Rakuten infoseek

辞書

虫送り【むしおくり】

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

虫送り
むしおくり
農作物の発育に害をなす虫を駆逐する術的儀礼虫害農作物のために不幸な死を迎えた人間の怨霊の仕業と考え,その人間をかたどった人形をつくり,高く掲げて田畑を回り,村境や川,海,山などにまで送り出す。期日は一定しないが,春から夏にかけて多い。虫送りは中世の御霊信仰 (ごりょうしんこう) と深い関係にあると考えられている。

出典:ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
Copyright (c) 2014 Britannica Japan Co., Ltd. All rights reserved.
それぞれの記述は執筆時点でのもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

デジタル大辞泉

むし‐おくり【虫送り】
農作物、特に稲の害虫を追い払う呪術(じゅじゅつ)行事。たいまつをともしたり、実盛(さねもり)とよぶわら人形を担いだりして、鉦(かね)・太鼓をたたいてはやし、村境まで送って行く。稲虫送り実盛送り 夏》「狩野川に沿うてのぼるや―/虚子」→実盛送り

出典:小学館
監修:松村明
編集委員:池上秋彦、金田弘、杉崎一雄、鈴木丹士郎、中嶋尚、林巨樹、飛田良文
編集協力:田中牧郎、曽根脩
(C)Shogakukan Inc.
それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

世界大百科事典 第2版

むしおくり【虫送り】
稲などにつく病害虫を追い払うための儀礼。村単位で行われる重要な共同祈願の一つである。農薬などの有効な防除法をもたない時代には,各地の農村で盛んに行われた。虫害は古くは悪霊のしわざと考えられ,全国的にほぼ共通した形式の呪法が伝えられている。虫の霊をわら人形などの形代(かたしろ)に移し,これを中心にたいまつをともし,鉦(かね)や太鼓ではやしながら耕地をめぐって村境まで送り,まつりすてる。人形には苞(つと)に入れた食物を持たせたり,害虫を葉に包んで付けるのが一般的である。

出典:株式会社平凡社
Copyright (c) Heibonsha Limited, Publishers, Tokyo. All rights reserved.

大辞林 第三版

むしおくり【虫送り】
稲田につく害虫を追い払うための儀礼。夜、里人がそろって松明たいまつを焚き鐘を鳴らしてはやし立てながらあぜ道を巡り、川または村境まで虫を送って捨てる。稲虫送り。 [季] 秋。 → 実盛さねもり送り

出典:三省堂
(C) Sanseido Co.,Ltd. 編者:松村明 編 発行者:株式会社 三省堂 ※ 書籍版『大辞林第三版』の図表・付録は収録させておりません。 ※ それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

日本大百科全書(ニッポニカ)

虫送り
むしおくり
ウンカ、ニカメイチュウなど、主として稲の害虫を村外に追放する呪術(じゅじゅつ)的な行事。毎年初夏のころ定期的に行う例と、害虫が大発生したとき臨時に行うものとがある。一例を示すと、稲虫を数匹とって藁苞(わらづと)に入れ、松明(たいまつ)を先頭にして行列を組み、鉦(かね)や太鼓をたたきながら、田の畦道(あぜみち)を回って村(集落の意)境まで送って行く。そこで藁苞を投げ捨てたり、焼き捨てたり、川に流したりする。理屈からいえば、村外に追放しても隣村に押し付けることになるが、村の小宇宙の外は他界(たかい)であり、見えなくなったものは消滅したと考えたのである。風邪(かぜ)の神送り、厄病送りなどと一連の行事で、呪術のなかでは鎮送(ちんそう)呪術に含まれる。害虫は実在のものであるが、非業(ひごう)の死を遂げた人の霊が浮遊霊となり、それが害虫と化したという考えがあって、非業の死を遂げたと伝えられる平安末期の武将斎藤別当実盛(さねもり)の霊が祟(たた)って虫害をもたらすという故事に付会して、帯刀の侍姿の藁人形(実盛人形)を担ぎ歩く所もある。虫送りを「さねもり祭り」などとよぶのはそのためである。初夏の風物の一つとして、子供の行事にしていた所も多い。近年は農薬の普及に伴って虫害も少なくなり、この行事も急速に消滅した。[井之口章次]

出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
(C)Shogakukan Inc.
それぞれの解説は執筆時点のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

虫送り」の用語解説はコトバンクが提供しています。

虫送りの関連情報

他サービスで検索

「虫送り」のスポンサー検索

(C)The Asahi Shimbun Company /VOYAGE GROUP, Inc. All rights reserved.
No reproduction or republication without written permission.