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磁気モーメント【じきモーメント】

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

磁気モーメント
じきモーメント
magnetic moment
磁気量の双極子モーメント。磁気には真磁荷 (磁気単極) がないため,正負等量磁気量が対となった双極子が磁気の基本になる。等量の磁気量を m ,磁極間の距離を l とするとき,大きさが ml で負極から正極へ向うベクトルを磁気モーメントという。荷電粒子が自転するときや閉軌道を回転するとき,閉じた電流をつくり,そのまわりに磁場を生じるが,これは磁気双極子によるものと考えることができる。このときの磁気モーメントを μ ,角運動量を J とすると,μ は J に比例する。この比例定数 g は粒子と角運動量の種類によって決り,g因子と呼ばれる。電子の場合,スピンに対しては g=2 ,軌道角運動量に対しては g=1 である。面積 S の面を縁どる閉曲線を定常電流 I が流れるときの磁気モーメントは,アンペールの法則により,IS/c ( c は真空中の光速度) である。

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デジタル大辞泉

じき‐モーメント【磁気モーメント】
磁石の両極間の距離に、磁極の強さの絶対値を掛けた大きさをもち、負極から正極へ向かう方向をもつ量。磁気の作用を表す量。磁気能率

出典:小学館
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世界大百科事典 第2版

じきモーメント【磁気モーメント magnetic moment】
磁気量としては電荷に相当する磁荷があり,電荷と同様に正負が存在する。ところが磁荷は電荷と違って単独では存在せず,磁石で見られるようにいつも正負同量の磁荷が対となって現れる。このとき,磁石の正極および負極の磁荷をm,正負の極間の距離をaとすると,大きさがmaで,負極から正極に向かうベクトル量を磁石の磁気モーメントと定義する。磁荷の性質から,磁気モーメントは磁気のもっとも基本的な量ということになる。電荷が回転運動をすると電流が閉じた曲線に沿って定常的に流れ,その電流が周囲に磁場をつくる。

出典:株式会社平凡社
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大辞林 第三版

じきモーメント【磁気モーメント】
磁気双極子を特徴づけるベクトル量で、その大きさは、正磁極の大きさと正負磁極間の距離との積に等しく、その向きは、普通、負極から正極に向かう向きにとる。単極の磁荷は存在しないので、磁気の基本的な量と考えることができる。また、荷電粒子が軌道運動を行うとその角運動量に比例する磁気モーメントが現れる。磁気双極子モーメント。磁気能率。 → 双極子モーメント

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日本大百科全書(ニッポニカ)

磁気モーメント
じきもーめんと
磁気能率ともいう。磁石は周りに磁場をつくるが、長さがLでその両端の磁極の強さがmと-mとであるような棒磁石が遠くの点につくる磁場の方向と強さは、棒の軸方向およびmLとの積μ=mLとだけによって決まる。それでμを磁気モーメントという。電流の周りには磁場ができるが、円形の電流によって遠くの点につくられる磁場は、その円の中心にその面と垂直にある磁石を置いたときの磁場と同等である。したがって、環状電流も磁気モーメントをもつということができ、その大きさは電流の強さIと環の面積Sとの積すなわちISに等しい(単位のとり方によっては係数がかかる)。
 磁石そのものも、それが、目に見えない小さな環状電流によるものであるとすれば、初めの磁気モーメントの定義にかわって、環状電流の磁気モーメントのほうが基本であると考えられる。磁石の中にミクロな磁気モーメントの担い手が多数あるとすれば、磁石の磁気モーメントはそれらのベクトル的な総和である。物質の単位体積当りの磁気モーメントはその物質の磁化の強さにほかならない。
 電子が閉じた軌道を回っていれば、それは環状電流であり、磁気モーメントをもつことになるが、そのほかに、電子自身が自転運動を行うことにより固有の磁気モーメントをもっている。物質の磁性の根元はこれらの磁気モーメントによって説明されるべきものである。[宮原将平・佐藤博彦]
『溝口正著『磁気と磁性 1』(1995・培風館) ▽浜口智尋著『電子物性入門』(1999・丸善)』

出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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精選版 日本国語大辞典

じき‐モーメント【磁気モーメント】
〘名〙 (モーメントはmoment) 磁気双極子の磁気的な作用を表わす量。棒磁石の正極または負極の磁気量と両極間の距離との積の大きさを持ち、負極から正極へ向かう方向を持つベクトル量。磁気能率。〔電気工学ポケットブック(1928)〕

出典:精選版 日本国語大辞典
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化学辞典 第2版

磁気モーメント
ジキモーメント
magnetic moment

磁気量の双極子モーメントをいう.磁石の磁気モーメントは,正負の磁極の強さをq,-qとし,両者の間隔をlとするときqlをいう.これは電気双極子モーメントに類似した定義である.しかし,磁極の存在は電荷のように実在的なものではない.そこで正確には磁気モーメントは小回路を流れる電流で定義される.すなわち,電流の強さをi,小回路に囲まれた面積をSとすると,磁気モーメントの大きさは,国際単位系(SI単位)のE-H対応では

μ0iS (μ0 は真空の透磁率),
ガウス単位系では

iS/c (cは真空中の光速度)
で,その方向はSに垂直なものとする.磁性体の磁化は単位体積当たりの磁気モーメントの和である.質量m,電荷eをもつ粒子が,スピン角運動量または軌道角運動量Jをもつときは,それに伴う磁気モーメントはガウス単位系のときは

g(e/2mc)J
MKSAのE-H対応単位系では

gμ0(e/2m)J
である.gg因子とよばれる数値で,その値は角運動量の性質によって決まる.とくに電子の場合は,Jがスピン角運動量を表すときはJの一方向の成分の大きさはℏ/2,またg = 2であり,したがって,磁気モーメントの値はガウス単位系では

eℏ/2mc
となる.これはボーア磁子とよばれる.一方,Jが電子の軌道角運動量であるときはg = 1である.陽子中性子も磁気モーメントをもち,その大きさは核磁子の程度で,ボーア磁子に比べて約1/1000である.[別用語参照]磁子

出典:森北出版「化学辞典(第2版)」
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