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自由電子【じゆうでんし】

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

自由電子
じゆうでんし
free electron
一様な電場磁場以外の力を受けずに運動する電子。特に金属中の伝導電子イオンからの力と他の電子からの力がほぼ打消し合っているため,原子の近くに束縛されず,動きやすい自由電子と考えられる場合が多い。これによって金属の電気伝導熱伝導のよいことが定性的に説明できる。導体の電気的性質を考えるときに有効な方法なので,これを導体の自由電子モデルという。実際の電子はイオンの周期的ポテンシャルを受けているため,エネルギー帯をつくり,ある運動量でエネルギーは不連続になっている。電子はフェルミ統計に従い,このエネルギー帯の下から順番に軌道を占める。金属では,電子はあるエネルギー帯の中途まで詰っていて普通の温度ではこの最高のエネルギー付近の電子だけが自由に動くため,自由電子の近似がよく成り立っていると考えられる。

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デジタル大辞泉

じゆう‐でんし〔ジイウ‐〕【自由電子】
真空中や金属内部を自由に動いて、電気や熱の伝導役をする電子

出典:小学館
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世界大百科事典 第2版

じゆうでんし【自由電子 free electron】
真空中,または物質の内部を自由に運動している電子。とくに金属の伝導電子を自由電子と呼ぶことが多い。自由電子に対して,原子や分子などの中に束縛されて自由に運動できない電子は束縛電子bound electronと呼ばれる。物質中の自由電子の概念は,20世紀の初め,ドイツのドルーデPaul Karl Ludwig Drude(1863‐1906)とH.A.ローレンツが,金属の価電子が自由電子のガスとして存在すると考えると,金属の電気伝導,熱伝導,光学的性質などをおおよそ説明できることを示したのが最初である。

出典:株式会社平凡社
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大辞林 第三版

じゆうでんし【自由電子】
特定の原子に束縛されずに、真空中または物質中を自由に運動できる電子。金属の電気伝導性・熱伝導性などの性質は、金属結晶中に自由電子が存在すると考えることによって説明される。 → 束縛電子

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日本大百科全書(ニッポニカ)

自由電子
じゆうでんし
free electron
金属の中で、自由に動き回る電子の総称。原子の中の電子は内殻電子と外殻電子とに区分されるが、一般に化学結合にあっては外殻電子が関与する。共有結合にあっては外殻電子のいくつかが電子雲の重なりをもち、イオン結合にあっては、一方の原子から他の原子へ電子を供与して、電子対をつくる。しかし、金属の場合は、特定の外殻電子が特定の原子から移動したり、対をつくることがなく、原子核の間に電子が漂っているように分布している。これを自由電子という。このため、金属に電場をかけると電流が検知される。金属の電導性、熱伝導性、展性、延性などは、自由電子模型によって説明される。[下沢 隆]

出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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精選版 日本国語大辞典

じゆう‐でんし ジイウ‥【自由電子】
〘名〙 真空または物質中を、電界、磁界、万有引力などによる束縛を受けないで、自由に動きまわる電子。電気抵抗などに大きな影響をあたえる。⇔束縛電子。〔原子の構造(1924)〕

出典:精選版 日本国語大辞典
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化学辞典 第2版

自由電子
ジユウデンシ
free electron

真空中や物質中を自由に動きまわる電子.物質を構成している分子のなかの電子はクーロン場によって束縛され,一定のエネルギー状態にある.このような束縛された電子に対し,自由度の高い電子を自由電子と名づけている.金属の電気的性質を説明するために,H. Lorentzが金属中の電子は気体分子のように自由に飛びまわると仮定して取り扱う方法を提案し,量子力学によって多くの性質を説明することに成功して以来,このようなモデルを自由電子模型という.また,液体に放射線を照射したような場合,イオン化によって飛び出た電子が,そのとき同時に発生した正イオンのクーロン場から逃がれて液体中を動きまわるときも自由電子という.液体が水であるときは,自由電子は 10-12 s 程度で減速し,水分子によって囲まれて水和電子となる.水和電子は 10-3 s 程度の寿命で水素原子と水酸化物イオンになる.液体が炭化水素のときは,不純物として存在する酸素分子やほかの正イオンに捕そくされるまで自由に液体中を動きまわる.

出典:森北出版「化学辞典(第2版)」
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