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組紐【くみひも】

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

組紐
くみひも
糸あるいは糸のを組合せてつくった打ち紐とも呼ぶ。通常は絹糸などの繊維類を数本または数十本の単位とし,これを3単位以上そろえて,ある一定方式 (組み方) に従って斜めに交差させ,細幅や丸い紐につくる。この交わり目を締めるために (へら) で打込むことがあるので打ち紐の名が生れた。また,組み方の技法や配色によって唐組み,高麗組み,四つ組みなど 200以上の種類がある。古墳時代の馬具や刀装具,甲冑などに付着した遺品が発見されており,飛鳥・奈良時代の法隆寺正倉院の遺品に中国,朝鮮伝来の組紐がみられる。用途としては,各種の工芸品,宗教用具,服飾品,調度武具,芸能用具などに応用され,現在は広く趣味の工芸としても組まれている。

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朝日新聞掲載「キーワード」

組紐
明治時代に「帯締め」として使われることが多くなり、現在は主に和装小物として使用される。丸や角台と呼ばれる台などを使って何色ものを組んでつくる。本場京都伊賀三重県)。
(2017-03-22 朝日新聞 夕刊 1社会)

出典:朝日新聞掲載「キーワード」

デジタル大辞泉

くみ‐ひも【組×紐】
複数の糸を組み合わせて作ったひも。組緒(くみお)。打ち紐。

出典:小学館
監修:松村明
編集委員:池上秋彦、金田弘、杉崎一雄、鈴木丹士郎、中嶋尚、林巨樹、飛田良文
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世界大百科事典 第2版

くみひも【組紐】
一定の太さの糸条(繊維類の束(たば))を3条以上用いて,一定方式で斜めあるいは前後,上下に交差させて作る紐の一種。交差部をよく締めるためにへらで打ち込むので打紐ともいう。たて糸とよこ糸を直交させた織紐(おりひも)や編目の連続による編紐(あみひも)とは組成上根本的に異なる。組紐の原型には,縄状の撚紐(よりひも)やおさげ髪にみられるような三つ組および四つ組があり,やがて四つ組を基礎に,断面角形や丸形(後に平組へ展開)の八つ組以上の複雑な組み方へ進んだと推定される。

出典:株式会社平凡社
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大辞林 第三版

くみひも【組紐】
数十本の糸を一定の方式で交互に交差させて組んだ紐。羽織紐・帯締め、その他装飾紐として用いる。組緒。打ち紐。

出典:三省堂
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日本大百科全書(ニッポニカ)

組紐
くみひも
1本以上、数十本をまとめて一つの単位(玉、条ともいう)とし、経糸(たていと)のみで組んだ紐をいう。扁平な紐を組むとき、糸の組み目を締めるために篦(へら)で打つので打紐(うちひも)ともいう。[原野光子]

種類

組紐は幅の狭い紐状のものをさすが、織紐や編紐に比べ、堅牢(けんろう)で伸縮性に富む。組紐は断面によって丸組、角組、平組に分けられる。最近は製紐(せいちゅう)機によって大量生産もされているが、装飾用の組紐は、組み目や色彩、さらに伸縮性や肌触りなどを重視するため、昔ながらの組台によって組まれるものが多い。[原野光子]

組具

組台には高(たか)台、綾竹(あやたけ)台、丸台、角台のほかに、唐組(からくみ)台、重打(しげうち)台、籠打(かごうち)台、内記(ないき)台、足打台、四つ打台などがある。
 高台は、木枠によって四角に組み立てられた台で、台上に座って組む。組台中央に固定させた糸の束を左右に分け、この糸を左右交互に移動させながら絡ませ、そのつど篦(へら)で、組み目を打って組んでいく。この台を小型にしたような台が綾竹台。高台同様、篦を使う。この台は、織物のような長尺ものを組むのに適している。
 丸台は「鏡」(円形の板の中央をくりぬいたもの)の大小によって、高台をはじめ他の台による組みと同じものが組める、利用範囲の広い台である。糸は錘玉(おもりたま)をつけて「鏡」の外側に垂らし、糸を移動させることによって、「鏡」の中央の穴から組み下げていく。これを組み下げ式という。角台はこれと反対で、四角い「鏡」の中央に大針を立て、ここに糸束を止め、針を中心に組み、組み進むにしたがって上へたぐり上げていく。こちらは組み上げ式とよぶ。丸台に比べて組み方の種類は少ないが、組み目が整うので柄(がら)出しに便利な台である。高台を除き、これらの組台は台を前に置いて座って組む。
 一般的な組台ではないが、特異なものには内記台がある。ハンドル回転を歯車に伝えて組ませる台で、江戸時代末期に考案されたという。製紐機のはしりであった。音がうるさいのでガチャ台ともよばれている。[原野光子]

歴史

組紐の原点である縄は、いまから1万年くらいも昔の遺跡から発掘されている。また、8000年前の縄文式土器に、三つ組や四つ組の縄の圧痕(あっこん)があるし、5世紀時代の古墳から出土した鎧(よろい)の威(おどし)糸は、8条の組紐であった。さらに、埴輪(はにわ)の帯や脚結(あゆい)の紐には、手のこんだ組み目が刻まれている。
 飛鳥(あすか)・奈良時代には、大陸の技術や技術者の渡来があったと思われる。正倉院に残る120条もの広幅の組紐は、色彩や技術からみて、その影響を受けているに違いない。組紐の著しい発展をみたのは平安時代であろう。衣冠束帯を着用するときの横刀(たち)を下げる平緒(ひらお)は、唐組とよばれる菱目(ひしめ)に組んだ帯状の組紐で、幅10センチメートル余、長さ4メートルに及ぶ。これを組むのに2年余、400条で組まれているという。ほかに、平組では厳島(いつくしま)神社や京都・神護(じんご)寺の経巻の紐、角組では大阪・四天王寺や中尊寺の懸守(かけもり)の紐などがあり、世界各国に伝わっている組紐技術のなかでも、日本の組紐はずばぬけて高い水準にある。
 鎌倉初期の作とされる御嶽(みたけ)神社(東京都)宝物の鎧の胴締(どうじめ)(両面亀甲(きっこう))は、その複雑さでは組紐技術の頂点をなしているといわれる。そしてこれ以後、戦乱の影響もあり、じみな武具用として、量的な要求にこたえられるような組紐になっていった。室町時代になると、衣服の飾り紐や茶道具の紐、戸障子の取っ手の紐、髷(まげ)の結び紐など、しだいに日常生活用品として浸透していった。桃山時代に流行した丸組の名古屋帯は、日本国中に広まったという。
 江戸時代の組紐は、武士の刀の下げ緒と羽織の紐に代表されるが、ほかにも神仏の飾り紐、相撲の軍配や装束の紐、袋の括緒(くくりお)、箪笥(たんす)や鏡台など、至る所に用いられた。また、一般にも『糸組全書』『止戈枢要(しかすうよう)』など、組紐の技術書が書かれて広く流布した。
 明治になると武家そのものが崩壊したので、販路を新しく軍用と帯締にみいだした。軍服の肋骨とよばれた胸飾りや、らっぱの掛け紐、サーベルの刀緒など、需要は急速に拡大することになる。1882年(明治15)にはアメリカから16打(条)の製紐機が輸入された。一方、帯締はより高級化を求められ、工芸組紐としての道をたどることになる。1945年(昭和20)軍用を失ってからは、新たに産業用へ転進する。機械ベルト、電線の被覆、引き綱、医療用、ザイルや釣り糸などを開発、より量産化、自動化への道を歩んでいる。[原野光子]

産地

組紐の産地は古くは京都であった。平安末、武士の台頭によって崩壊した宮廷工房の職人たちが、京都に住み着いて独立したからである。やがて江戸に幕府が開かれると、職人たちも分かれて江戸に移り、明治になって、江戸から三重県の伊賀にその技術が移された。以後、この3地が組紐の中心となっている。現在、京都と伊賀の組紐は、国から伝統的工芸品に指定されている。日本の組紐技法は、近年西欧への普及とともに、ベルトやネックレスなどにも用いられ、ファッション化していく反面、造型組物として、新しい工芸への道を開きつつある。[原野光子]
『原野光子著『組みひも』(1977・保育社)』

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精選版 日本国語大辞典

くみ‐ひも【組紐】
〘名〙 数本の糸を組み合わせた紐。打緒(うちお)。打紐(うちひも)。組緒(くみお)。〔和英語林集成(初版)(1867)〕
※みだれ髪(1901)〈与謝野晶子〉舞姫「桃われの前髪ゆへるくみ紐やときいろなるがことたらぬかな」

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