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行為【こうい】

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

行為
こうい
act; conduct
人格的有意的な働き。目的と動機が明らかで,手段その他についての思慮,選択を経て決意された自覚的な活動。ただし,法行為における不作為,実存的行為のように,常に身体運動を伴うとはかぎらない。したがって無自覚な機械的本能的動作とは異なり,刺激に対する全体的反応としての行動とも区別され,人格に不可欠の理性,意志,自由,責任などの諸概念と密接なかかわりをもつ。技術的制作動作も有意的であるが結果のみが問われる点で,動作そのものが問題となる行為とは区別される。アリストテレスは theōria (観想) ,poiēsis (制作,技術的実践) に対し,praxis (実践,倫理的実践) の概念を立てたが,これが西洋の行為概念の伝統となっている。人格は行為を通じてのみ実現されるから,行為は人間存在が自己を外化し,外化を通じて自己を内化する自己実現の活動を意味する。行為はまた他の人格ないし超越的人格性 (神,超越者) への働きかけであるから,人倫的行為と実存的行為とが区別される。前者は言語行為,慣習的行為,法行為,後者は自殺,宗教的行為,内面的諸行為など。実存的行為の主体は実存としての人間存在で,常に超越者とかかわり,具体的状況のなかで行う。サルトルは行為を歴史的状況において自由を実現する決断的投企と規定する。

出典:ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
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デジタル大辞泉

こう‐い〔カウヰ〕【行為】
ある意思をもってするおこない。「親切な行為」「慈善行為
哲学で、目的観念を伴う動機があり、思慮・選択によって意識的に行われる行動。
権利の得失・移転など法律上の効果を生じさせる原因となる意思活動。
[用法]行為・行動――「君の行為(行動)は許せない」「軽率な行為(行動)は慎むこと」のように、単に「おこない」の意では相通じて用いられる。◇「行為」は個を動作の主体とする事柄に用いることが多く、「親切な行為」「職務上の行為」「会社の行為」などという。この場合、「行動」に置き換えることはできない。◇また、「行為」を「慈善行為」「寄付行為」のように一般的・抽象的な意味でも使うのに対して、「行動」は身体を動かしての具体的動作を表し、「行動を起こす」「不審な行動をする人物」などのように用いる。◇類義語に「おこない」があり、「日ごろの行い」「よくない行い」のように評価の対象とする意味を込めて用いられる。

出典:小学館
監修:松村明
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世界大百科事典 第2版

こうい【行為 action】
行為という概念は,人文科学や社会科学,さらに工学関係の諸分野に至る幅広い領域で中心的な役割を演じているが,以下では主に哲学と認知科学でなされている議論を参照しながら行為とは何かについて考える。たとえば,わたしは部屋が寒くなってきたので,暖房機のところに行き,スイッチを入れて,部屋を暖かくしたとすると,これは明らかにわたしの行った行為である。それに対して,暖房機にはサーモスタットが備え付けられており,一定の温度以下になると自動的にスイッチが入るようになっているとすると,その場合には,同じように温度に対する反応が生じ,スイッチが入り,部屋が暖まったとしても,それを行為とは言わない。

出典:株式会社平凡社
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大辞林 第三版

こうい【行為】
個人がある意志・目的を持って意識的にするおこない。行動。ふるまい。しわざ。所為。
〘哲〙 自由な意志に基づいて選択され、実行された身体的動作で道徳的評価の対象となるもの。
法律上の効果を発生させる原因となる、人の自発的な意思活動。 「不法-」 〔 (1) ロプシャイト「英華字典」(1866~69年)に act や action の訳語として載る。日本では中村正直訳「西国立志編」(1870~71年)が早い例。 (2) 類義の語に「行動」があるが、「行動」は実際にからだを動かして何かをする意で、個人に限らず集団や動物のふるまいにも用いられる。それに対し、「行為」は個人が意志・目的をもって意識的に何かをする意を表す〕

出典:三省堂
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日本大百科全書(ニッポニカ)

行為
こうい
conduct
行為を広義にとれば、人間の行動はすべて行為であるともいえるが、しかし人間の行動でも、動物の行動のように、内や外からの刺激に対して無意識に反応する行動は、一般に行為とはみなされない。ある目的を意識的に設定し、それを意図的に実現しようとする行動のみが、行為とよばれるべきであろう。また正常な成人は、ある行為を意図しても、その実行を思いとどまることができる。行為は、その意味で、人間の自由意志に基づく行動であって、それゆえまた行為に関しては、行為者の法的責任や道徳的善悪が問われる。
 行為はある意図から発して、ある結果に終わる。そこから、行為の正・不正は、意図もしくは動機の善悪によるとする動機説と、結果の善悪によるとする結果説とが区別される。行為に関して内面的な「善き意志」を動機として重視するカントの倫理説は前者の代表であり、「最大多数の最大幸福」という結果を重視する功利主義は後者の代表といえる。[宇都宮芳明]

出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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精選版 日本国語大辞典

こう‐い カウヰ【行為】
〘名〙
① ある意思をもってする個人的な行ない。所為。
※西国立志編(1870‐71)一三〈中村正直訳〉「身体の習慣は、外面の行為(〈注〉シワザ)より生じ」
※文学批評の方法論(1940)〈岩上順一〉「具体的人間を行為させることによって小説となるのである」
② 哲学では、自由意思によって行なわれ、その主体に責任が帰される行動。正または不正を決められる行動。心理学では、環境からの刺激に反応する有機体の行動をいう。〔哲学字彙(1881)〕
③ 刑法上で、人間の自発的な意思のあらわれとしての身体の動作、または動作をしない状態。民法上では、法律行為をさす。
※民法(明治二九年)(1896)四条「単に権利を得又は義務を免るへき行為は」

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