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線虫病【せんちゅうびょう】

日本大百科全書(ニッポニカ)

線虫病
せんちゅうびょう
線虫の寄生によっておこる作物の病気の総称。元来、害虫による農作物の被害は病気とはまったく別に取り扱われてきたが、線虫による被害は、線虫が比較的小さく肉眼では識別が困難で顕微鏡下でないとみいだせないこと、被害の症状が細菌や菌類によっておこる病気と共通した点があることなどから、病気として取り扱われてきた。現在でも国によっては、線虫による植物の被害に関連する学問分野を植物病理学の一分野として位置づけているところもある。
 線虫病には、根こぶ線虫病、根腐線虫病、シスト線虫病、葉枯線虫病、茎(くき)線虫病、芽(め)線虫病、萎縮(いしゅく)線虫病、粒(つぶ)線虫病、心枯(しんがれ)線虫病、材(ざい)線虫病などがある。根こぶ線虫病はネコブセンチュウMeloidogyne spp.の寄生によるもので、根にこぶを生ずる。イネ科作物を除く多くの作物に被害を与え、とくに野菜類で被害が大きい。根腐線虫病はネグサレセンチュウPratylenchus spp.によっておこり、根が腐る。イネ科作物、野菜類、果樹類など多くの作物に発生する。シスト線虫病はシストセンチュウHeteroderaGloboderaおよびBidera spp.の寄生による。わが国では、ダイズ、ジャガイモ、イネ、ムギ類に発生し、とくにダイズ、ジャガイモで被害が大きい。葉枯線虫病はハガレセンチュウ(ハセンチュウともいう)Aphelenchoides spp.の寄生によっておこり、イチゴ、タバコ、キクのほかほとんどの草花類に発生する。初め下方の葉に淡黄色の斑(ふ)入りをつくる。斑入りは拡大するにつれて褐色に変わるが、この変色部はかならず葉脈で囲まれる。発生がひどいときには全部の葉が枯れる。茎線虫病はクキセンチュウDitylenchus spp.の寄生により、スイセンなどの花類、ネギ類に発生する。このほか、芽線虫病はメセンチュウDitylenchus spp.、萎縮線虫病はイシュクセンチュウTylenchorhynchus spp.、粒線虫病(コムギに発生)はコムギツブセンチュウAnguina triticiの寄生によっておこる。心枯線虫病はイネの重要な病害で、ハガレセンチュウの一種の寄生によるが、葉先が白く枯れることから「ほたるいもち」ともよばれる。もみも侵され不稔(ふねん)になるほか、胴割れ米、斑点(はんてん)米の原因になる。材線虫病はマツ枯れの原因となるもので、被害が大きく社会的にも重要な問題になっている。マツノザイセンチュウBursaphelenchus xylophilusの寄生が直接の原因である。
 線虫病の多くは、線虫が土壌中で生息しているため、連作をすると被害がとくに著しくなる。このため輪作をすることがもっとも重要な防除法であるが、このほか抵抗性品種や対抗植物の栽培、殺線虫剤の使用など総合的な防除が必要である。[梶原敏宏]

出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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