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証拠開示【しょうこかいじ】

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

証拠開示
しょうこかいじ
discovery
刑事訴訟において,当事者特に検察官がその収集した手持ち証拠を相手方に示すこと,たとえば書類を閲覧・謄写させることをいう。強制捜査権限を有する捜査機関の収集した証拠のなかに被告人に有利な証拠があるにもかかわらず,これが検察官の手元で気づかれずに放置される場合や証拠調べを請求されない場合がある。そこで,弁護人の事前閲覧の要求に対し検察官が応じない場合に,裁判所がその提出を命ずることができるかどうかが問題となる。判例は,一定の要件のもとで裁判所の訴訟指揮権に基づく開示命令を肯定するにいたったが,被告人側に十分な防御の機会を保障するという見地から全面的な開示を求める意見もある。

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デジタル大辞泉

しょうこ‐かいじ【証拠開示】
刑事裁判の当事者双方が、証拠調べ開始前に、その手持ちの証拠を相手方に示すこと。特に、検察官被告人弁護人側に対して行うもの。

出典:小学館
監修:松村明
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世界大百科事典 第2版

しょうこかいじ【証拠開示 discovery】
訴訟当事者が,収集した証拠を相手方当事者に閲覧させること。刑事訴訟では,実際上,強大な組織と強制的権限をもつ検察官側に証拠が集中するので,証拠開示を求めるのは,ほとんどが被告人・弁護人である。弁護人は,公訴の提起後は,裁判所において証拠を閲覧することができるが(刑事訴訟法40条),旧法と異なり,現行法は起訴状一本主義をとっているので公判期日前には裁判所には見るべき証拠はなく,検察官に証拠開示を求めるほかない。

出典:株式会社平凡社
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大辞林 第三版

しょうこかいじ【証拠開示】
刑事裁判で、双方の当事者が手持ちの証拠を相手方に示すこと。特に、検察側が被告人側に対して行うもの。

出典:三省堂
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日本大百科全書(ニッポニカ)

証拠開示
しょうこかいじ
刑事訴訟において一方の当事者が、相手方当事者に対して、手持ち証拠を閲覧させることをいう。刑事訴訟法第40条は、公訴の提起後、弁護人は、裁判所において、訴訟に関する書類および証拠物を閲覧し、かつ謄写することができると規定している。しかし、いわゆる起訴状一本主義の原則から、裁判所に事前に証拠が提出されることはないので、裁判所において証拠の内容を事前に知ることはできない。そこで、とくに弁護人に対する検察官の手持ち証拠の開示が問題となる。[田口守一]

訴訟指揮権に基づく証拠開示命令

当事者が証拠調べを請求するにあたっては、あらかじめ相手方にこれを閲覧する機会を与えなければならない(刑事訴訟法299条1項)。しかし、証拠調べを請求する意思のない証拠は、これによっては開示されない。そこで、判例は、「裁判所は、証拠調べの段階に入った後、弁護人から、具体的必要性を示して、一定の証拠を弁護人に閲覧させるよう検察官に命ぜられたい旨の申出がなされた場合、事案の性質、審理の状況、閲覧を求める証拠の種類及び内容、閲覧の時期、程度及び方法、その他諸般の事情を勘案し、その閲覧が被告人の防禦(ぼうぎょ)のため特に重要であり、かつこれにより罪証隠滅、証人威迫等の弊害を招来するおそれがなく、相当と認めるときは、その訴訟指揮権に基づき、検察官に対し、その所持する証拠を弁護人に閲覧させることを命ずることができる」(昭和44年4月25日最高裁判所第二小法廷決定)とした。これによって、一定範囲の証拠開示がなされるようになったが、開示の時期、範囲は限定されたものであった。[内田一郎・田口守一]

公判前整理手続による証拠開示

2004年(平成16)の刑事訴訟法改正により導入された公判前整理手続により、証拠開示の範囲が飛躍的に拡大された。裁判所は、充実した公判の審理を継続的、計画的かつ迅速に行うために必要があると認めるときは、検察官、被告人もしくは弁護人の請求によりまたは職権で、第1回公判期日前に、事件の争点および証拠を整理するための公判準備として、事件を公判前整理手続に付する決定をすることができる(刑事訴訟法316条の2)。事件の争点および証拠を整理するためには、事前の証拠開示が不可欠であることから、公判前整理手続における証拠開示の制度が新たに整備された。
 新たに整備された証拠開示制度は、3段階にわたっている。(1)検察官は、取調べを請求した証拠(検察官請求証拠)については、速やかに、被告人または弁護人に証拠開示をしなければならない(同法316条の14)。これを請求証拠の開示とよぶ。検察官から請求証拠の開示を受けた被告人または弁護人が、さらに証拠開示を請求するかどうかを判断するためには、検察官が手持ち証拠の全体を把握する必要がある。そこで、2016年の刑事訴訟法改正により、請求証拠の開示をした後、被告人または弁護人の請求があるときは、検察官は、速やかに、被告人または弁護人に対し検察官が保管する証拠の一覧表(実務上、証拠リストともよばれる)の交付をしなければならないものとされた。(2)検察官は、(1)で開示した以外の証拠であって、法律が掲げる類型のいずれかに該当し、かつ、特定の検察官請求証拠の証明力を判断するために重要であると認められる証拠について、被告人または弁護人からの開示請求があった場合、被告人の防御の準備のために開示の必要性の程度と開示による弊害の内容・程度を考慮し、相当と認めるときは、速やかに開示する(同法316条の15)。これを類型証拠の開示とよぶ。法律が掲げる類型証拠は9種類あるが、そのなかには、検察官が証人尋問を請求した者の供述録取書等(同法316条の15第5号イ)も含まれ、さらに、身体の拘束を受けている者の取調べに関し、その年月日、時間、場所その他の取調べ状況を記録したものも開示対象とされるが、2016年の刑事訴訟法改正により、そこには被告人のみならず共犯者の取調べ状況の記録書面も含まれることとなり(同法316条の15第8号)、従来証拠開示をめぐって紛議のあった証拠の多くが開示対象に含まれることとなった。さらに、(3)検察官は、被告人側が争点を明示した場合に、争点に関連すると認められるものについて、被告人側から請求があったときは、その関連性の程度、被告人の防御にとっての必要性の程度、開示に伴う弊害の内容程度を考慮し、相当と認めるときは、速やかに証拠開示をする(同法316条の20)。これを争点関連証拠の開示とよぶ。
 以上の証拠開示手続について調整が必要となった場合における裁判所の裁定には、3種類のものがある。第一は、証拠開示の時期、方法あるいは開示の条件に関する裁定であり(同法316条の25)、第二は、証拠開示命令である(同法316条の26)。そして、第三として、以上の裁定にとって必要な場合における証拠提示命令(同法316条の27第1項)および証拠の標目を記載した一覧表の提示命令(同法316条の27第2項)がある。なお、証拠開示制度の拡充に伴って、証拠開示実務の適正に関する規定も整備された。弁護人は、開示された証拠は適正に管理し、みだりにその保管を他人にゆだねてはならず(同法281条の3)、また、被告人もしくは弁護人は、開示された証拠を開示された目的以外の目的で使用することも禁止されている(同法281条の4第1項)。[田口守一]

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