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直腸脱【ちょくちょうだつ】

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

直腸脱
ちょくちょうだつ
rectal prolapse
直腸の粘膜あるいは直腸壁の全層が,肛門から脱出する状態をいう。脱肛も含まれる。比較的まれな疾患老人,小児に多い。排便時のほか腹圧を加えたとき,寒冷ストレス (冷え込み) の働くときに脱出しやすい。保温運動療法からトランキライザ使用によるストレス緩和法,あるいは内科的に消化便通をよくする手当てを行うほか,外科的処置を必要とすることも多い。

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デジタル大辞泉

ちょくちょう‐だつ〔チヨクチヤウ‐〕【直腸脱】
直腸壁が肛門から外に脱出し、もとに戻らない病的状態。

出典:小学館
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家庭医学館

ちょくちょうだつ【直腸脱 Rectal Prolapse】
[どんな病気か]
 直腸が肛門(こうもん)から外に脱出したものを直腸脱といいます。直腸の表面だけが肛門外に脱出した状態は不完全直腸脱(ふかんぜんちょくちょうだつ)、直腸壁の全層(粘膜(ねんまく)と筋層(きんそう))が脱出した状態を完全直腸脱(かんぜんちょくちょうだつ)といいます。単に直腸脱という場合は、完全直腸脱を指します。
 日本では男性に多く、女性が多い欧米と異なっています。男性は30~50歳代に、女性では60~70歳代に多くみられます。
[原因]
 何が真の原因で何が誘因なのかはまだ不明です。生まれる前からの原因(先天的原因)としては、直腸がしっかり固定されていないこと、骨盤(こつばん)の底部を支えている筋肉や筋膜(きんまく)などの組織が弱いか、形態に異常があることなどが考えられています。また、子どもの直腸脱は、排便時の長時間、あるいは過度のいきみが誘因ではないかと考えられています。
 後天的原因(生後にできた原因)としては、骨盤の底を支える組織の弱体化、肛門のゆるみなどが考えられます。これらは、子どもを何人も産んだ女性や高齢者、無力性体質の人の場合にみられます。
 また、排便時の肛門に関係する筋肉の機能失調によるという説、直腸の壁が内腔(ないくう)に入り込み、重積という裏返し状態になって脱出するなどの説もあります。
 いずれにしても、便秘(べんぴ)を主とする排便異常(長時間あるいは過度のいきみ)や腹圧(ふくあつ)の上昇が引き金になっていることは確かです。
[症状]
 初期は排便時にだけ脱出して、自然にもとにもどります。脱出する長さも3~4cmと軽度です。
 進行すると、脱出する長さが増大し、10~20cm以上になることがあります。こうなると自然にはもどらず、手で押し込んだりしますが、それでももとにもどらず病院を受診することになります。直腸の脱出にともない、分泌物(ぶんぴつぶつ)が増加し、出血、便失禁(べんしっきん)などもみられます。
[診断]
 直腸が脱出して、輪状の皺(しわ)がみられれば診断はすぐにつきますが、初期のもので診察時に直腸が脱出していないときは、排便するときの姿勢でいきんでもらい、脱出を確認します。
[治療]
 子どもの場合は手術をしなくてもほとんど治ります。
 ただし、正しい排便習慣をつけることがたいせつです。そのためには、便通をよくする食習慣をつけ、規則的な排便を促し、過度のいきみや長時間の排便をしないように注意しなければなりません。
 おとなの場合は、根治的な治療として手術が必要です。その手術方法には、経肛門(けいこうもん)手術(肛門から手術する方法)と経腹(けいふく)手術(開腹して、直腸側から手術する方法)とがあります。
 経肛門手術は、脱出した直腸を、絞り染めをするように小結節(しょうけっせつ)(こぶ)をつくって縫い縮める方法(三輪‐ガント法)、ナイロンの糸やテフロンのテープを肛門の縁の皮膚の下に挿入して狭くする方法、そしてこれらの併用などが一般に行なわれています。
 経腹手術には多くの方法がありますが、直腸を周囲から離して引き上げ、仙骨(せんこつ)の前面に固定し、腹腔(ふくくう)の底を浅くするのが共通したやり方です。
 最新の方法としては腹腔鏡(ふくくうきょう)を使った直腸固定術があります。そのほか、肛門のしまりが悪いときは肛門の筋肉の形成術を併用することもあります。また、女性で直腸瘤(ちょくちょうりゅう)(「直腸瘤(直腸腟壁弛緩症)」)をともなう場合は、直腸瘤縫縮術(ほうしゅくじゅつ)が行なわれます。

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世界大百科事典 第2版

ちょくちょうだつ【直腸脱】

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大辞林 第三版

ちょくちょうだつ【直腸脱】
腹圧を加えた際に、直腸粘膜が肛門の外に脱出して元に戻らない状態。

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日本大百科全書(ニッポニカ)

直腸脱
ちょくちょうだつ
直腸壁が肛門(こうもん)の全周にわたって、粘膜層だけ、あるいは全層が肛門括約筋の下方へ滑脱する状態をいう。そのうち、粘膜および粘膜下組織だけが脱出するものを不完全直腸脱または直腸粘膜脱とよび、直腸の全層が脱出するものを完全直腸脱という。なお、類似疾患に脱肛があるが、脱出した粘膜ひだの方向が放射状になる脱肛に対し、直腸脱では輪状(環状)になるので容易に鑑別できる。
 完全直腸脱の好発年齢は、幼小児期と成人期に分かれる。幼小児期の直腸脱は、低栄養児が咳(せき)や便秘などで肛門への負荷が重なった場合に生じやすく、そのほとんどが保存的療法で治る。成人型直腸脱は、骨盤底と肛門管諸筋の弛緩(しかん)などで生じ、脱出を繰り返すことにより肛門括約筋がさらに弛緩して直腸脱が進行する。その手術方法は多種多様であり、年齢や症状に応じて使い分けられる。[竹馬 浩]

出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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精選版 日本国語大辞典

ちょくちょう‐だつ チョクチャウ‥【直腸脱】
〘名〙 直腸の粘膜、または、全壁が肛門の外に脱出する病気。脱肛。

出典:精選版 日本国語大辞典
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六訂版 家庭医学大全科

直腸脱
ちょくちょうだつ
Rectal prolapse
(直腸・肛門の病気)

どんな病気か

 肛門から、直腸粘膜および直腸壁全層が脱出する病気で、痔核(じかく)粘膜脱(ねんまくだつ)といった粘膜の一部だけの脱出とは異なります。ひどいものでは、直腸が反転して直腸壁全層が10~20㎝ほど肛門から飛び出します。

原因は何か

 脆弱(ぜいじゃく)な骨盤底と直腸の固定の異常が原因であり、便秘、排便時のいきみが誘因になることがあります。小児や若い成人でもみられますが、とくに高齢の女性に多くみられます。

症状の現れ方

 排便時の直腸粘膜の脱出が主な症状ですが、さらに進行すると、歩行時にも脱出が認められ、肛門括約筋(こうもんかつやくきん)の障害を伴うようになります。また、便秘症などの排便障害や出血などを来すようになります。

検査と診断

 診断は直腸脱を診て確認できれば容易ですが、脱出していない場合は、腹圧をかけると脱出を確認できます。詳しくは、原因になる脆弱な骨盤底と直腸の固定の異常の有無を調べる必要があります。

 専門的には、腹圧時の会陰下垂症(えいんかすいしょう)・肛門挙筋(きょきん)恥骨(ちこつ)直腸筋・外肛門括約筋の随意収縮力の低下や直腸肛門角の開大などを確認するために、肛門内圧検査や排便造影検査・怒責診断・骨盤MRI検査が必要になります。それにより治療法が決定されます。

 医学的には、アルテマイヤー分類(Ⅰ型:直腸粘膜の脱出、Ⅱ型:腸重積(ちょうじゅうせき)、Ⅲ型:完全直腸脱)、タトルの分類(Ⅰ度:直腸粘膜脱、Ⅱ度:直腸全層の脱出、Ⅲ度:腸重積)などがあり、その程度により治療法も違ってきます。

 鑑別診断としては、直腸がんの鑑別に大腸内視鏡検査が必要です。

治療の方法

 小児の直腸脱は、なるべく手術せずに治療すべきです。便秘の予防(緩下剤(かんげざい)の調整)と排便時に腹圧をかけさせないことが重要です。

 成人では、外科的治療法が最もよいと思われます。開腹して直腸後方および側方を遊離して固定する直腸つりあげ固定術が有効です。いろいろな方法がありますが、どれも約90%は有効です。

 手術は高齢者でも比較的安全ですが、麻酔による危険性の高い高齢者に対しては、有効率は下がりますが、腰椎(ようつい)麻酔で可能な会陰式(えいんしき)の手術方法もあります。会陰側から粘膜を切除するデローメ手術や、粘膜をつまんでしばる三輪ガント手術、肛門出口を狭くするティールッシュ手術などが一般的です。

 さらに、これでも軽快しない場合は、肛門から器具を入れて直腸を切断するアルテマイヤー手術や、開腹して直腸が脱出しないように骨盤内に固定するさまざまな直腸つりあげ固定手術が考えられています。

 しかし、再発率の少ない手術ほど生体を傷つけることが多く、手術による危険性が増すことになり、年齢とQOL(生活の質)にあった手術を選択するため、十分な検討が必要です。

病気に気づいたらどうする

 直腸脱に気づいた場合、またはその疑いがある場合は、直腸脱の程度の判定がしにくいため、肛門科の医師か、大腸肛門病専門の病院を受診し、正しい診断をしてもらうことが大切です。専門医でないと正しい診断がつかずに治療方針も決定できないからです。

 また、粘膜脱、内痔核(ないじかく)脱肛(だっこう)直腸孤立性潰瘍(ちょくちょうこりつせいかいよう)は直腸脱の初期症状であったり、結果であったりするため、専門科の医師の診察、検査が必要になります。

梅枝 覚

出典:法研「六訂版 家庭医学大全科」
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