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論語【ろんご】

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

論語
ろんご
Lun-yu; Analects of Confucius
中国,儒教の根本文献。 20編。孔子とその門弟との問答を主とし,孔子の行為,その高弟の言葉を合せて記録しており,孔子の教えを伝える最も確実な古文献。短い文章の間に,孔子の人物,道説樹立の苦心,それぞれ個性のある弟子たちの勉学の様子などがまざまざと偲ばれる。その編者について諸説があるが,孫弟子以後であることは確かであり,しかも上論 (前半部の 10編) と下論とでは文体相違があるので,何人かの編集である。前時代には,斉論魯論古論,そのほか,多少の相違のあるテキストがあり,それらを前1世紀の人張萬が校定し,さらに後漢の鄭玄 (じょうげん) が校定して現存する『論語』の本文が定まった。何晏 (かあん) の『論語集解』 (古注という) が久しく行われていた。その後続々注釈書が出るようになったが,なかでもの朱子の『論語集注』 (新注という) が最も広く行われた。日本には中国文化渡来の最初に来たとされており,日本人のすぐれた注釈書も多い。

出典:ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
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デジタル大辞泉

ろんご【論語】
中国の思想書。20編。孔子没後、門人による孔子の言行記録を、儒家一派が編集したもの。四書の一。処世道理国家・社会的倫理に関する教訓、政治論、門人の孔子観など多方面にわたる。日本には応神天皇の時代に百済(くだら)を経由して伝来したといわれる。

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世界大百科事典 第2版

ろんご【論語 Lún yǔ】
中国の古典。儒教の代表的な経典,四書の第一。孔子言論を主として,門人その他の人々との問答などを集めた語録で,20編。儒教の開祖孔子(前551‐前479)の思想をみる第一の資料で,また儒教思想の真髄を伝えるものとして後世に大きな影響を与えてきた。内容は,社会的人間としての個人のあり方と国家の政治にかかわる道徳思想を主としているが,中心の主張は(まごころ)にもとづく人間愛としての強調であって,親への孝行,年長者への悌順などとともに,利欲を離れて自己を完成させるの喜びなども述べられている。

出典:株式会社平凡社
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日本大百科全書(ニッポニカ)

論語
ろんご

孔子(こうし)(前552/551―前479)の言行録。10巻20篇。儒家の通説では、孔子の死後、弟子たちがそれまでに書き留めていた師匠の纂(さん)してつくった。ただし実際は、直(じき)弟子ではなく、弟子の弟子の手になる。その証拠に、『論語』のなかに出てくる弟子の称呼は呼び捨てが原則であるのに、曽参(そうしん)と有若(ゆうじゃく)だけは、曽・有と、敬称の「子」をつけてよばれる。これは、『論語』が曽参・有若の弟子によって編まれたことを物語る(唐の柳宗元(りゅうそうげん)らの説)。さらに、『論語』の前半と後半とでは文体がやや異なること、後半には小説的ストーリーもあることから、後半は三伝または数伝の弟子の手になるものであろう〔清(しん)の崔述(さいじゅつ)、日本の伊藤仁斎(じんさい)の説〕。

[本田 濟]

テキスト

秦(しん)の始皇帝(しこうてい)の焚書(ふんしょ)のあと、漢朝は広く書物を捜し求めた。『論語』には3種のテキストがあった。魯(ろ)に伝わる魯論20篇、斉(せい)に伝わる斉論22篇、孔子の子孫の家の壁に塗り込められていた古論21篇などである。漢末の張禹(ちょうう)は、魯論と斉論を折衷して張侯論20篇を定め、これが普及した。後漢(ごかん)の鄭玄(じょうげん)は、魯・斉・古の3種を折衷して篇数を20とした。今日伝わる『論語』は鄭玄本の系統である。

[本田 濟]

内容

各篇には学而(がくじ)とか為政とかの篇(へん)名がつけられている。これはその篇の最初の文章「学而時習之」「為政以徳」の冒頭の2字をとったもので、とくに意味はない。各篇は平均25章の短文からなり、かならずしも統一したテーマで貫かれているわけでない。ただ、おのずと類似の話題が多く集まってはいる。たとえば、学而篇には初学の者への教訓が多く、為政篇には政治の議論が多い、というように。『論語』の文章は、孔子が機(おり)に触れて人に語ったことばをそのまま記録する。そこには体系化された理論はない。マックス・ウェーバーが「インディアンの老首長(しゅちょう)の語り口に似る」と評したとおり(『儒教と道教』)。ただし、体系的な哲学論文にはみられない、生き生きした人間的叡智(えいち)がここにはある。例、「子曰(しのたまわ)く、学んで時にこれを習う。亦(また)説(よろこ)ばしからずや。朋(とも)有り遠方より来(きた)る。亦楽しからずや。人知らずして慍(うら)まず。亦君子ならずや」(学而篇)。「厩(うまや)焚(や)けたり。子、朝(ちょう)より退(しりぞ)きて、曰く、人を傷(やぶ)れりや、と。馬を問わず」(郷党篇)。『論語』の文章はなんの飾り気もない。しかし簡潔ななかに自然のリズムと抑揚とがあり、読む人を飽かせない。伊藤仁斎が「宇宙第一の書」と評したのは当たっている。

[本田 濟]

注釈

『論語』の注釈は数多いが、代表的なのは、三国魏(ぎ)の何晏(かあん)が何人かの説を集めて編んだ『論語集解(しっかい)』、南宋(なんそう)の朱熹(しゅき)(朱子)が新しい哲学理論で解釈した『論語集註(しっちゅう)』。前者を古注、後者を新注という。古注を敷衍(ふえん)解釈したのが宋の邢昺(けいへい)の疏(そ)で『十三経注疏』に収められる。梁(りょう)の皇侃(おうがん)による『論語義疏』は本国で早く滅び、日本に残存した。後漢(ごかん)の鄭玄(じょうげん)の『論語』注は唐末に滅んだが、20世紀初めに敦煌(とんこう)で発見された古写本と、1969年トルファンで発見された唐写本によって7編ほどが判明した。清(しん)の劉宝楠(りゅうほうなん)の『論語正義』は訓詁(くんこ)考証にもっとも詳細である。日本の伊藤仁斎の『論語古義』、荻生徂徠(おぎゅうそらい)の『論語徴(ちょう)』には独創的解釈がみられる。

[本田 濟]

影響

『論語』は漢代すでに「五経」と並ぶ地位にあった(『漢書(かんじょ)』芸文志(げいもんし))。宋代以降これに『孟子(もうし)』『大学』『中庸(ちゅうよう)』を加えて「四書」とよばれる。日本には仁徳(にんとく)朝に百済(くだら)人が『論語』を舶載してきた。西洋の各国語にも訳され広く読まれた。

[本田 濟]

『金谷治訳注『論語』(岩波文庫)』『吉川幸次郎訳注『論語』(1966・朝日新聞社)』『木村英一訳注『論語』(1975・講談社)』『平岡武夫訳注『論語』(1980・集英社)』

出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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精選版 日本国語大辞典

ろんご【論語】
中国の経書。二〇編。各編冒頭の文字をとって編名とする。四書の一つ。孔子の言行や弟子・諸侯・隠者との対話を記したもので、孔子の生前から記録され、その没後、門弟によって編纂されたと推定されている。人間の最高の徳として「仁」をおき、そこにいたる道を礼と楽とを学ぶことに求める。儒教の原初的な理念、また周代の政治、社会情況を窺い知る上でも、最も基本的な資料。日本には応神天皇一六年百済から伝来したという。古注としては何晏の「論語集解」と、それにさらに注釈を加えた皇侃の「論語義疏」、邢昺の「論語正義」があり、新注は朱熹の「論語集注」。円珠経。

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旺文社世界史事典 三訂版

論語
ろんご
孔子とその弟子たちの対話・言行録
孔子の死後編纂 (へんさん) され,数種類の異本が生じたが,後漢 (ごかん) の時代に現行本が作られ,何晏 (かあん) の『論語集解』にまとめられた。のち,南宋の朱熹 (しゆき) が『論語集註』を著してから,四書の筆頭となり,儒学の入門書として推賞された。

出典:旺文社世界史事典 三訂版
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