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膀胱がん【ぼうこうがん】

家庭医学館

ぼうこうがん【膀胱がん Bladder Cancer】
◎高年齢の男性に多く、再発もある
[どんな病気か]
 膀胱粘膜(ねんまく)に発生するがんで、泌尿器科(ひにょうきか)が取り扱う悪性腫瘍(あくせいしゅよう)(がん)のなかでもっとも頻度の高いものです。
 子どもにはまれで、40歳以上の人に発生頻度が高く、高齢になるほど増加し、膀胱がんの約6割は65歳以上です。男性に多く、女性の3倍以上です。また、治療法によっては、再発が非常に多いのも特徴です。
[症状]
 発熱や腹痛などの、病気らしい症状をともなわない無症候性血尿(むしょうこうせいけつにょう)(コラム「無症候性血尿」)が多くみられます。
 この血尿の特徴は、放っておいても、目では見えなくなってしまうことです。無症候性血尿は1回だけのこともありますが、数回続いた後、止血することもあります。
 このように、血尿が出たり止まったりをくり返しながら、血尿の期間が長くなり、ついには持続的な血尿になります。
 がんの発生部位によっては、排尿(はいにょう)時の痛みや、排尿回数が増えるといった膀胱炎(ぼうこうえん)のような症状をともなうこともあります。
 血尿がひどくなって膀胱の中でかたまり、尿道(にょうどう)から排尿できなくなったり、尿がしぶるようになったり、下腹部がふくらんで苦痛をともなうようになる場合もあります。このような状態では水腎症(すいじんしょう)(「水腎症」)となり、腎臓(じんぞう)の機能が低下していることが多く、また、貧血をともなう場合もあります。
 アニリン系の染料を扱う職業に従事する人に発生率が高いのですが、最近では、喫煙者の発生率が非常に高くなっているのが注目されています。
●受診する科
 がんの性質や状態に応じた、いろいろな治療法を選ぶことがたいせつで、そのためにも泌尿器科、できれば、がんを専門としている泌尿器科を受診しましょう。
[検査と診断]
 検査としては触診、視診はもちろん、尿検査、尿細胞診検査が行なわれますが、膀胱にがんがあるかないかは膀胱鏡検査でほとんど診断されます。しかしごくまれには、生検(せいけん)(膀胱の組織を調べる)が必要な場合もあります。
 また、がんの広がりや膀胱壁(ぼうこうへき)への浸潤の深さ、転移を調べるために、排泄性腎盂造影(はいせつせいじんうぞうえい)、超音波検査、CT、MRIやシンチグラフィーなどのあらゆる画像診断が行なわれます。
◎がんの状態で治療法がちがう
[治療]
 膀胱がんの大きさや広がり、膀胱壁への浸潤の深さなどで治療法(とくに手術療法)がちがってきます。どの治療法を用いるかは専門の泌尿器科の医師とよく相談し、いちばんよい方法を選択しましょう。
 手術法の選択でも、がんの状態によっては、膀胱を残せる場合もあり、残せない場合もあります。膀胱を残せないと、術後の生活が多少不便になりますが、生命にはかえられません。
●代表的な手術療法
 がんが細い茎(くき)をもって生えていて、広がりが狭く、浸潤が浅いとき 膀胱がんでは、7割くらいがこのような状態です。この場合、尿道から膀胱鏡を入れて鏡で見ながら、がんを電気的に切除する方法(経尿道的膀胱腫瘍切除術(けいにょうどうてきぼうこうしゅようせつじょじゅつ))が選択されます。
 この方法では、がんだけを切除するので膀胱はそのまま残り、膀胱の機能はまったく損なわれません。しかし、切除した場所とは別の場所にがんが再発する頻度は高くなり、何度もこの手術を受ける人がいます。
 この方法で大きながんの一部を切除して、病理学的な検査を行ない、膀胱摘除術にそなえる場合もあります。
 がんの広がりが広範囲で浸潤が深い、また、浸潤はごく表層だけだが、がんの性質が極端に悪く、膀胱粘膜の広い範囲に広がっているとき このような場合には、尿道を含めて(男性の場合は前立腺(ぜんりつせん)や精嚢(せいのう)を含めて)膀胱をすべて摘出し、必要によっては骨盤内(こつばんない)のリンパ節郭清(かくせい)も行なわれます(根治的膀胱全摘除術(こんじてきぼうこうぜんてきじょじゅつ))。
 この手術は非常に大がかりで、手術時間も長く、6~9時間以上かかったり、出血も多く、2000mℓ以上の輸血が必要になることもあります。
 根治的膀胱全摘除術を行なうと、尿道以外のところから尿を体外に導く、尿路変向術(にょうろへんこうじゅつ)が必要になります。
 尿路変向術には、尿管を皮膚から体外へ導く尿管皮膚瘻(にょうかんひふろう)、尿管を大腸(だいちょう)につなげて肛門(こうもん)から排尿できるようにする尿管S状腸吻合術(ちょうふんごうじゅつ)、小腸(しょうちょう)を使って導管をつくり、そこに尿管をつなぎ体外へ排尿できるようにする回腸導管(かいちょうどうかん)などがあります。
 根治的膀胱全摘除術が必要となるようながんの状態の場合には、手術の前後に全身的ながん化学療法や放射線照射が必要な場合もしばしばあります。
 根治的全摘除術を必要としない程度のがんの広がりで、がんが尿道からはなれていて、浸潤が深いとき このようなときには、膀胱は全部摘除しますが、尿道を残す手術が行なわれます。
 この場合は尿道が残っているので、腸管を使って新しい膀胱をつくり、それと残った尿道とをつなぎ、尿道から排尿できるような方法がとられます。
 膀胱は全部摘出し、そのうえに新しい膀胱をつくるため、手術時間や出血量は根治的膀胱全摘術以上のことが多くなります。
 この手術では、尿道にがんが再発する危険が高いため、手術が行なえるがんの状態も少なく、排尿機能もすべてが完全とはいえません(とくに女性で不完全な状態になる確率が高い)。
 がんの広がりは狭いが、浸潤が深いとき この場合には、がんの部分をその周囲の膀胱を含めて切除します(膀胱部分切除術(ぼうこうぶぶんせつじょじゅつ))。手術時間は2~3時間で、輸血が必要になることもあります。
 尿管口の近くにがんが発生した場合には、尿管を膀胱のちがう部分に植えかえる手術も必要になります。
 この方法では、大半の膀胱が残りますので、膀胱の機能は保たれ、尿道からの排尿も可能です。その反面、膀胱や尿道にがんが再発する可能性は残ります。
●手術以外の治療法
 放射線治療
 膀胱部に放射線をあてる治療法です。手術の前後に行なわれることが多いのですが、放射線治療だけでは、あまり大きな効果は期待できません。
 全身抗がん剤投与
 いろいろな種類の抗がん剤を組み合わせて、静脈注射を行ないます。膀胱全摘除術や部分切除術の前後に多く行なわれます。また、がんの転移に対してもこの治療法が行なわれます。
 経尿道的膀胱腫瘍切除後の再発予防のために、経口抗がん剤が使われることもあります。
 抗がん剤の膀胱内注入
 経尿道的膀胱腫瘍切除後の再発予防や、浸潤が表面だけでも、その広がりが広範囲ながんの治療に、抗がん剤やBCG(厳密には抗がん剤とはいえませんが)を膀胱の中に注入する方法があります。BCGの注入は、かなり効果的です。

出典:小学館
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それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。この事典によって自己判断、自己治療をすることはお止めください。あくまで症状と病気の関係についてのおおよその知識を得るためのものとお考えください。

六訂版 家庭医学大全科

膀胱がん
ぼうこうがん
Bladder cancer
(腎臓と尿路の病気)

どんな病気か・原因は何か

 膀胱の内部は移行上皮細胞におおわれており、膀胱がんのほとんどはこの移行上皮から発生します。40歳以上の男性に多く、年間10万人中約10人の発生率です。

 はっきりとした原因は不明ですが、喫煙する人ではしない人と比較して膀胱がんが2~3倍多くなります。また、染料や化学薬品(アニリン系色素やベンチジン、2­ナフチラミンなど)を扱う職業で膀胱がんの発生頻度が高くなっています。

 長期間膀胱結石があったり、膀胱周囲の血管系に寄生するビルハルツ住血吸虫症(じゅうけつきゅうちゅうしょう)に感染していたりすると、その慢性的な刺激により発がんすることがあります。

 医薬品では、フェナセチンやシクロホスファミドに発がん作用が認められています。

症状の現れ方

 初発症状として最も多いのは血尿で、赤色や褐色の尿の自覚や、尿検査などで発見されます。この血尿は痛みなどを伴わないのが特徴で、「無症候性血尿(むしょうこうせいけつにょう)」と呼ばれます。病変の場所が膀胱の出口(尿道口や膀胱頸部(けいぶ))に近いと、膀胱炎の症状(頻尿(ひんにょう)、排尿時の疼痛、尿の混濁、残尿感など)、排尿障害などが現れます。

 さらに尿管が閉塞してしまうと、水腎症(すいじんしょう)(尿が流れないため腎臓がはれたり、尿管が拡張した状態)やそれによって腎臓機能が低下することがあります。進行すると痛み、排便の異常、直腸や子宮からの出血を認めることもあります。

検査と診断

 血尿や膀胱炎の症状などがあり、尿検査などで膀胱がんが疑われれば検査を行います。通常、膀胱がんは隆起しているので、膀胱鏡検査でその一部分をとって顕微鏡検査を行い、確定診断となります。膀胱鏡検査は、病変の性状や大きさ、数、発生部位なども観察することが可能です。膀胱がんは多発することがあり、膀胱鏡検査で見た目ではわかりにくい場合、肉眼的に正常と思われる部位からも生検します。また、尿中の異常細胞を調べる尿細胞診も診断に有用です。

 進行度を調べるために、腹部CT・MRI、腹部および経尿道超音波検査、排泄性尿路造影などが行われます。転移がないかどうかを調べるため、胸部X線、腹部CT、骨シンチグラフィなども行われます。腎盂(じんう)や尿管も膀胱と同様に移行上皮があるので、これらの部位に異常がないかも検査します。

治療の方法

 治療は、前述の検査によって得られたがんの状態や転移の有無、患者さんの年齢や体力などを考慮して決定されます。

①膀胱壁の比較的浅い部分までに限局している場合(表在性腫瘍(ひょうざいせいしゅよう)

 経尿道的膀胱腫瘍切除術が行われます。これは、腰椎麻酔をしたうえで尿道から膀胱鏡を入れ、電気メスで腫瘍を切り取る治療です。また、再発防止のために抗がん薬の膀胱内注入が行われることがあります。

 がんが膀胱壁の最も浅い層である粘膜内に限局している場合(上皮内がん)には、BCG(結核のワクチン)の膀胱内注入が行われることがあります。

②膀胱壁のより深い部分に及んでいる場合(浸潤性腫瘍(しんじゅんせいしゅよう)

 標準的な治療としては、膀胱全摘除術および尿路変更術(膀胱を取ったあと、尿を出すための経路をつくる手術)が行われます。これは全身麻酔下で行われる手術で、膀胱と周囲のリンパ節のほかに、男性であれば前立腺(ぜんりつせん)精嚢(せいのう)(必要であれば尿道も)などを、女性であれば尿道・腟前壁なども同時に摘出する手術です。

 続いて行う尿路変更術には、尿管皮膚瘻(にょうかんひふろう)回腸導管(かいちょうどうかん)造設術、自然排尿型代用膀胱などがあります。

・尿管皮膚瘻

 左右の尿管を皮膚につなぎ、腎臓までカテーテルを入れて、そこから排尿するものです。手術としては簡単ですが、常に尿が出てくるので袋をつけておかなければなりませんし、感染の危険もあります。

・回腸導管造設術

 小腸の一部を切り取って、そこに左右の尿管をつなぎ、その小腸の一端を皮膚につないで排尿するものです。感染などの合併症が少ない方法ですが、やはり常に袋をつけておく必要があります。

・自然排尿型代用膀胱

 小腸を用いて作成した代用膀胱を元の膀胱と置き換えて、元と同じ尿道口より排尿する方法です。最も生理的な方法ですが、尿道を温存できる場合しか適応となりません。腹圧によって排尿することができますが、うまくできない場合には自己導尿が必要になることもあります。

 これらの尿路変更術の選択は、症例により異なるので、病変の状態や本人の希望、それぞれの長所や短所などを考慮して手術前に十分検討する必要があります。

 転移があるような進行がんや、全身状態に問題がある場合、手術を希望しない場合には、抗がん薬による治療が行われ、通常2種類以上の薬剤を組み合わせて投与されます。

 メトトレキサート(メソトレキセート)、ビンブラスチン(エクザール、ビンブラスチン)、ドキソルビシン(アドリアシン)、シスプラチン(ランダ、ブリプラチン)の4種類を組み合わせたM­VAC療法が、膀胱がんに対して最もよく行われる化学療法です。放射線併用治療も行われています。

 また、手術の前に抗がん薬による治療を行うこともあり、これは「術前補助療法」と呼ばれます。一方、手術のあとに抗がん薬による治療を行うこともあり、こちらは「術後補助療法」と呼ばれています。

病気に気づいたらどうする

 膀胱がんは血尿で始まることが多い病気ですが、血尿があればすべて膀胱がんというわけではありません。しかし、血尿を自覚したり、尿検査などで異常を指摘されたりした場合にはいろいろな病気が考えられるので、その際は泌尿器科や腎臓内科の専門医に相談してください。

西野 友哉, 古巣 朗, 河野 茂

出典:法研「六訂版 家庭医学大全科」
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それぞれの項目は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

EBM 正しい治療がわかる本

膀胱がん
どんな病気でしょうか?

●おもな症状と経過
 膀胱(ぼうこう)の表面を覆(おお)う移行上皮(いこうじょうひ)が、がん化して膀胱がんとなります。筋層まで浸潤(しんじゅん)した筋層浸潤性膀胱がんと、表在や上皮内にがんがとどまる筋層非浸潤性膀胱がんに分けられます。
 初期の特徴的な症状は肉眼でわかる血尿で、これには痛みを伴いません。排尿痛はがんが進行してから出現することが多いのですが、初期にも膀胱炎に似た排尿痛がみられることがあります。抗菌薬で痛みがおさまらない場合は、膀胱がんを疑う必要があります。
 病期が進んでくると、がんが広がって尿管口(にょうかんこう)を閉塞(へいそく)させ、腎臓がつくりだした尿が膀胱まで流れなくなって、尿管、腎盂(じんう)が拡張することがあります。これを水腎症(すいじんしょう)といい、背中に鈍痛を感じます。検査では尿のなかにはがれ落ちてくるがん細胞をとらえる尿細胞診が有効で、膀胱内部を観察する内視鏡の膀胱鏡で調べると、ほぼ確実に診断できます。

●病気の原因や症状がおこってくるしくみ
 喫煙者は、非喫煙者の2~4倍の割合で膀胱がんになりやすいといわれており、喫煙がもっとも一般的な危険因子です。また、染料に使うベンチジンなど一部の化学物質に発がん性があり、染料を扱う職業の人に膀胱がんの発症が多いことが知られています。すでにこうした化学物質は使われていませんが、染料工場等で働いたことのある人は注意が必要です。

●病気の特徴
 わが国では人口10万人あたり毎年約8人発生しています。50歳以降に多く、男性は女性の約4倍です。


よく行われている治療とケアをEBMでチェック

■表在性および上皮内がんの場合(筋層非浸潤性膀胱がん)
[治療とケア]経尿道的膀胱腫瘍切除術(けいにょうどうてきぼうこうしゅようせつじょじゅつ)(TUR-Bt)を行う
[評価]☆☆☆☆☆
[評価のポイント] 尿道から特殊な膀胱鏡を入れ、目で確認しながら電気メスでがん組織を切除する方法で、臨床研究によって効果が確認されています。がんが粘膜(ねんまく)内に限局している膀胱がんに対しては有効で、再発率が低いとされています。しかし、がんが粘膜下まで浸潤しているが膀胱筋層にはおよんでいない段階でこの治療法を行った場合には、約60パーセントに再発が認められています。再発をくり返す症例の約10パーセントが浸潤がんへ進展するといわれており、定期的な膀胱鏡による確認が必要です。(1)

■浸潤性の場合(筋層浸潤性膀胱がん)
[治療とケア]膀胱全摘除術(ぼうこうぜんてきじょじゅつ)を行う
[評価]☆☆☆☆☆
[評価のポイント] 開腹して骨盤内のリンパ節と膀胱、さらに男性では前立腺(ぜんりつせん)と精(せい)のう、女性では子宮を摘出する手術です。リンパ節転移を認めない筋層浸潤性膀胱がんでは5年生存率は60~80パーセントと報告されています。ただし、リンパ節転移の有無により5年生存率は異なり、リンパ節転移がある場合は20~35パーセントとなります。(1)

 



[治療とケア]放射線療法を行う
[評価]☆☆
[評価のポイント] 放射線照射単独での治療については、ほかの治療法が困難な症例に対して選択的に行うことが専門家の意見や経験から支持されています。

[治療とケア]化学療法を行う
[評価]☆☆☆
[評価のポイント] 化学療法単独の治療成績を報告した信頼性の高い臨床研究はありませんが、シスプラチンを中心とした数剤併用の化学療法を手術に先立って行うことが予後を改善させることが、臨床研究によって確認されています。メトトレキサート、ビンブラスチン硫酸塩、アドリアマイシンあるいはその誘導体、シスプラチンの4剤を組み合わせるM-VAC療法、シスプラチンとゲムシタビン塩酸塩を組み合わせるGC療法、メトトレキサート、ビンブラスチン硫酸塩、シスプラチンを組み合わせるCMV療法の効果は臨床研究によって確認されています。(2)(3)

[治療とケア]BCGの膀胱内注入療法を行う
[評価]☆☆☆
[評価のポイント] TUR-Bt後にBCG注入療法を行ったほうが、TUR-Bt単独療法より再発率が低いことが、いくつかの臨床研究によって確認されています。(4)~(6)

[治療とケア]抗がん薬の膀胱内注入療法を行う
[評価]☆☆☆
[評価のポイント] TUR-Bt後に抗がん薬であるマイトマイシンCの膀胱内注入療法を行うと、TUR-Bt単独療法より再発率が低いことが、臨床研究によって確認されています。(7)


よく使われている薬をEBMでチェック

抗がん薬
[薬用途]M-VAC多剤併用療法
[薬名]メソトレキセート(メトトレキサート)+エクザール(ビンブラスチン硫酸塩)+アドリアシン(ドキソルビシン塩酸塩)+ランダ/ブリプラチン(シスプラチン)(2)
[評価]☆☆☆
[評価のポイント] これらの薬は多剤併用での効果が臨床研究によって確認されています。

[薬用途]GC療法
[薬名]ランダ/ブリプラチン(シスプラチン)+ジェムザール(ゲムシタビン塩酸塩)(3)
[評価]☆☆☆
[評価のポイント] この薬は2剤併用でM-VACと同等の効果があることが臨床研究によって確認されています。
[薬用途]

[薬名]イムノブラダー(乾燥BCG)(4)~(6)
[評価]☆☆☆
[評価のポイント] 乾燥BCGの効果は、いくつかの臨床研究によって確認されています。

[薬名]マイトマイシン(マイトマイシンC)(7)
[評価]☆☆☆
[評価のポイント] マイトマイシンCの効果は臨床研究によって確認されています。


総合的に見て現在もっとも確かな治療法
早期なら、TUR-Bt後に膀胱内注入療法
 膀胱粘膜内にとどまる比較的早期の膀胱がんについては、経尿道的膀胱腫瘍切除術(TUR-Bt)を行ったあと、薬物の膀胱内注入療法を行います。
 再発したり、がんを複数の場所に認めたりしたときには、そのつど、それぞれの場所に注入療法を行います。
 膀胱内注入療法では、現在BCGを注入するのが一般的ですが、そのほか、抗がん薬などの薬物のほか、インターフェロンなどが用いられることもあります。

浸潤がんは手術と補助療法の組み合わせ
 膀胱筋層に浸潤した膀胱がんには、根治的な膀胱全摘除術や膀胱部分切除術、広範囲の内視鏡的切除術、膀胱部分切除術に化学療法や放射線体外照射療法を組み合わせる治療など、さまざまな選択肢が考えられます。
 余命をもっとも延長することが確実なのは根治的な膀胱全摘除術ですが、がんの広がりなどによっては、膀胱の部分切除術に化学療法などを組み合わせることも十分考えられます。
 しかし、手術療法と組み合わせずに単独で放射線療法や化学療法を行ったときの治療成績は、現在のところあまり芳しくありませんので勧められません。
 喫煙などのリスク因子は、当然取り除く必要があります。

(1)日本泌尿器科学会. 膀胱癌診療ガイドライン2009年度版. 2009.
(2)Witjes JA, Wullink M, Oosterhof GO, et al. Toxicity and results of MVAC (methotrexate, vinblastine, adriamycin and cisplatin) chemotherapy in advanced urothelial carcinoma. Eur Urol. 1997;31:414-419.
(3)von der Maase H, Sengelov L. Long-term survival results of a randamoized trial comparing gemcitabine plus cisplatin, with methotrexate, vinblastine, doxorubicin, plus cisplatin, in patients with bladder cancer. J Clin Oncol. 2005; 23: 4602-4608.
(4)Mungan NA, Witjes JA. Bacille Calmette-Guerin in superficial transitional cell carcinoma. Br J Urol. 1998;82:213-223.
(5)Prescott S, Jackson AM, Hawkyard SJ, et al. Mechanisms of action of intravesical bacille Calmette-Guerin: local immune mechanisms. Clin Infect Dis. 2000;31(Suppl 3):S91-S93.
(6)Sylvester RJ, van der MEIJDEN AP, Lamm DL. Intravesical bacillus Calmette-Guerin reduces the risk of progression in patients with superficial bladder cancer: a meta-analysis of the published results of randomized clinical trials. J Urol. 2002;168: 1964-1970.
(7)Sylvester RJ, Oosterlinck W, et al. A single immediate postoperative instillation of chemotherapy decreases the risk of recurrence in patients with stage Ta T1 bladder cancer. a meta-analysis of published results of randomized clinical traials. J Urol. 2004;171:2186-2190.

出典:法研「EBM 正しい治療がわかる本」
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それぞれの項目は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

四訂版 病院で受ける検査がわかる本

膀胱がん

 泌尿器系では最もよくみられるがんで、表在がんと浸潤しんじゅんがんに分けられます。

 表在がんであれば致命的にはなりませんが、再発を繰り返すのが特徴で、浸潤がんに進むこともあります。浸潤がんでは、他の部位へ転移している確率が高くなります。

●おもな症状

 無症候性(とくに症状がない)の血尿が特徴です。60歳以上で血尿がある場合はとくに要注意。がんが進行すると排尿時の痛み、頻尿ひんにょう、尿閉、排尿困難などを伴うことがあります。

①尿検査/尿の細胞診

  ▼

②膀胱尿道造影

  ▼

③膀胱鏡検査/生検(病理診断)

膀胱尿道造影と膀胱鏡検査が中心に

 膀胱ぼうこうがんの診断はまず尿検査を、次いで膀胱尿道造影(→参照)を行います。尿検査では、血尿と尿中に出てくるがん細胞の検出(尿細胞診)が主になります。

 これらの検査でがんが疑われたら、膀胱鏡検査を行います。この検査は、長さ30㎝くらいの細い金属製の筒を尿道口から挿入して、膀胱と尿道の様子を観察します。腫瘍の有無、その性質などが診断でき、検査と同時に病変も採取(生検)して診断を確定します。

 また、膀胱がんでは双手診そうしゅしんと呼ばれる触診を行うこともあります。これは、直腸指診と同様に肛門(女性では腟)から指を入れ、さらに片方の手を腹部にあてて、膀胱をはさみこむようにして調べ、がんの大きさや硬さ、進展具合を診断します。

 その他、おもにがんの浸潤や転移の様子を調べるために超音波やCT、MR(→参照)など、また、尿路の変化をくわしく調べるために腎盂じんう造影(→参照)を行うこともあります。

出典:法研「四訂版 病院で受ける検査がわかる本」
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