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腹膜炎【ふくまくえん】

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

腹膜炎
ふくまくえん
peritonitis
細菌感染による腹膜の炎症急性のものは,胃潰瘍十二指腸潰瘍で穴があき,内容物が腹腔内にもれた場合に重い症状を示すが,このほか胆嚢炎,虫垂炎腸結核チフスなどの穿孔によるものが多く,子宮周囲炎などの婦人科疾患の波及,また胆嚢,肝臓膵臓腎臓などの炎症に続発するものも多い。ほかに外傷によるもの,肺炎菌の血行感染によるものなどもある。おもな症状は腹痛腹部膨満嘔吐腹水貯留である。慢性のものは,結核と癌に起因することが多い。

出典:ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
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デジタル大辞泉

ふくまく‐えん【腹膜炎】
腹膜の炎症。化膿菌(かのうきん)腫瘍(しゅよう)などによって起こり、急性では虫垂炎などから二次的に起こることも多く、激しい腹痛や嘔吐(おうと)・下痢(げり)などを伴う。

出典:小学館
監修:松村明
編集委員:池上秋彦、金田弘、杉崎一雄、鈴木丹士郎、中嶋尚、林巨樹、飛田良文
編集協力:田中牧郎、曽根脩
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栄養・生化学辞典

腹膜炎
 腹膜の炎症.

出典:朝倉書店
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家庭医学館

ふくまくえん【腹膜炎 (Peritonitis)】
 腹壁(ふくへき)の内側と腹腔(ふくくう)内の臓器の表面をおおっている腹膜(ふくまく)(コラム「腹膜のしくみ」)に炎症がおこるのが腹膜炎です。
 炎症が、腹膜の一部にとどまっているものを限局性(げんきょくせい)腹膜炎、腹膜全体にわたっておこっているものを汎発性(はんぱつせい)腹膜炎(びまん性腹膜炎)といいます。
 腹膜の一部に炎症がおこると、周囲にある大網(たいもう)や腸が取り巻き、炎症が現在以上に広がらないようにします。この防御機構が機能しているうちは限局性腹膜炎の段階でとどまっていますが、力がおよばなくなると、炎症が広範囲に広がり、汎発性腹膜炎になります。
 しかし、限局性腹膜炎の段階を踏まずに、最初から汎発性腹膜炎として発症することもあります。
 また、短時日のうちに急速におこってきたものを急性腹膜炎(「急性腹膜炎」)、いつ発症したのかわからないことが多く、長期間にわたって続くものを慢性腹膜炎(「慢性腹膜炎」)といいます。

出典:小学館
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世界大百科事典 第2版

ふくまくえん【腹膜炎 peritonitis】
腹膜の炎症性疾患をいう。腹膜炎は症状と性質によって,急性と慢性,原発性と続発性に分けられ,原因によって細菌性(化膿性)と非細菌性に,そして病巣の範囲によって汎発性と限局性に大別され,これらがいろいろに組み合わされた形で発症する。腹膜炎のうち,最もよくみられ,しかも重要なのは急性(続発性)汎発性化膿性腹膜炎である。以下,これを含め重要なものについて解説する。
急性汎発性化膿性腹膜炎
 おもな症状は激痛から種々の程度にわたる腹痛で,ときに嘔吐を伴う。

出典:株式会社平凡社
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日本大百科全書(ニッポニカ)

腹膜炎
ふくまくえん

腹膜腔(くう)の炎症である。炎症の経過によって急性と慢性に、広がりによって汎発(はんぱつ)性と限局性に、他の疾患に引き続きおこったものかどうかで続発性と原発性に、細菌が関与しているかどうかで細菌性と非細菌性とに分ける。たとえば、もっとも頻度が高い虫垂穿孔(せんこう)によるものは、急性続発性汎発性細菌性腹膜炎というように腹膜炎は分類できる。

 症状は腹膜炎の分類に従って多少異なる。もっとも重要な急性化膿(かのう)性腹膜炎では、持続する腹痛と発熱、腹膜刺激症状が強い。早期には腹部は陥凹し、筋性防御も著しいが、経過とともに麻痺(まひ)性イレウスを伴い、腹部は膨満する。脱水に加えて、エンドトキシンの影響も加わり、二次性ショックとなれば致命的である。

 治療は全身状態が良好な早期に緊急手術を行う。術前の全身状態が著しく不良のときには、緊急手術を行うと死亡することが多いので、全身状態を改善できるよう努力し、手術に移る。手術は、感染源の処置、腹膜腔内の滲出(しんしゅつ)液の排除、洗浄、ドレーン設置(ドレナージ)を行う。強力な抗生物質療法、術後の徹底した全身管理など集中治療を行う。予後は発症から手術までの時間に比例しており、遅れるほど予後が悪い。

 限局した腹膜炎は膿瘍(のうよう)の処置に準じ、緊急手術の適応ではない。そのほか急性原発性腹膜炎は抗生物質、慢性腹膜炎(結核性腹膜炎)は抗結核療法が第一選択である。なお、本来の炎症ではないが癌(がん)性腹膜炎は、腹腔(ふくくう)内の癌の腹膜播種(はしゅ)で予後が悪い。

[古味信彦]

出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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精選版 日本国語大辞典

ふくまく‐えん【腹膜炎】
〘名〙 腹膜の炎症。胃潰瘍や盲腸炎などの穿孔(せんこう)によるものと、結核または悪性腫瘍(しゅよう)が腹膜に及んで起こるものとがある。急性のものは特に激しい疼痛を示し、慢性腹膜炎は結核によるものが多い。腹膜。〔医語類聚(1872)〕

出典:精選版 日本国語大辞典
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内科学 第10版

腹膜炎(腹膜疾患)
定義・概念
 腹膜は薄い漿膜であり腸管などの臓器を覆う臓側腹膜と腹壁を覆う壁側腹膜に大別される.この腹膜に何らかの原因により炎症が引き起こされた状態を腹膜炎とよび,たいていの場合腹水貯留を伴う.
病因
 ①細菌性(結核菌を含む),②胆汁・腸管内容物による化学性,③悪性腫瘍,④血管炎などの自己免疫性,⑤血流障害などの因子により生じる.
検査成績
1)腹部画像(単純X線,CT,超音波など):
続発性,癌性では原因の検索に必須である.また腹膜炎によって生じるイレウスの評価にも有用である.free airの存在は腸管の穿孔を示唆する所見である.
2)腹腔穿刺による腹水の性状,培養など(表8-10-1):
原発性,続発性では多核好中球が優位に,結核性ではリンパ球が優位に認められ,癌性では癌細胞が腹水中より検出される.原発性で腹水中の好中球の上昇は,肝硬変による単純性腹水貯留との鑑別に有用である.
3)血液検査:
原疾患による異常所見を認めるほか,炎症を反映し白血球の増加,CRP(C反応性蛋白)の上昇をみる.重症例では逆に白血球の低下もありうる.循環不全による意識障害,急激な腎機能の悪化に注意をする.[藤沢聡郎・松橋信行]
■文献
Debrock G, Vanhentenrijk V, et al: A phase II trial with rosiglitazone in liposarcoma patients. Br J Cancer, 89: 1409-1412, 2003.
Saab S, Hernandez JC, et al: Oral antibiotic prophylaxis reduces spontaneous bacterial peritonitis occurrence and improves short-term survival in cirrhosis: a meta-analysis. Am J Gastroenterol, 104: 993, 2009.

出典:内科学 第10版
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