこととなった。[伝田 功]
『伝田功著『豪農』(教育社歴史新書)』

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精選版 日本国語大辞典

ごう‐のう ガウ‥【豪農】
〘名〙 財産や勢力がある農家。富豪の農民。大農
江戸繁昌記(1832‐36)三「職銭穀(せんこく)に在るを以ての故に、四方に奔命して、善く大賈(たいこ)と豪農とに交る」

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