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知恵【ちえ】

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

知恵
ちえ
sophia; prajñā; paññā
知は「是非の心」 (孟子) として正邪を分別する心的作用であると同時に,知と同じく「知らざるところなき」 (釈名) がごとき卓越した知識とされるように,一般に知恵は判断,思慮分別の卓越性と知識の卓越性を両極にもち両者は相補的関係に立つといえる。恵はこの場合慧に同じ。また智慧は大乗仏教では六波羅蜜の一つであり,prajñāの音訳般若は『大智度論』に「一切諸の智慧のうち最も第一となす」といわれている。西洋哲学史においても知恵は最も基本的な概念の一つであり,キリスト教哲学ではプラトニズムの影響のもとに知恵を枢要徳の一つに数える。 (→ソフィア )

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デジタル大辞泉

ち‐え〔‐ヱ〕【知恵/××慧】
物事の道理を判断し処理していく心の働き。物事の筋道を立て、計画し、正しく処理していく能力。「―を借りる」「生活の―」
(智慧)仏語。相対世界に向かう働きの智と、悟りを導く精神作用の慧。物事をありのままに把握し、真理を見極める認識力。

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世界大百科事典 第2版

ちえ【知恵】
一般にものごとを識別し,統合する心のはたらき。知恵は現実のさまざまな現象を識別するとともに,それを統合して理解するはたらきであるために,現実の感覚的なはたらきを超えて,全体を把握する超越的な意味も含んでいる。仏教では知恵をものごとの識別に使われる智(ジュニャーナjñāna)と,統合的で識別的な機能を超える般若の智慧(プラジュニャーprajñā)とに分けて考えた。また,先天的に備わっている生得慧,他人の教えから得られる聞所成慧,内的思索によって得られる思所成慧,修行の実践の中で得られる修所成慧の4種類に分類している。

出典:株式会社平凡社
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日本大百科全書(ニッポニカ)

知恵
ちえ
sophiaギリシア語
sapientiaラテン語
wisdom英語
sagesseフランス語
Weisheitドイツ語
世界全体を意味づける根拠にかかわる統一的な知をいう。それはすべてのものをその根拠から知る単一の知であり、神がもつにふさわしい知とされた。それゆえ、特殊なさまざまな領域について成立する特殊なさまざまな知識epistm(ギリシア語)、scientia(ラテン語)、science(英語、フランス語)、Wissenschaft(ドイツ語)とも、また、人間が行動を通じてかかわる特殊なさまざまなものについてこれを処理するための特殊なさまざまな技術techn(ギリシア語)、ars(ラテン語)、art(英語、フランス語)、Technik(ドイツ語)とも区別される。人間は世界における多様なものにかかわりながらも、一なる自己である限り、この一なる自己を根拠づけ、意味づける一なる知(=知恵)にかかわらざるをえない。したがって、科学と区別される哲学の存否は人間にとっての知恵の存否にかかわり、人間にとってどのような知恵が許容されうるかにかかっている。
 古代ギリシアでは、知恵(ソピア)の語は広く事を処する技術的知を意味した(笛吹きの知、大工の知)。法律制定の知、詩作の知が知恵とされるとき、知恵は万物にかかわる普遍の知となり、すべてのことについて論ずることを教える弁論術の教師(プロタゴラス、ゴルギアス)は最高の知恵者とみなされた。人間にとって、このような万物の知がはたしてありうるかというソクラテスの問いとともに、哲学の知は神の知恵とは区別されつつ、知恵とのかかわりのなかで人間における知恵のあり方を問う批判的な知として成立した。たいせつなことは何ひとつ知らないので、そのとおり知らないと思うことが人間にとって唯一可能な知恵であるとする、ソクラテスの愛知philosophiaの営みがこれである。爾来(じらい)、哲学は知恵とのあいだの緊張において、人間に可能な知恵の存立を問い続ける営みとなった。[加藤信朗]
 宗教学的にみれば、知恵とは、宇宙・自然の原秩序を洞察することによって、人間の生活を秩序づける精神的能力を意味する。また、古代ギリシア思想では一般に、知恵とは、「ものをあるがままの相において眺める純粋の知のこと」とされる。ユダヤ教においては、知恵とは、神の計画に対する信仰的洞察を意味する。キリスト教においては、知恵とは知識を超えた最高の知恵、上智とされる。古代インド思想においては、サンスクリット語のプラジュニャーpraj、パーリ語のパンニャーpaの語がこれに相当する。仏教の智慧(ちえ)は般若(はんにゃ)と訳し、菩薩(ぼさつ)の修行道である六波羅蜜(ろくはらみつ)、ないし十波羅蜜(じっぱらみつ)においては、般若波羅蜜としてもっとも主要な修行道とされている。それはいっさいの現象や、現象の背後にある理法を知る心作用で、存在全体の真実相を一瞬のうちに把握する直観知をいう。分析判断能力とは異なり、もっとも深い意味での理性と考えてよい。[坂部 明]

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