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縁起【えんぎ】

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

縁起
えんぎ
pratītyasamutpāda
仏教用語。他との関係が縁となって生起すること。自己や仏を含む一切の存在は縁起によって成立しており,したがってそれ自身の本性本質または実体といったものは存在せず,空である,と説かれる。歴史的には,業感縁起頼耶縁起真如縁起法界縁起など種々の縁起説が説かれたが,縁起そのものは仏教史を一貫して流れる根本思想の一つである。

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デジタル大辞泉

えん‐ぎ【縁起】
《「因縁生起」の略》
吉凶の前触れ。兆し。前兆。「縁起がよい」
物事の起こり。起源や由来。
社寺・宝物などの起源・沿革や由来。また、それを記した書画の類。「信貴山(しぎさん)縁起絵巻」
仏語。因縁によって万物が生じ起こること。

出典:小学館
監修:松村明
編集委員:池上秋彦、金田弘、杉崎一雄、鈴木丹士郎、中嶋尚、林巨樹、飛田良文
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世界大百科事典 第2版

えんぎ【縁起 pratītyasamutpāda】
仏教における真理を表す一つの言葉で,詳しくは〈因縁生起〉といい,略して縁起という。現象的事物すなわち有為(うい)はすべて因hetu(直接原因)と縁pratyaya(間接原因)との2種の原因が働いて生ずるとみる仏教独自の教説であり,〈縁起をみる者は法=真理をみ,法をみる者は縁起をみる〉といわれる。それは基本的には〈有るがに彼有り。此無きが故に彼無し〉あるいは〈此生ずるが故に彼生ず。此滅するが故に彼滅す〉と規定される。

出典:株式会社平凡社
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大辞林 第三版

えんぎ【縁起】
物事の吉凶の前兆。きざし。前ぶれ。 「 -がよい」
社寺の起源・由来や霊験などの言い伝え。また、それを記した文献。 「石山寺-」
事物の起源や由来。
〘仏〙 因縁によってあらゆるものが生ずること。

出典:三省堂
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日本大百科全書(ニッポニカ)

縁起
えんぎ
大別して三つの意味がある。(1)仏教の中心思想の「縁起」。(2)神社仏閣などのいわゆる「いわれ」。(3)縁起がよい、縁起を担ぐ、などの「縁起」は日常的な迷信、ジンクスなどの類を含む。ここでは(1)と(2)を説明する。
(1)サンスクリット語のプラティートゥヤ・サムウトパーダprattya-samutpdaの訳語。仏教のもっとも重要な中心思想とされる。最初期は、われわれの現実を直視して、存在の一つ一つがつねに関係しているあり方を問う考えに基づき、たとえば老死は生まれることに縁(よ)っておこり、あるいは苦は煩悩(ぼんのう)におぼれる愛に縁り、または人間の根元的な無知(無明(むみょう))に縁っておこり、逆に煩悩の滅から苦が滅するなどと説かれ、やがてこの系列化が進められて、無明から老死に至る計12の項を数える縁起説がたてられた(十二縁起、十二支(し)または十二因縁(いんねん))。それが各項(支)を省いて、「これあればかれあり、これ生ずればかれ生ず、これなければかれなし、これ滅すればかれ滅す」ともいわれる。ただし初期の諸経典には、その他の雑多な縁起説も混在している。
 部派仏教では、その最大の説一切有部(せついっさいうぶ)において、業(ごう)の説が加わり、この十二支をわれわれの過去、未来、現在の三世にまたがるものとしてそれぞれに配分し、時間的な生起を中心に縁起説を解して、三世両重因果説をたてた。そのほか、六因、四縁、五果を数え、因と縁との結合から果(か)の生起するあり方を細かく考察する。
 部派の諸説に異論を唱えて大乗仏教運動がおこり、とくにその最初に登場した『般若経(はんにゃきょう)』群の一切皆空(いっさいかいくう)説が名高い。この説はナーガールジュナ(龍樹(りゅうじゅ)、2~3世紀の人)によって、縁起説と密接に結び付けられて深化しかつ拡大し、縁起―無自性(むじしょう)―空(くう)として確立した。すなわち、いっさいのものはそれぞれ他のものを縁としてわれわれの前に現象しており、しかも各々が相互に依存しあっていて、その相依関係も相互肯定的や相互否定的(矛盾的)その他があり、こうしていかなるもの・ことも自性を有する存在(実体)ではない、いいかえれば空であり、しかも、そのあり方もいちおうの仮のものとして認められるにすぎないとし、そのことの悟りを中道とよんでいる。
 そのあと、中期大乗仏教の一つに、あらゆる諸現象はわれわれの心の働きにほかならないとする唯識(ゆいしき)説があり、ここでは、その心による認識、心そのものについての詳しい分析を果たす過程のなかに縁起説を取り入れる。すなわち、外界との縁起の関係のうえに活動する心に眼耳鼻舌身意の六識をあげ、それを統括する自我意識を末那識(まなしき)といい、さらにそれをも包んでいっさいをしまい込んでおく阿頼耶識(あらやしき)をたてる。一方、この識から縁起の関係を通じて、いかにしていっさいが現象するか、また悟りに導かれるかが詳しく検討されている。
 中期大乗仏教の他の一つは、われわれのうちに悟りを開く素質のあるべきことを考えて、如来蔵(にょらいぞう)または仏性をたて、それは本来清浄なる心(自性清浄心(じしょうしょうじょうしん))に基づくとする。これを如来蔵縁起とよんで、法性(ほっしょう)、真如(しんにょ)などの説を展開した。
 中国仏教では、ナーガールジュナの説を発展させ体系化した三論の真俗二諦(たい)の縁起説、天台の空(くう)―仮(け)―中(ちゅう)の三諦に基づく縁起説、いっさいのものが相互に交錯し流入しあって、一即多、多即一である現象面を重重無尽と称して、これを法界(ほっかい)縁起とよんだ華厳(けごん)の説などが知られる。また密教では、地水火風空識の六大に縁っていっさいが展開するという六大縁起説を基盤とする。[三枝充悳]
(2)わが国における寺社の霊験(れいげん)や由来沿革を説明したもの(因縁によって宇宙の事象が生起するという仏教語による)。歴史的縁起と物語的縁起があり、あくまで中心は唱導を目的とした後者である。前者は奈良期に諸大寺から撰上(せんじょう)された『伽藍縁起并流記資財帳(がらんえんぎならびにるきしざいちょう)』のごとく、開創縁起およびその後の変遷と国家提出用の財産目録にすぎない。これに対して庶民浄土教の流行する中世に入る12世紀末前後から、寺社霊験を語る後者が、念仏聖(ひじり)や絵解き僧の唱導活動によって全国に拡大される。内容は庶民啓蒙(けいもう)のための誇張された物語的霊験譚(れいげんたん)で、換言すれば叙事伝説といえる。この伝説的寺社由来譚も古くからみえて、『日本書紀』欽明(きんめい)天皇14年条や『扶桑(ふそう)略記』同13年条、同書同32年条などがある。中世に入る前後から、字の読めない庶民受容を容易にするため絵を伴う縁起が多くつくられ、絵解き芸能も盛んになる。説話文学との関係も密になる。このころは寺社の宣伝と庶民の信仰が呼応した絵巻縁起の最盛期である。『石山寺(いしやまでら)縁起』『北野天神縁起』『當麻曼荼羅(たいままんだら)縁起』『春日権現験記絵(かすがごんげんけんきえ)』『信貴山(しぎさん)縁起』などが代表作品としてあげられよう。『粉河寺(こかわでら)縁起』なども勧進(かんじん)僧によって書かれ、勧進の目的で制作された証(あかし)であることを示す。『一遍聖絵(いっぺんひじりえ)』『融通念仏(ゆうずうねんぶつ)縁起』その他の宗祖伝記絵も各宗派の宣伝の道具として、絵解きとともに用いられたものであろう。浄土を説く『春日曼荼羅縁起』に類するものも多い。[渡邊昭五]
『宇井伯寿著『仏教思想研究』(1943・岩波書店)』

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精選版 日本国語大辞典

いん‐ぎ【縁起】
〘名〙 「えんぎ(縁起)」の変化した語。
滑稽本・七偏人(1857‐63)初「いんぎのわりい事を言やアがる」

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えん‐ぎ【縁起】
〘名〙
① (━する) (pratītya-samutpāda の訳語) 仏語。因縁によってあらゆる事象が、仮にそのようなものとして生起していること。
※正法眼蔵(1231‐53)行持上「縁起は行持なり、行持は縁起せざるがゆゑに」 〔大毘婆沙論‐二三〕
② (━する) (nidāna (尼陀那)の訳語) 十二部経の一つ。仏の説法の由来、縁由を明かしたもの。転じて、事物の起こる因由、起源沿革や由来。また、由来すること。
※万葉(8C後)一九・四二九二・左注「徒録年月所処縁起者」 〔大智度論‐三三〕
社寺、仏像、宝物などの由来、または霊験などの伝説。また、それを記した文書。
※大安寺伽藍縁起并流記資財帳‐天平二〇年(748)六月一七日「大安寺縁起并流記資財帳一通」
④ ある物事が起こる前の吉凶の兆候。きざし。前兆。「良い、悪い」などを伴うことが多い。
※狂言記・伯母が酒(1660)「いや、ことしはゑんぎをかへて、わがみにはもらぬほどに、かさねておぢゃ」
※黄表紙・孔子縞于時藍染(1789)中「呉服屋も、福神の名を家名については、ゑんぎがわるいとて」
※常磐津・三世相錦繍文章(おその六三)(1857)序「ほんに、縁起(エンギ)に盃を取りや」
[語誌]仏教の根本的な世界観ともいうべき語であるが、また仏教語として②の意味にも用いられたところから、転じて日本では特に、③のように寺社創建の由来や沿革を伝えた文書類を指すことばとして使用された。仏教の隆盛とともにこれら「縁起もの」も盛んに作られたが、次第に神仏の霊験や利益を説くことに重点が置かれるようになり、このことが近世以降④の「吉凶の前兆」という意味に転じて使われる下地ともなった。

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