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【び】

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典



beauty
感覚,特に視聴を媒介として得られる喜悦,快楽の根源的体験の一つ。対象にみられる均衡,充実,輝きによって惹起されるが,直接感覚を通さない,いわゆる精神美も考えられ,超越美と呼ばれる。現象形態からみると自然美芸術美に大別され,20世紀には機械美が加えられた。プラトンは超越美そのものの実在を唱え,すべての美なるものはこれへの分有であるとした。これは中世キリスト教に受継がれ,神が美そのものであると考えられ,真,善,美が神の特性を表わすものとされた。これに対して近世美学は哲学と倫理学から独立した美の自律性を主張して,真や善から区別することに力点をおく。カントは感覚的快とは異なる無関心的快で美を規定し,美の判定能力として近世以後趣味がたてられた。プラトンが美をエロスと関係づけてから,美と愛は深い親近性をもつものとみられている。

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デジタル大辞泉

び【美】
[名・形動]
姿・形・色彩などの美しいこと。また、そのさま。「の極致」「自然の織り成す
「―な感じのするものは大抵希臘(ギリシヤ)から源を発して居るから」〈漱石吾輩は猫である
非常にりっぱで人を感動させること。「有終のを飾る」
哲学で、調和・統一のある対象に対して、利害や関心を離れて純粋に感動するときに感じられる快。また、それを引き起こす対象のもつ性格。「真善」「意識」
味のよいこと。うまいこと。また、そのさま。
「―なる飲食をも悪しき飲食をも」〈今昔・三・二六〉

出典:小学館
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び【美】[漢字項目]
[音](漢) ミ(呉) [訓]うつくしい
学習漢字]3年
見た目にすばらしい。形がよい。うつくしさ。「美観美醜美術美人美文美貌(びぼう)美麗艶美(えんび)華美審美耽美(たんび)優美
うつくしくする。「美容美顔術
味わってみて見事だ。うまい。「美酒美食美味甘美
りっぱである。ほめるに値する。「美技美談美点美徳済美(せいび)
ほめたたえる。「美称賛美賞美嘆美褒美
「美術」の略。「美校・美大」
[名のり]うま・うまし・きよし・とみ・はし・はる・ふみ・みつ・よ・よし
[難読]美味(うま)い美味(おい)しい美人局(つつもたせ)美濃(みの)美作(みまさか)

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世界大百科事典 第2版

び【美 beauty】
真や善とならび人間のあこがれてやまぬ価値の一つである。字義を漢和辞典にたずねると,美とは羊と大との合字で原義は〈肥えて大きな羊〉をさし,これが〈うまい〉ことから,ひいては〈うるわしい〉〈よい〉〈めでたい〉の意に用いられるとある。英beautiful(美しい)など西欧語の形容詞をみれば,これも〈よい〉〈りっぱな〉等々の意味と重なりあい,きわめて多義的である。この多義的価値概念に体系的把握の道をひらいたのは近代に成立した美学であった。

出典:株式会社平凡社
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大辞林 第三版

び【美】
名 ・形動 [文] ナリ 
形・姿・色などがうつくしいこと。きれいなこと。また、そのさま。 -を追求する 調和の- 自然の- がんの-なるのみならず/花柳春話 純一郎
りっぱなこと。 有終の-を飾る 性質を試験せしに最も-なり/新聞雑誌 50
真や善とならぶ最高価値の一つ。美意識によりとらえられた対象のもつ性質。また、美しいものを美しくしている根拠。
美的快の感情をひきおこす対象。
食べ物の味がよいさま。うまいさま。美味。 味はひ、殊に-なる事たぐひなし/今昔 17

出典:三省堂
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日本大百科全書(ニッポニカ)



beauty英語
beautフランス語
Schnheitドイツ語
美とは何かを一義的に定義することはむずかしい。ウィットゲンシュタインのいうように「語られえざることについては沈黙しなければならない」のだとしたら、美そのものについては一行も書くことが許されないだろう。われわれは、ただ、「美しいもの」との出会いにおいて、戦慄(せんりつ)し、眩惑(げんわく)され、蠱惑(こわく)されているばかりということになる。こうした美の秘密について、ほかのだれよりも知っているのは詩人たちであろう。美は「恐ろしきものの始め」(リルケ)であり、「巨大な、恐ろしげな純真な怪物」(ボードレール)だという。まことに、それは「言語に絶する何ものか」(ホフマンスタール)なのだ。これを概念によって定義しようとし始めるや否や、われわれは途方もない混乱に巻き込まれることになる。[伊藤勝彦]

古典的美の理念

美を美たらしめる原理はしばしば調和(ハルモニアharmonia、ラテン語)や均整(シンメトリアsymmetria、ラテン語)にあると考えられてきた。プラトンによれば、すべての美的対象は「美」のイデアを分有することによってのみ美しいといえる。美は個物の感覚的性質であるのではなく、すべての美的対象に不変・不動な「かたち」において現れる超感覚的存在であり、均整、つり合い、節度、調和などが美の原理であるとされた。中世のトマス・アクィナスは美を完全性や調和の輝きのなかに求めた。美は、完全性と調和をもった事物が、それに秘められた形相の輝きによって認識されるとき、喜びを引き起こすところのものである。美は神の光であり、美的対象はその光を受けて、完全な、調和的な形において輝き出るのだ、というのである。[伊藤勝彦]

近代における美

ところが、このような古典的美の理念とは反対に、近代においては、しばしば動的、発展的な生命感の発露として、混沌(こんとん)とした全体のなかにおいて美が追求される。たとえば、19世紀のロマン派の人たちは、古代人の調和の理想を打ち壊し、内面的不調和のなかから、感情の充溢(じゅういつ)と自我の熱狂によって新しい芸術美が創造されると考えた。また、美は不変な形相においてあるのではなく、ただ単に現象として現れるもので、宿命的に「はかなさ」Hinflligkeit(ドイツ語)という性質をもっているというようにも説かれた。世紀末の芸術家たちにとっては、美はもはや、永遠の形相として秩序の静けさのなかにあるものではなく、それはむしろ官能の陶酔をもたらす生命の燃焼であり、滅びゆくもののなかに「破局に陶冶(とうや)される美」があるのだという。こうした考え方を徹底していけば、それこそ「美は乱調にあり」ということになりかねない。だが、「はかなさ」の美も一定の秩序感覚の崩壊の瞬間にだけ現象するものであろうから、それ自体、古典的美の理想を前提にしているといえる。「永遠」という観念をもたないものの目には、「滅びゆくものの美しさ」も映じないに違いない。はかなさの美がわれわれに現象することの背後には、古典的秩序を目ざす美の志向を通じて、混沌への回帰の衝動が不可避的に生じるという、生命のダイナミックスが潜んでいると考えることもできよう。[伊藤勝彦]

真・善からの解放

美は古来、「真・善・美」というように並び称され、人間が追求すべき、もっとも重要な価値の一つと考えられてきた。美はとりわけ善と結び付けて考えられる。プラトンでは、美(カロスkalos、ギリシア語)と善(アガトンagathon、ギリシア語)が一つになった状態としてカロカガティア(美にして善なるものkalokagathia、ギリシア語)という理想が語られた。人生にとって役にたつもの、目的にかなったものが善であると同時に美であると考えられた。ところが、近代になると、美はもっぱらわれわれの感性に対応するものと考えられたので、美を善から切り離す傾向が支配的となる。
 カントによれば、美はただ単に感性的認識において与えられるもので、美の快感は存在への無関心性において成り立つ。それは普通の快楽のような傾向性による束縛もなく、尊敬による命令もなく、人にただ気に入るところの満足として、自由な遊びの状態においてみいだされる。その意味で、善や有用性において認められるような合目的性から解放されている。美は道徳法のように普遍的承認を要求しないが、承認を期待する。快楽についての判断はまったく主観的なものだが、美的判断においては、普遍性、客観性が要求される。しかし、その普遍性は、真や善の判断の場合に要求されるような概念に基づいた普遍性ではない。そこで、美は「概念なしに普遍的に満足を与えるもの」として定義される。このように、カントでは美は独自な感性的認識の領域に位置づけられる。[伊藤勝彦]

美の自律性

しかし、美を真や善から切り離し、感性と対応する面だけにおいて追求していくとき、こんどは逆に、美は悪と結び付く傾向に支配され始める。実際、19世紀末のデカダンスの時代や今日の危機の時代において、ボードレールやワイルド、サルトルやジャン・ジュネによって美と悪や背徳との結び付きが追求されたのである。美は真や善との結び付きを断たれたときには、反対に、不条理や悪と結合する。それほどに美の自律性を確立することは困難なのである。[伊藤勝彦]
『プラトン著、藤沢令夫訳『パイドロス』(岩波文庫) ▽カント著、篠田英雄訳『判断力批判』2冊(岩波文庫) ▽今道友信著『美について』(講談社現代新書) ▽斎藤忍随・伊藤勝彦編著『美の哲学』(1973・学文社)』

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精選版 日本国語大辞典

し【美】
〘形シク〙 ⇒いしい(美)

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いし・い【美】
〘形口〙 いし 〘形シク〙
① よい。好ましい。
※栂尾明恵上人遺訓(1238)「人の甚だ信仰して威徳ある事あり。其をいしき事と思ふべからず」
※弁内侍(1278頃)建長元年「鞠はいしいものかな。あれほど左衛門督をはしらすることよ」
② 立派だ、みごとだ、けなげだ、神妙だなどと、感心したり、感嘆したりする時にいう。→いしくも
(イ) じょうずだ。巧みである。うまい。
※中務内侍(1292頃か)「馬をよく相して、この御馬はかさ驚きやし侍らんと申せば、いしく相したりとて」
(ロ) けなげである。殊勝である。神妙である。
※平治(1220頃か)上「汝いしくまゐりたり。春日山のおく、しかじかの所也とをしへて」
③ (多く女性が用い、のち接頭語「お」を付けて「おいしい」となる) 美味だ。おいしい。うまい。
※太平記(14C後)二三「いしかりしときは夢窓にくらはれて周済(しゅさい)(ばかり)ぞ皿に残れる」
※女重宝記(元禄五年)(1692)一「むまいといふを、いしい」
④ 驚くべき事態である。大変だ。重大だ。
※梵舜本沙石集(1283)七「あらいしの、のみのおほきさやと云ひけり」
⑤ (本来の意味を逆に用いて) 荒々しい。粗暴である。また、わるい。よくない。
※梵舜本沙石集(1283)八「いしい悪口(あくこう)仕りて候」
※浄瑠璃・加増曾我(1706頃)一「身代もいしくなって、わんぼ一枚にはなったれ共(ども)
いし‐げ
〘形動〙
いし‐さ
〘名〙

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うつく【美】
〘形動〙 (形容詞「うつくし」の「うつく」が語幹のように意識されて独立したもの) 美しいさま。
※黄表紙・高漫斉行脚日記(1776)中「けふは天気もよく、見物にうつくなものもだいぶ出ましゃう」

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うつくしい【美】
〘名〙 (形容詞「うつくしい(美)」から) 近世、美人をいう。
※咄本・聞上手(1773)岡場所「新じゅくがはやって、とんだ美(ウツク)しいが出るときいて、どんな女郎がでるかとおもふて遊びにゆき」

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うっつ・い【美】
〘形口〙 (「うつくしい」の変化した語) きれいだ。かわいい。
※雑俳・柳多留‐二一(1786)「うっつい女郎がきたないむしんなり」

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び【美】
〘名〙
① (形動) 形、色彩が整ってきれいであること。うつくしいこと。また、そのさま。
※今昔(1120頃か)一「形美也と云へども、心に无常を念(おもは)ず」 〔国語‐魯語下〕
② (形動) 飲食して味がよいこと。うまいこと。おいしいこと。また、そのさま。美味(びみ)
※今昔(1120頃か)三「美なる飲食をも悪しき飲食をも皆美也と云は何(いか)に」 〔孟子‐尽心・下〕
③ (形動) 物事の内容が充実してすばらしいこと。また、そのさま。りっぱ。みごと。
※俳諧・古今短冊集(1751)跋「人始て誹諧の美をしり、風雅の徳を仰ぐ」 〔易経‐坤卦〕
④ 哲学で、美的直観の対象のもつ性格を表わす概念。
※真善美日本人(1891)〈三宅雪嶺〉日本人の任務「美を極むるには、美の観念より生じ来る許多の趣向を調合和育し」
※雑俳・青木賊(1784)「わけがたつ・美が断りをいふ家賃」

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