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知行【ちぎょう】

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

知行
ちぎょう
平安~室町時代における所の直接支配および江戸時代における所領の間接支配を表わす法律用語。平安時代以後,荘園制の発達とともに,土地用益の事実を,領掌領知行などと呼ぶようになった。『御成敗式目』によって,土地の直接支配が行われない状態を不知行,直接支配の事実を当知行とし,不知行 20年の時効によって当知行者は本来の権利の有無にかかわらず知行権を認められ,不知行者は知行権を失うものと定められた。しかし荘園制の崩壊,封建領主制の成立とともにこの知行は,郷村に住む農民の土地用益,耕作の権利と,封建領主の行政,収益の権利とに分化した。江戸時代の大名の領知権,旗本や大名,家臣の知行権がそれである。 (→地方知行〈じかたちぎょう〉)  

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デジタル大辞泉

ち‐ぎょう〔‐ギヤウ〕【知行】
[名](スル)
職務を執行すること。
平安・鎌倉時代、与えられた知行国国務を執り行うこと。
中世・近世、領地や財産を直接支配すること。
近世、幕府や藩が家臣に俸禄として土地を支給したこと。また、その土地。
俸禄扶持(ふち)。

出典:小学館
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ち‐こう〔‐カウ〕【知行】
知ることと行うこと。知識と行為。
ちぎょう(知行)

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世界大百科事典 第2版

ちぎょう【知行】
中世~近世の歴史用語。本来は仕事・事務・職務を執り行うことを意味した。古語の〈しる〉(自分のものにする,自分のものとして取り扱う,という意味で,英語のmasterにほぼ相当する言葉)に漢字の〈知〉があてられたところから,〈知り行う〉→〈知行〉と展開したものと思われる。同じ〈しる〉に〈領〉の字もあてられており,そこから発生した〈領掌(りようしよう)〉も知行とほぼ同じ意味に用いられた。近代官僚制的職務とちがって,古代の職務は一般にそれに伴う特権や権益と一体視されていたから,職務を知行することは,それとともになんらかの利益を自分のものにする(〈しる〉)ことでもあったのである。

出典:株式会社平凡社
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大辞林 第三版

ちぎょう【知行】
スル
事務をとること。職務を行うこと。
平安時代、知行国を与えられ、国務を執り行うこと。
中世、土地・財産を直接支配し、その用益権を行使すること。
近世、将軍・大名が家臣に俸給として土地の支配権を与えること。また、その土地。

出典:三省堂
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ちこう【知行】
知ることと行うこと。知識と行為。
儒教で、物事の道理や是非を認識判断し、道理に従って実践すること。 → ちぎょう

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日本大百科全書(ニッポニカ)

知行
ちぎょう
平安時代から室町末・戦国時代にかけて行われた土地・財産の直接支配をいう。知行とは本来知り行うの意、職務を執行することを意味したが、平安時代の中期から末期にかけて官職の収益権化が進み、職務に付随する一般的な土地用益権を意味する職(しき)の観念が成立するに及んで、この職(しき)の行使、すなわち土地・財産の直接支配をさして知行というようになった。しかし、職(しき)の分化に伴って、土地支配から遊離した得分(とくぶん)のみの支配(所当(しょとう)の知行)や、土地に対する支配権の行使を事実上否定されたもの(不(ふ)知行)が生じた。一方、本来的な権利の有無にかかわらず実質的な土地支配権の行使事実(当(とう)知行)が重視されるようになり、室町末・戦国時代に荘園(しょうえん)制が崩壊し、職(しき)が解体するとともに、土地の権利関係は、百姓の用益権・耕作権を軸とする占有権と、大名の領主的支配権の二つに還元され、江戸時代には単なる領主の領地に対する支配権を意味するものとなった。[井上寛司]

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精選版 日本国語大辞典

ち‐ぎょう ‥ギャウ【知行】
〘名〙
① 事務をとること。職務を執行すること。
※貞信公記‐抄・天暦二年(948)正月一日「被彼院事長者知行之由
② 平安時代、知行国制によって特定の国を与えられ、国務をとり行なうこと。→知行国
※山槐記‐治承三年(1179)正月六日「同女房衝重廿前〈丹後守経正朝臣、件国内大臣知行〉」
③ 古代末・中世、田畑山野などの所領を領有して耕作し収穫をあげるなど、事実的支配を行なうこと。また、その支配している土地。→知行制
※平家(13C前)三「太政入道、源大夫判官季貞をもて、知行し給べき庄園状共あまた遣はす」
④ 近世、幕府が家臣に俸祿として土地を支給したこと。また、その土地。領地。采地。→知行取知行割
※寸鉄録(1606)「大臣は、知行などは過分にとりながら、主人をよそにしてかまはずして」
※夜明け前(1932‐35)〈島崎藤村〉第一部「水野筑後は二千石の知行(チギャウ)といふことであるが」
⑤ 俸祿や扶持。
※浮世草子・傾城色三味線(1701)大坂「野郎にかぎらず、知行(チギャウ)とらぬほどのものは皆あはぬはづ也」

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ち‐こう ‥カウ【知行】
〘名〙
認識と行為。知ることと行なうこと。
※余興(1915)〈森鴎外〉「知行(チカウ)一致の境界に住してゐる人」 〔聖学格物通‐正心上〕

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旺文社日本史事典 三訂版

知行
ちぎょう
平安中期〜江戸時代にかけて行われた土地(人民)の支配
古くは領知・領掌するといい土地の用益権を示した。平安末期,用益権を意味する職 (しき) が単なる収益の対象として物権化すると,この職の行使を知行というようになった。近世では領主が領地を支配することを意味する。

出典:旺文社日本史事典 三訂版
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