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膿胸【のうきょう】

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

膿胸
のうきょう
pyothorax
胸膜炎ともいう。胸腔内に膿性滲出液が貯留する疾患肺炎から移行することが多く,しばしば乳幼児がかかるが,かつては結核性のものもかなりの比率を占めていた。急性期には発熱胸痛などを訴えることがあるが,特有の症状はない。治療は排膿を行うほか,病型に応じた化学療法を行う。

出典:ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
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デジタル大辞泉

のう‐きょう【×膿胸】
胸膜腔に膿(うみ)がたまった状態。結核性のものと肺炎肺化膿症自然気胸などに併発するものとがあり、胸痛・呼吸困難・発熱・痰(たん)の増加などの症状がみられる。

出典:小学館
監修:松村明
編集委員:池上秋彦、金田弘、杉崎一雄、鈴木丹士郎、中嶋尚、林巨樹、飛田良文
編集協力:田中牧郎、曽根脩
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家庭医学館

のうきょう【膿胸 Pyothorax】
[どんな病気か]
 内外二重の胸膜(きょうまく)に囲まれ、正常でも少量の胸水(きょうすい)がある胸膜腔(きょうまくくう)に感染がおこり、胸水が肉眼でみても混濁して、膿(うみ)のようになった状態が、典型的な膿胸です。
 かつては結核(けっかく)によっておこることが多かったのですが、最近では肺炎や肺化膿症(はいかのうしょう)にともなう膿胸が注目されています。
 縦隔(じゅうかく)の炎症や胸壁の外傷、あるいは腹腔内(ふくくうない)での感染症に引きつづいておこることもあります。
 抗生物質が十分に使用できなかった時代には、黄色(おうしょく)ブドウ球菌(きゅうきん)による肺炎に合併することが多かったのですが、今日では嫌気性菌(けんきせいきん)(酸素がないところで増える細菌)による肺炎に合併する膿胸が重要視されています。
 日本では、治療の早期から抗生物質が使われるためか、肺炎にともなう膿胸をみる機会は、それほど多くありません。
 しかし、肺炎に対する適切な治療が遅れると、膿胸となることもあるので、注意が必要です。
[治療]
 胸水が膿性を示すときは、抗生物質による治療とともに、胸膜腔に管を入れて積極的に胸水を排除する必要があります。
 結核性膿胸は、以前と比べると少なくなりました。結核性膿胸が肺に穿孔(せんこう)をおこした場合には手術が必要です。

出典:小学館
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世界大百科事典 第2版

のうきょう【膿胸 pyothorax】
胸膜の感染症で,胸腔の中に膿性の滲出液が貯留した状態をいう。肺炎や肺化膿症,肺結核,手術後感染にひきつづいて起こることが多い。通常,高熱を発し,白血球数が増加する。まず急性膿胸で始まり,放置したり,処置が不適切だと慢性膿胸に移行する。慢性膿胸のなかでは,結核性膿胸tuberculous pyothoraxがその大部分を占める。慢性膿胸では胸膜の炎症のほか,繊維素の沈着,胸膜の肥厚石灰の沈着を起こし,呼吸機能を著しく障害する。

出典:株式会社平凡社
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大辞林 第三版

のうきょう【膿胸】
胸膜の化膿性炎症の一。胸膜腔に膿汁が貯留した状態。肺膿瘍に合併することが多く、高熱・胸痛を呈する。

出典:三省堂
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日本大百科全書(ニッポニカ)

膿胸
のうきょう
胸膜腔(きょうまくくう)内に化膿(かのう)性の滲出(しんしゅつ)液が存在する状態をいう。臨床上、急性膿胸と慢性膿胸に分ける。肺炎、肺化膿症、気管支拡張症、肺結核などの病巣から波及することが多いが、心膜炎、縦隔炎、横隔膜下膿瘍(のうよう)、肝膿瘍、敗血症、胸部の穿通(せんつう)性外傷、胸部外科手術などに随伴しておこることもある。起炎菌としては肺炎球菌、連鎖球菌、ブドウ球菌、2~3種の真菌類があげられる。慢性膿胸はほとんどが結核性膿胸である。急性膿胸では高熱を発し、胸痛、呼吸困難、咳(せき)がおこる。治療はまず抗生物質を投与し、胸腔内に肺膿管を挿入し、水封式胸腔ドレナージ(回路を水封し胸腔内を陰圧にして排液する方法)を行う。慢性膿胸では外科的手術が必要となることが多い。自然治癒はまれで、放置すると肺や胸壁が破れ、治療がむずかしくなる。老人や小児では予後はかならずしもよくない。[石原恒夫]

出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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精選版 日本国語大辞典

のう‐きょう【膿胸】
〘名〙 胸(肋)膜腔に膿性の液体がたまる疾患。結核菌に起因するものが多い。発熱、呼吸困難、せき、たん、食欲不振などの症状を呈する。
※育児読本(1931)〈田村均〉五二「肺炎に合併する肋膜炎ではよく肋膜腔に膿汁が溜る。これを膿胸(ノウキョウ)といひ」

出典:精選版 日本国語大辞典
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内科学 第10版

膿胸(胸膜炎)
(3)膿胸(pyothorax, thoracic empyema)
概念・分類
 胸腔内に膿が貯留したもの.膿胸は経過により治療法が異なるため,急性膿胸(図7-14-1)と3カ月以上経過した慢性膿胸に分類する.
病態
1)急性膿胸:
肺炎に続発することが多いが,縦隔や横隔膜下の感染症の波及や,食道破裂や胸部外科手術の合併症でも生じる.悪臭の膿は嫌気性菌が関与している.小児の膿胸では,ブドウ球菌と肺炎球菌の頻度が高い.
2)慢性膿胸:
結核性胸膜炎が遷延したものと,一般細菌による急性膿胸が遷延したものとがある.肥厚した胸膜が肺を覆うようになり,肺の呼吸運動が障害され拘束性換気障害を呈する.CT検査では肥厚した胸膜に囲まれた低吸収域を認める.膿胸腔が穿破し,気管支瘻や肺瘻をつくることがある.
治療
 急性膿胸にはドレナージを行う.慢性膿胸は,胸膜剥皮術や開窓術など外科的治療の適応となる.慢性膿胸が20年以上にわたって遷延した症例で,胸腔に悪性リンパ腫が発生することがある.多くはびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(diffuse large B-cell lymphoma: DLBL)で,CD20以外のB細胞マーカーはしばしば陰性で,CD2などのT細胞マーカーがしばしば発現する.Epstein-Barrウイルスの潜伏感染が高頻度にみられる.[矢野聖二]
■文献
Light RW: Pleural diseases. 4th ed. Lippincott Williams & Wilkins, Philadelphia, 2001.

出典:内科学 第10版
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六訂版 家庭医学大全科

膿胸
のうきょう
Empyema
(呼吸器の病気)

どんな病気か

 胸膜(きょうまく)の感染症により、胸腔内に膿性(のうせい)の液体がたまったものです。

原因は何か

 肺炎肺膿瘍(はいのうよう)が胸膜に広がり、細菌が胸腔内に侵入して発症することが多く、起炎菌としては、黄色ブドウ球菌、肺炎桿菌(かんきん)、ストレプトコッカスミレリ、嫌気性菌(けんきせいきん)などが頻度の高いものです。

 高齢で寝たきりの人に発症しやすく、口腔内の細菌が肺内に流れ込みやすいのがその理由です。

 原因が肺結核(はいけっかく)の場合は結核性膿胸であり、年余にわたって膿がたまり、慢性膿胸と呼ばれる病態を示すことがあります。

症状の現れ方

 発熱、胸痛(深呼吸や咳で増悪するのが特徴)、(せき)などの症状が現れます。胸腔内の膿が肺内にもれると、膿性痰が吐き出されます。膿が大量にたまってくると呼吸困難を自覚するようになります。

 慢性膿胸では、年余にわたって無症状のこともあります。

検査と診断

 胸部X線検査で胸水がたまった像を認め、胸腔穿刺(きょうくうせんし)(針を刺す)により膿性の胸水が採取されれば膿胸と診断されます。しかし、慢性膿胸では胸水も膿性ではなく、褐色を示します。

 採取された胸水の培養により、起炎菌が決定されます。

 血液検査では、白血球増加、CRP高値、赤沈促進などの炎症所見の亢進が認められます。

治療の方法

 カルバペネムという強力な抗菌薬が投与されます。また、クリンダマイシンという嫌気性菌に優れた抗菌力をもつ抗菌薬が併用されることもあります。

 膿胸の治療では、全身的な抗菌薬の投与と同時に、胸腔内の膿性胸水を排除することが重要です。胸腔内にチューブを留置し、持続的に排液します。胸腔内を生理食塩水で洗浄したり、アミノグリコシドなどの抗菌薬を注入することもあります。

 これらの治療により、多くは2~3週間で治癒します。

 慢性膿胸では、内科的治療のみでは治癒させることが困難であり、多くの患者さんでは外科的治療が必要になります。基質化して厚くなった胸膜の剥皮術(はくひじゅつ)や、膿胸腔を縮小、閉鎖するための胸郭形成術が行われます。

病気に気づいたらどうする

 深呼吸や咳で増悪する胸痛を自覚し、発熱もあれば、早めに内科を受診します。高齢で寝たきりの人が発熱や胸痛を訴えた場合は、家族の方は患者さんを病院に連れていったほうがよいでしょう。

沖本 二郎

出典:法研「六訂版 家庭医学大全科」
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膿胸
のうきょう
Empyema
(感染症)

どんな症状か

 膿胸とは、胸膜(きょうまく)が炎症を起こし胸膜内に膿状の液体(うみ)がたまった状態をいいます。細菌性肺炎、胸腔内手術後に続いて起こるのが特色です。

 期間によって急性膿胸(3カ月未満)、慢性膿胸(3カ月以上)に分けられます。また、菌の種類によって結核性(けっかくせい)、化膿性、真菌性膿胸に分けられます。原因となる細菌はブドウ球菌が最も多く、ほかには肺炎球菌、クレブシエラ、グラム陰性桿菌(いんせいかんきん)があります。まれに膿胸から悪性Bリンパ腫が発症します。

症状の現れ方

 急性では悪寒(おかん)を伴う高熱、(せき)、胸痛、呼吸困難が主な症状です。重症の場合は血圧低下や敗血症を伴い、ショック状態となります。

検査と診断

 診断は胸部X線検査で胸水がたまっている像がみられ、胸腔(きょうくう)穿刺(せんし)(針を刺す)して採取した胸水が膿性であれば、膿胸と確定します。

 胸水は必ず細菌検査をし、結核菌も培養して調べます。細菌性膿胸でも菌を検出できない場合もあります。また、胸部CT検査は膿状の液体がどのくらい、どこにたまっているのか判断するのにとても有用です。

 結核性膿胸の場合は慢性の経過をとり、多くは結核性胸膜炎の既往があって、胸水も膿性でなく褐色を示すことがあります。また、結核菌を証明できないことも多くあります。

 膿胸症例の44%で糖尿病、肝疾患、うっ血性心不全、閉塞性肺疾患などの基礎疾患を伴うことや、アルコール依存・喫煙との関係がいわれています。

治療の方法

 原因となる細菌に感受性のある抗生物質の全身投与と胸腔ドレナージ(チューブによる排液)の両方が必要です。抗生物質は、広域ペニシリンや第2世代セフェム系の薬物が点滴で投与されます。しばしばアミノグリコシド系薬剤も併用します。

 胸腔ドレナージに使うチューブは膿状の胸水の詰まりをなくすため、できるだけ太いものを使います。チューブから直接抗生物質を注入したり、生理食塩水で胸腔内を洗浄します。

 慢性膿胸は難治性なので、胸膜肺切除などで肺の膨張(ぼうちょう)を図る外科治療も行われます。

病気に気づいたらどうする

 結核専門医、呼吸器疾患専門医のいる病院(とくに国立病院機構の呼吸器専門病院など)を受診し、相談する必要があります。

関連項目

 肺炎肺結核

岡田 全司

出典:法研「六訂版 家庭医学大全科」
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