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自律神経系【じりつしんけいけい】

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

自律神経系
じりつしんけいけい
autonomic nervous system
内臓や血管に分布して呼吸消化吸収循環分泌などの活動を不随意的に調節する神経系運動感覚にかかわりをもつ体性神経系を動物神経系と呼ぶのに対して,植物神経系とも呼ばれる。自律神経系は交感神経系副交感神経系とに分けられる。通常,この両神経は同一の器官にそれぞれ線維を送り,それぞれ反対の働きをしながら一つの器官を二重支配している。

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デジタル大辞泉

じりつしんけい‐けい【自律神経系】

出典:小学館
監修:松村明
編集委員:池上秋彦、金田弘、杉崎一雄、鈴木丹士郎、中嶋尚、林巨樹、飛田良文
編集協力:田中牧郎、曽根脩
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世界大百科事典 第2版

じりつしんけいけい【自律神経系 autonomic nervous system】
心臓と全身の血管,皮膚の立毛筋と汗腺,さらには内臓諸器官に含まれる腺細胞ならびに平滑筋細胞に分布するような神経系を総称していう。かつて,脳の支配から比較的独立して働くと考えられたため,この名がつけられた。ラングリーJ.N.Langleyの命名(1905)による。交感神経系と副交感神経系の2系統が含まれるが,いずれの系統の場合も,脳と脊髄(すなわち中枢神経系)から遠ざかる向きに神経刺激を伝えるような遠心性要素と,その反対の向きに神経刺激を伝えるような求心性(または知覚性)要素とが存在するのであるが,求心性要素を自律神経からまったく除外することもあるので注意を要する。

出典:株式会社平凡社
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日本大百科全書(ニッポニカ)

自律神経系
じりつしんけいけい

脳や脊髄(せきずい)から発して身体の隅々にまで達する末梢(まっしょう)神経のうち、呼吸、循環、消化のような生命の維持に直接関係する諸臓器の機能、すなわち植物性機能に関係する神経を総称していう。自律神経の活動は意志とはまったく無関係に、もっぱら反射によって調節され、昼夜を分かたず諸臓器の機能を調整している。自律神経系は交感神経系および副交感神経系の2系統からなる。ヒトの場合、交感神経は脊髄の胸および腰の部分(胸髄・腰髄)から発し、副交感神経は中脳・橋(きょう)・延髄の脳神経核から発する迷走神経と、脊髄の最下部、すなわち仙髄から発する骨盤神経からなる。これらの自律神経末梢路に対する上位中枢は延髄および視床下部であり、ここで交感・副交感両神経系の統合が行われている。さらに自律神経系は大脳皮質、とくに辺縁葉とも密接な関係にあり、その影響を強く受けている。

[真島英信]

両神経系の相互作用

自律神経の末端は主として心臓、その他の内臓・血管などの平滑筋、各種の外分泌腺(がいぶんぴつせん)・内分泌腺に分布し、それらの活動の程度を調節している。交感神経および副交感神経は、多くの場合、一つの器官にそれぞれが独立して神経線維を送っている(二重支配という)。しかもこの二つの神経系の作用は互いに反対であり、ある器官に対して一方がその活動を促進する場合は、他方は逆に抑制するように働く。つまり交感・副交感両神経系は相互に拮抗(きっこう)的な作用を及ぼしている(拮抗支配という。ただし、血管の場合は例外で、多くの血管には交感神経しかきていない)。さらに、ある器官に対する交感神経の活動が亢進(こうしん)しているときには副交感神経の活動は抑制され、逆に副交感神経が活発に活動しているときには交感神経の活動は抑制される(これを相反支配という)。また、両神経系とくに交感神経は、つねにある程度の興奮状態を持続しており、支配する器官に対して刺激(インパルス)を送り続けている。これを持続神経支配という。したがって両神経系の及ぼす刺激効果がちょうどつり合ったところに、その器官の興奮性が維持されているといえる。

[真島英信]

交感神経の作用

交感神経の作用は精神的に興奮したときや運動時に亢進する。このことは、われわれが恐ろしい場面から逃げ出そうとするときなどに経験するさまざまな身体的変化を考えてみれば比較的容易に理解することができる。このような場面にあっては、交感神経が興奮することによって、目は見開かれ(瞳孔(どうこう)散大)、顔面は蒼白(そうはく)となり(顔面の血管の収縮)、さらに精神性発汗が盛んになり、いわゆる「手に汗を握る」状態となる。また、気管支平滑筋が弛緩(しかん)するため、気管支は拡張し、呼吸は促進される。さらに心臓の活動(心活動)も促進されて収縮が強くなり、かつ心拍数が増加して胸の鼓動を感じるようになる(いわゆる胸がどきどきする状態)。以上が交感神経の作用が亢進したときの例であるが、このとき、激しい身体の運動には直接関係しない消化管の蠕動(ぜんどう)運動や消化液の分泌、および泌尿生殖器系の活動は逆に抑制される。なお、動物が精神的に興奮したときには立毛筋が収縮して体毛が逆立つ現象がみられる。これは、闘争または逃避のための準備状態が交感神経の活動によってつくられたといえる。また、交感神経は副腎(ふくじん)髄質を刺激してアドレナリンというホルモンの分泌を促進させる。アドレナリンは交感神経の作用とよく似た効果を諸臓器に引き起こし、交感神経興奮の効果を増幅させる働きをもっている。

[真島英信]

副交感神経の作用

副交感神経は、一般にわれわれが安静にし、ゆったりとくつろいでいるとき、すなわち休息中や睡眠時にその活動が亢進する。その結果として瞳孔の縮小、気管支平滑筋の収縮が生じるほか、心臓の拍動が抑制されて1回心拍出量の減少、心拍数の減少、血圧の低下がおこる。また、消化管の蠕動運動や消化液の分泌、泌尿生殖器系の活動は促進される。このようにみると、副交感神経はその活動によって消耗した身体の回復に適した条件を整える働きをもっているといえる。ただし、すでに述べたように、このような状態においても交感神経系は絶えず活動を続けており、諸臓器に刺激を送っている。

[真島英信]

化学伝達物質の違い

電気的信号である興奮が神経線維を伝わってその末端に到達すると、そこから化学物質が放出される。この物質は化学伝達物質とよばれ、臓器の細胞に作用してその機能を変化させるものである。交感神経と副交感神経の作用が前に述べたようにまったく異なっているのは、この化学伝達物質が両者間で異なっているからにほかならない。交感神経線維末端から放出される化学伝達物質はノルアドレナリンであり、副交感神経線維末端から放出されるのはアセチルコリンである。これらの化学伝達物質は神経線維末端から放出され、各臓器に作用を及ぼしたのち、血液中の酵素の働きによって速やかに分解される。諸臓器に対する交感・副交感神経興奮の影響は、それぞれの末端から放出される化学伝達物質の多寡によって決まってくる。したがって、神経を刺激しなくても、直接、臓器にこれらの化学伝達物質を作用させることによって同様の効果を得ることが可能となる。たとえばノルアドレナリンを静脈内に注射すると、心活動の促進による心拍数増加、動脈収縮による血圧の上昇、瞳孔の散大など、交感神経が興奮したときと同様の変化を生じさせることができる。

[真島英信]

動物

脊椎(せきつい)動物の自律神経系にもヒトと同様に2系統があり、それぞれが拮抗的に作用することは同じであるが、ここでは、神経繊維(医学では線維と表記する)の連絡様式についてさらに詳しく述べる。

 自律神経系においては、中枢神経系内の神経細胞から出た有髄の神経繊維(節前繊維)は、その支配する器官に達する前に、神経節または神経集網においてもう一つのニューロン(神経単位)に中継される。このニューロンの繊維は一般に無髄で、節後繊維とよばれる。交感神経の節後繊維は、汗腺を支配するものを除き、一般にアドレナリン作動性である。これに対し、副交感神経系の節後繊維、および交感・副交感神経系の節前繊維はコリン作動性である。以上のような自律神経系の基本的な性質は、ネコやイヌなどヒトを含む哺乳(ほにゅう)類を中心として調べられたものである。

 哺乳類の発達した自律神経系は、脊椎動物の祖先に近いと考えられる半索動物や原索動物の内臓、とくに咽頭(いんとう)や腸とその付属器官の働きを調整している神経集網にその原型をみることができる。扁形(へんけい)動物や円形動物などの消化系にも神経集網があり、内臓の機能を制御する神経系は広く三胚葉(はいよう)性動物(扁形動物以上のすべての動物)に存在するものと考えられるが、研究はほとんど行われていない。原索動物のナメクジウオでは、中枢から出た節前繊維に相当する繊維は、直接、末梢の神経集網に達している。交感神経幹はなく、皮膚、血管系ともに中枢からの神経支配を受けていない。円口類では副交感神経は迷走神経に限られている。サメ類の血管は、中枢からの神経支配を受けており、中枢に近い神経節でニューロンの交代が行われる。魚類の自律神経系の発達は、グループによる変異が大きく、自律神経系の基本的な系が確立したのは、両生類以上の脊椎動物であるとされている。

[村上 彰]

出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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栄養・生化学辞典

自律神経系
 →自律神経

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