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【おきな】

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典


おきな
古くから伝わる神事儀礼の舞曲で,五穀豊穣延命長寿,子孫繁栄を祈り,白式尉 (はくしきじょう) の面の翁と,黒式尉の三番叟 (さんばそう) と直面 (ひためん) の千歳 (せんざい) とで演じる。能楽においてはことに様式化され,公式の演能の最初に演じられたものであるが,今日では祝賀,追善,正月などのおりに特に演じるだけとなった。翁はシテ方が,三番叟は狂言方がつとめる。千歳の役は,上掛り (観世宝生) ではシテ方がつとめ,下掛り (金春,金剛,喜多) では狂言方がつとめる。面箱持の役は上掛りでは狂言方がつとめ,下掛りでは登場せずに千歳が兼ねる。翁の出演者は,別火し斎戒沐浴してこの役をつとめる風習である。歌舞伎舞踊および三味線音楽では,三番叟を中心として,曲題にも三番叟が入っているので,「三番叟物」として扱われる。『翁』の曲題のものは地歌にあり,峰崎勾当作曲で本調子「十二曲」の一つ。

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デジタル大辞泉

おう〔ヲウ〕【翁】
男の老人。おきな。

㋐接尾語のように用いて男の老人の敬称とする。「芭蕉」「福(ふく)」「沙(さ)(=シェークスピア)」
㋑単独で代名詞のように用いる。「伝記を読む」

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おう【翁】[漢字項目]
常用漢字] [音]オウ(ヲウ)(漢) [訓]おきな
男の老人。おきな。「村翁老翁白頭翁不倒翁
男の老人の敬称。「杜翁(とおう)(トルストイ)奈翁(なおう)(ナポレオン)
[名のり]おい・おき・とし・ひと
[難読]信天翁(あほうどり)

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おきな【翁】
年取った男。おじいさん。⇔嫗(おうな・おみな)
老人の自称。
「―の申さむことは聞き給ひてむや」〈竹取
能などに用いる老人の面。おきなめん。
[補説]曲名別項。→

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おきな【翁】[曲名]
能で、別格に扱われる祝言曲。翁・千歳(せんざい)三番叟(さんばそう)の三人の歌からなり、正月初会や祝賀などの最初に演じられる。翁役は白色尉(はくしきじょう)、三番叟役は黒色尉(こくしきじょう)という面をつける。→式三番(しきさんば)

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世界大百科事典 第2版

おきな【翁】
日本の各種の古典芸能に演じられる儀式的祝言曲。中世の猿楽能をはじめ,田楽能,近世人形浄瑠璃歌舞伎,邦楽曲や,民俗芸能中の神楽,田遊び,延年,田楽などでも演じられる。
[発生]
 芸能本来の目的の一つに人の延命を願うことがあるが,その表現として老翁・老媼を登場させることが古くからあったらしく,平安時代の田植行事などにみられる。しかし翁面をつけた者が舞や語りを演じる芸能は,猿楽の中に最も早くみられ,〈翁猿楽〉とか〈式三番〉と称せられた。

出典:株式会社平凡社
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大辞林 第三版

おう【翁】
男の老人。おきな。
老人を敬っていう語。 -の業績
一人称。年配の男性が、へりくだる気持ちで用いる。 -も此所まで罷越し待合すべし/蘭学事始
接尾
老年の男子の名に付けて敬意を表すのに用いる。 芭蕉- 沙-=シェークスピア

出典:三省堂
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おきな【翁】
年とった男。おじいさん。 ⇔ おうな 竹取の-
男の老人を親しんで呼ぶ語。また、老人の尊敬語。
老人が自分をへりくだっていう語。 -の申さむ事は聞き給ひてむや/竹取

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おきな【翁】
能の一。翁・千歳せんざい・三番叟さんばそうの三役による祭儀的な歌舞で構成され、天下泰平・国土安穏・五穀豊穣を寿ことほぐ。古来神聖な曲として他の曲と別種に扱われ、現在でも特別に儀礼的な演能には、脇能物の前に付けて最初に演じられる。種々の秘事口伝があり、演者は別火精進などして役に臨む。翁役は白色尉はくしきじようという白い翁面、三番叟役は黒色尉こくしきじようという黒い翁面をつける。式三番しきさんば

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日本大百科全書(ニッポニカ)


おきな
能の曲目。能の曲のなかで成立がもっとも古く、かつ神聖視されている曲で、祝いの場で演じられる。能では別曲扱いをされ、構成など能の他の曲と違っており、神楽(かぐら)の構成と似たところがある。父尉(ちちのじょう)、延命冠者(えんめいかじゃ)、翁、三番叟(さんばそう)を含めて翁ということもあるが、一般には翁の曲だけをいう。現在の能の『翁』は、最初に翁を演ずる者と地謡(じうたい)とが掛け合いで「とうとうたらり……」という謡に「ところ千代までおはしませ、われらも千秋さむらおう、鶴(つる)と亀(かめ)との祝にて幸ひ心にまかせたり」という今様四句神歌を交えて謡い、続いて千歳(せんざい)の舞になる。千歳が舞っている間に、翁は仮面をつけ、千歳の舞が終わると、翁役の者が立ち上がり、神歌を謡い、めでたい舞を舞う。舞が終わると翁は面をとり退場するが、それを翁帰り(おきながえり)という。続いて『三番叟』の「揉(もみ)の段」「鈴の段」の舞が始まる。観世(かんぜ)、宝生(ほうしょう)流では千歳をシテ方が勤め、面箱(めんばこ)持ちを狂言方が勤めるが、金春(こんぱる)、金剛(こんごう)、喜多(きた)流では狂言方が千歳を勤め、面箱持ちを兼ねる。この千歳舞を含めた一連の舞を『翁』とよんでいる。千歳の名称は室町時代からで、それ以前は露払いとよび、古くは稚児(ちご)が演じていたようである。翁は大治(だいじ)元年(1126)の『法華(ほっけ)五部九巻書』にすでに出ており、その成立は古い。『法華五部九巻書』では父叟、翁、三番と記されており、父叟を釈迦(しゃか)、翁を文珠菩薩(もんじゅぼさつ)、三番を弥勒(みろく)にあてており、仏教的解釈がなされている。延命冠者は、鎌倉中期の記録に初めて出てくるが、父尉の子ということになっている。父尉、延命冠者は今日特別な場合のみに行われる。世阿弥(ぜあみ)の『風姿花伝(ふうしかでん)』には翁を稲積(いなづみ)の翁、三番叟を世継(よつぎ)翁(よなつみの翁とも)といったとあり、五穀豊饒(ほうじょう)の神という考えがみえる。後世、翁はいろいろな神にあてられた。翁の発生については、古代の農耕行事に発したという説、大嘗会(だいじょうえ)の稲実(いなのみ)の翁に発したという説、仏教の呪師(じゅし)に発したという説、神楽に発したという説などいろいろある。民俗芸能には各種の翁がある。能の『翁』の原形を思わせるもの、崩れをなすものなどである。三河(愛知県)の花祭の翁は自分の履歴を滑稽(こっけい)に語り、内容が三番叟に近い。翁は祝言曲なので、後世、河東節(かとうぶし)、地歌、長唄(ながうた)、人形劇などにも取り入れられ、めでたいときに舞われた。
 翁面は日本の仮面のなかで特色ある存在であり、色を白色に塗り、顎(あご)が切顎(きりあご)になっており、目をへの字型にくりぬき、笑いをたたえ、肉づきのよい、健康な福相をたたえた面である。三番叟面も翁と同型だが、黒色で、翁に比べると品格がない。父尉面も翁と同型だが、肉色が多く、目はつり上っており、強さを感ずる。延命冠者面は笑いを浮かべた少年の顔で、切顎でない。切顎の理由は寿詞を述べるためといわれている。切顎形式は舞楽面の採桑老(さいそうろう)にあるが、これは笑ってはおらず老衰の表情である。また、能の尉面(じょうめん)は頭部に植毛があり、中間表情をとっている面がほとんどで笑ってはいない。神の面が笑いの表情をとっているというのは特徴的である。
 なお、一般用語としては、老女を示す嫗(おうな)に対して男性の老人を示す語で、老人を親しみ呼ぶ語、老人が自己をへりくだっていう語、また老人の敬称としても用いられる。[後藤 淑]
『能勢朝次著『能楽源流考』(初版・1938/再版・1979・岩波書店) ▽本田安次著『翁そのほか』(1958・明善堂) ▽後藤淑著『能楽の起源』(1975・木耳社) ▽後藤淑著『続能楽の起源』(1981・木耳社)』

出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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精選版 日本国語大辞典

おう ヲウ【翁】
[1] 〘名〙
① 年を取った男。老人。おきな。〔漢書‐匈奴伝上〕
② 老人を敬って呼ぶ語。代名詞的に用いる。蕉門俳諧仲間などでは松尾芭蕉をさす。
※俳諧・いつを昔(1690)十題百句「あかあかと日は難面(つれなく)も秋の風〈翁〉」
※松翁道話(1814‐46)序「翁姓は布施(ふせ)、名は矩道(のりみち)、伊右衛門と称し、また松翁と号す」 〔揚子方言‐六〕
[2] 〘接尾〙
① 男の老人の名に付けて、その人を敬う気持を添える。
※俳諧・三冊子(1702)白双紙「しかるに亡師芭蕉翁、此みちに出て三拾余年、俳諧初て実を得たり」
※小説神髄(1885‐86)〈坪内逍遙〉上「士辺釵(スペンサア)翁の傑作なりける」
② 男が自分の名の下に付けて、年老いた者の意で、へりくだる気持を添える。
※寂照宛芭蕉書簡‐貞享四年(1887)一一月二四日「寂照居士几下 芭蕉翁」
[3] 〘代名〙 自称。年老いた者の意で、へりくだる気持で、男が用いる。
※蘭東事始(1815)上「『〈略〉望あらば、早天浅草三谷町出口の茶店まで御越あるべし。翁も此所まで罷越(まかりこし)待合すべし』と認(したた)め」

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おきな【翁】
[1] 〘名〙
① 年老いた男。⇔おみなおうな
※万葉(8C後)一八・四一二八「くさまくら旅の於伎奈(オキナ)と思ほして針そたまへる縫はむものもが」
② 老人を親しみ呼ぶ語。とくに、俳諧の世界では、松尾芭蕉をさしていう。
※書紀(720)安閑元年一〇月(寛文版訓)「万歳の後に、朕が名絶えん。大伴の伯父(オキナども)、今何計(いかのごとき)を作(せ)む」
※談義本・教訓雑長持(1752)三「いざさらば、雪見にころぶ所迄とは、翁(オキナ)の名句」
③ 老人が、自己をへりくだっていう語。
※竹取(9C末‐10C初)「おきなの申さん事聞き給てむや」
※申楽談儀(1430)面の事「おきなは日光打、彌勒打手也」
※浮世草子・本朝桜陰比事(1689)五「あまた弟子ある中に山太夫川太夫とて〈略〉是を名代に遣はし、相勤めさす内談せしに、翁をわたす事をあらそひ、師匠のままにもならず」
⑥ ドブガイの一種。
⑦ 白髪こんぶを使った料理につける名。祝儀の献立によく用いられる。
[2] 謡曲。正月初会や祝賀能などで最初に演じる。戯曲的な筋がなく、翁・千歳(せんざい)・三番叟(さんばそう)の三人の祭儀的歌舞がある。
[補注]「養老戸令」では「六十六為耆」とある。オはオホに同じく「年上」の意から「老(おゆ)」の意。オキナとオミナ(音便形オウナ)との対にみられるように、キとミとの対で男・女を表わす。

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