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血液凝固【けつえきぎょうこ】

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

血液凝固
けつえきぎょうこ
blood coagulation
傷口などから血管外に流出した血液は,血漿中の線維素原 (フィブリノーゲン) が重合してできる線維素 (フィブリン) によって血球が閉じ込められて,凝固する。この現象は 15種の凝固因子が関与する複雑な反応で,血友病の場合には,この第 VIII因子または第 IX因子が先天的に欠乏しているため,出血性素因が生じ凝固が起らない。なお,血液の凝固したものを放置しておくと,液状血清とゲル状の血餅に分離してしまう。

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デジタル大辞泉

けつえき‐ぎょうこ【血液凝固】
血管外に出た血液がかたまる現象。これによって止血作用が発揮される。

出典:小学館
監修:松村明
編集委員:池上秋彦、金田弘、杉崎一雄、鈴木丹士郎、中嶋尚、林巨樹、飛田良文
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栄養・生化学辞典

血液凝固
 血液が血管の外へ出たときに流動性を失って固まる現象.血液中のフィブリノーゲンがフィブリンという線()維状のタンパク質に変換されて凝固するが,その際血液凝固因子という一群の因子が関与する.カルシウムイオンが必須で,凝固を阻止する一つの方法にEDTAクエン酸など,カルシウム隠蔽剤を使用する方法がある.

出典:朝倉書店
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世界大百科事典 第2版

けつえきぎょうこ【血液凝固 blood coagulation】
血液は,血管外に出るとその流動性を失う。すなわち,凝固する。この血液が凝固する性質は,止血にとって必要な性質であり,血液凝固が正常に起きないと,止血が円滑に行われなくなり,出血傾向を呈するようになる。 先天的あるいは後天的に血液凝固機序が異常を呈するために,出血傾向が生ずる場合が多数存在する。先天的なものの代表は血友病である。一方,血液凝固が血管内に起こると,血栓症あるいは血管内凝固症候群が起こる。

出典:株式会社平凡社
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大辞林 第三版

けつえきぎょうこ【血液凝固】
血液がかたまること。正常では、血液は血管外に出ると流動性を失って凝固し、止血効果をあらわす。

出典:三省堂
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日本大百科全書(ニッポニカ)

血液凝固
けつえきぎょうこ
体外に取り出された血液、あるいは、体内において血管から組織に出血した血液が数分後に凝固する現象をいう。この現象は、生体から血液が失われるのをできるだけ防ぐ止血機能の表れと考えられる。血管が傷害されると、まず、その部位の血管の収縮がおこり、ついで血小板が粘着して白色血栓(白栓)をつくる。そして、最後に血液が凝固することによって完全に止血が達成される。
 血液凝固の過程は、1905年、ストラスブール大学のモラウィツPaul Morawitz(1879―1936)によって、(1)まず、血小板が壊れて組織トロンボプラスチンができる、(2)これがカルシウムイオンと共同に働いて、血漿(けっしょう)内に存在するプロトロンビンをトロンビンに変える、(3)トロンビンは同じく血漿内に存在するフィブリノゲンを不溶性のフィブリンに変える、という3段階で進行すると説明された。これを血液凝固の古典説という。今日でもその大筋には変わりはないが、最初の段階がこの説よりも、さらに複雑で、多数の酵素が関係していることが明らかにされている。モラウィツ以後、血液凝固に関係する因子が多数発見されたので、研究者相互の学術交流の混乱を防ぐため、1954年、スイスで国際凝固因子選定委員会が発足し、共通の番号をつけることが決められた。現在までI~(第因子は欠番)までの因子が決められている。
 血液凝固の始まりは、血液自体から始まる内因性凝固の過程(接触系)と、組織液との接触によって始まる外因性凝固の過程(組織系)がある。内因性凝固の場合は、血液中に存在する第因子であるヘイグマン因子が、まず作用する。破れた血管壁や採血した注射器のガラス壁などに触れるという器械的刺激が、この因子を活性化する。外因性凝固の場合は、出血した血液が組織液内に存在する組織トロンボプラスチン(第因子)を活性化する。いったん、これら内因性、または外因性の凝固の口火が切られると、次々と関係する凝固因子の活性化が続き、共通凝固因子であるスチュアート因子(第因子)からプロアクセレリン(第因子)の活性化へと進展する。これに古典説の第二段階以後の凝固過程が続くことになる。これらの凝固因子は、血小板や血漿中に含まれているので、本来、凝固は血漿内でおこる過程ということができる。しかし、その最終産物である不溶性のフィブリンは、血球を包み込んで固めるため、赤色の凝固塊ができあがることになる。凝固の酵素過程では、活性化された凝固因子が次の凝固因子の活性化に働き、次々と滝の水が落ちるように作用が連続していくところから、イギリスの血液凝固学者マックファーレンRobert Gwyn Macfarlane(1907―1987)は、これを酵素の瀑布(ばくふ)説として唱えた。凝固がこのような過程をとることは、二つの特性を示すことにもなる。その第一は、これは一つの増幅系であるから、最初のわずかな凝固因子の作用が最終的に莫大(ばくだい)な量のフィブリンの生成を引き起こす。第二には、凝固開始までには、通常、数分間の時間が一連の酵素の活性化の完結までに必要ということである。この特性は、実際の止血の場合にたいせつな指針となる。つまり、出血した場所をガーゼなどで押さえる場合、2~3分ごとに出血箇所を調べ、慌てて出血をぬぐっていては、いつまでも凝固が始まらないということである。少なくとも、数分以上はしっかりと傷害部を押さえて凝固の完結を待つことが必要である。[本田良行]

フィブリン除去機構

凝固した血液は、やがて、ふたたび融解してしまう。これは、いったん不溶性となったフィブリンが、血漿中に生成されるプラスミンによって溶解されるためである。この過程は、体内で凝固した血液もやがて除かれていく過程でもある。プラスミンは、血漿内に存在するプラミノゲンが活性化されてできるものである。不思議なことに、その活性化にあずかる酵素は、内因性血液凝固の引き金となるヘイグマン因子である。つまり、血液は凝固の開始の時点で、すでに次の融解過程の準備を始めているということになる。[本田良行]

血液凝固阻止剤

生体内に、生理的に含まれている強力な凝固阻止作用はヘパリンによるものである。これは結合組織の肥胖(ひばん)(肥満)細胞でつくられ、おもに抗トロンビン作用によって凝固を阻止する。古くから使用される抗凝固剤としては、凝固過程に参加するカルシウムイオンを沈殿させるシュウ酸塩、クエン酸塩などがある。[本田良行]

出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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精選版 日本国語大辞典

けつえき‐ぎょうこ【血液凝固】
〘名〙 体外や血管外へ出た血液がかたまること。血漿中の特殊な蛋白質が変化してフィブリンという固形体になるために起こる現象。高等動物の血液にみられる。〔医語類聚(1872)〕

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化学辞典 第2版

血液凝固
ケツエキギョウコ
coagulation of blood, clotting of blood

血管が損傷すると,まず赤血球,血小板からアデノシン5′-二リン酸(ADP)が放出され,また血管内皮および組織からコラーゲン組織トロンボプラスチンが出現する.同時に血漿トロンボプラスチンからは,微量トロンビンが生成される.これらが血小板に作用して膜の変化をきたし,血管損傷部位への粘着と凝集による血小板血栓を形成する.また,血小板から放出されるセロトニンは血管の収縮に役立つ.一方,血管損傷により血液が生理的異物と接触すると,血漿中のハーゲマン因子が活性化され,以下,連鎖反応によって凝固因子第Ⅺ,Ⅸ,,およびⅩ因子が活性化される.最終的には,フィブリノーゲンがトロンビンの酵素作用によってフィブリンに変換され,フィブリンはさらに重合し,第因子によって不溶性フィブリン塊を形成する.これら血小板血栓とフィブリン塊とが共同して,強固な止血栓となり,出血を防ぐ.血液凝固に関与する因子を次に示す.

出典:森北出版「化学辞典(第2版)」
東京工業大学名誉教授理博 吉村 壽次(編集代表)
信州大学元教授理博 梅本 喜三郎(編集)
東京大学名誉教授理博 大内 昭(編集)
東京大学名誉教授工博 奥居 徳昌(編集)
東京工業大学名誉教授理博 海津 洋行(編集)
東京工業大学元教授学術博 梶 雅範(編集)
東京大学名誉教授理博 小林 啓二(編集)
東京工業大学名誉教授 工博佐藤 伸(編集)
東京大学名誉教授理博 西川 勝(編集)
東京大学名誉教授理博 野村 祐次郎(編集)
東京工業大学名誉教授理博 橋本 弘信(編集)
東京工業大学教授理博 広瀬 茂久(編集)
東京工業大学名誉教授工博 丸山 俊夫(編集)
東京工業大学名誉教授工博 八嶋 建明(編集)
東京工業大学名誉教授理博 脇原 將孝(編集)

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