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補酵素【ほこうそ】

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

補酵素
ほこうそ
coenzyme
助酵素,コエンザイムコエンチームともいう。酵素が触媒反応を行う際に,ある特定の物質の補助を必要とする場合がある。これらの物質は酵素の補助因子と呼ばれるが,そのうち特に酵素の補欠分子団となって反応に関与している物質を一般に補酵素と呼ぶ。補酵素は蛋白質ではないことが多く,一般に低分子で,結合が弱い場合には透析などによって外液に出る。補酵素をもつ酵素の,補酵素以外の部分 (蛋白質) をアポ酵素と呼び,さらにアポ酵素と補酵素との複合体をホロ酵素という。アルコール脱水素酵素の補酵素は NADであり,コハク酸脱水素酵素は FADである。補酵素を最初に分離したのはドイツの生化学者 E.ブフナーで,チマーゼからコチマーゼを分離した。ほとんどの補酵素が水溶性ビタミンを構成成分として含んでいる。

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デジタル大辞泉

ほ‐こうそ〔‐カウソ〕【補酵素】
酵素に結合して、その活性の発現を触媒する低分子有機化合物。例えば、ビタミンB群など。コエンチーム。コエンザイム。助酵素

出典:小学館
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栄養・生化学辞典

補酵素
 助酵素ともいう.酵素反応必須の比較的低分子の化合物

出典:朝倉書店
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世界大百科事典 第2版

ほこうそ【補酵素 coenzyme】
助酵素,コエンザイムとも呼ばれる。酵素の活性発現のためには,タンパク質以外の分子が,可逆的にタンパク質成分に結合することが必要条件とされるものが少なくない。それらの分子を補欠分子族prosthetic group,または配合団と呼ぶが,金属原子,各種の無機アニオン,カチオンなどを除き,有機分子として作用するものを補酵素と呼ぶ。補酵素を解離させた残りのタンパク質部分をアポ酵素apoenzyme,アポ酵素に補酵素が結合したものをホロ酵素holoenzymeと呼ぶ。

出典:株式会社平凡社
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大辞林 第三版

ほこうそ【補酵素】
ある種の酵素のタンパク質と可逆的に結合することによって、酵素の活性を発現させる非タンパク質性の低分子有機化合物。ビタミン特に B 群はその主要合成素材となる。助酵素。コエンザイム。コエンチーム。

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日本大百科全書(ニッポニカ)

補酵素
ほこうそ
coenzyme
酵素のタンパク質部分(アポ酵素という)と可逆的に結合して酵素作用の発現に寄与する補欠分子族(補欠分子団)をいう。助酵素、コエンチーム、コエンザイムともよばれる。普通はアポ酵素のみ、あるいは補酵素のみでは活性をもたないが、両者が結合すると複合体(ホロ酵素という)を形成して酵素作用を示すようになる。結合が弱く解離しやすい補酵素は、多くの類似の反応に共通な基質(補基質)とみなすことができる。
 水溶性ビタミンの大部分は補酵素の成分である。水溶性ビタミンから誘導される補酵素としては、チアミン(ビタミンB1)→チアミンピロリン酸(TPP)、リボフラビン(ビタミンB2)→フラビンアデニンジヌクレオチド(FAD)とフラビンモノヌクレオチド(FMN)、ニコチン酸(ナイアシン)→ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(酸化型NAD・NAD+)、ピリドキシン・ピリドキサール・ピリドキサミン(ビタミンB6)→ピリドキサールリン酸(PLP)、パントテン酸→補酵素A、ビオチン→カルボキシラーゼに共有結合、葉酸→テトラヒドロ葉酸(FH4またはTHF)、コバラミン(ビタミンB12類)→コバミド補酵素がある。
 補欠分子族のなかには補酵素とは区別されるものがある。たとえば、カタラーゼの補欠分子団はフェリプロトポルフィリンであるが、補酵素ではない。また、活性化のためには金属イオンを必要とする酵素もあり、これらの金属イオンは酵素または基質と結合して酵素の触媒作用を強める。このような金属イオンは活性化因子activatorではあるが、補酵素ではない。
 補酵素は一般的には特異性があり、安定した小分子の非タンパク質性の有機化合物である。補酵素を必要とする反応には、酸化還元、基転移、異性体化、共有結合形成がある。分解反応では補酵素を必要としない。水素を転移する反応の補酵素には、NAD(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)、NADP(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸)、FMN(フラビンモノヌクレオチド)、FAD(フラビンアデニンジヌクレオチド)、リポ酸、補酵素Q(ユビキノン)があり、水素以外の基を転移する反応の補酵素としては、リン糖質、補酵素A、チアミンピロリン酸、ピリドキサールリン酸、葉酸補酵素、ビオチン、コバミド補酵素、リポ酸がある。
 補酵素を必要とする酵素反応の特徴としては、第一に基質におこる変化の裏返しの変化が補酵素におこることである。たとえば、酸化還元反応では基質が酸化されると補酵素が還元される。アミノ基転移反応の一つであるアラニンからピルビン酸への反応では、アミノ基はピリドキサールに転移されてピリドキサミンとなる。また、α(アルファ)-ケトグルタル酸からグルタミン酸への反応では、ピリドキサミンのアミノ基が転移されてピリドキサールとなる。
 生理学的には、基質の反応が重要ではなく、補酵素の変化が重要なものがある。たとえば、筋肉の運動によって嫌気的にピルビン酸が乳酸となる反応で重要なのは、これらの基質ではなくて、NADH(還元型NAD)がNADとなる反応である。NADが生成されなくなると、解糖が行われなくなってATP(アデノシン三リン酸)の生成が止まる。すなわち、嫌気的条件では、ピルビン酸が還元されて乳酸となる反応でNADHが再酸化され、ATPの合成が行われる。
 なお、補酵素の構造上の特徴としては、D-リボースアデノシンリン酸をもつものが多いことがある。[有馬暉勝・有馬太郎・竹内多美代]
『稲田祐二・和田博編『タンパク質ハイブリッド第3巻 化学修飾最前線』(1990・共立出版) ▽島原健三著『概説 生物化学』(1991・三共出版) ▽西沢一俊・志村憲助編『新・入門酵素化学』改訂第2版(1995・南江堂) ▽小宮山真・八代盛夫著、井上晴夫・北森武彦・高木克彦・平野真一編『生命化学1 天然酵素と人工酵素』(1996・丸善) ▽飯田隆著、南原利夫監修『ライフサイエンス有機化学――立体化学・生体分子・物質代謝』(2000・共立出版) ▽中島邦夫・柏俣重夫・樋廻博重著『新生化学入門』第5版(2002・南山堂) ▽三輪一智・中恵一著『人体の構造と機能2 生化学』第11版(2005・医学書院)』

出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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精選版 日本国語大辞典

ほ‐こうそ ‥カウソ【補酵素】
〘名〙 酵素作用は酵素蛋白と、非蛋白性の有機化合物の結合によって生ずるが、この後者の有機化合物をいう。たとえば、ビタミンは体内で種々の酵素の補酵素として生物学的活性を示すとされている。助酵素。〔人体の機能(1952)〕

出典:精選版 日本国語大辞典
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化学辞典 第2版

補酵素
ホコウソ
coenzyme

助酵素,コエンザイムともいう.酵素が複合タンパク質で,非タンパク質部分が酵素の機能発現に重要な役割を果たす場合,この低分子物質をいう.タンパク質と補酵素とは可逆的に解離,会合する場合が多く,透析操作などによってタンパク質部分より容易に分離される.補酵素との共同作用により,酵素はさらに多種多様な機能を発現する.次表に補酵素の種類と関与する反応を示す.

出典:森北出版「化学辞典(第2版)」
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