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甲状腺機能亢進症【こうじょうせんきのうこうしんしょう】

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

甲状腺機能亢進症
こうじょうせんきのうこうしんしょう
hyperthyroidism
甲状腺におけるホルモンの合成と分泌の機能が亢進する状態で,代表的な疾患にバセドー病がある。バセドー病は,長時間作用型の甲状腺刺激ホルモン TSHの作用によって,甲状腺ホルモンが過剰に生成されるために起る。特徴的な症状として,甲状腺腫,眼球突出,頻脈がみられ,そのほか多汗,食欲旺盛,体重減少,微熱,手の震え,脈の乱れなどがある。 20歳以上 50歳くらいまでの女性に多発する。治療には抗甲状腺剤,放射性ヨウ素療法,外科手術などが行われる。バセドー病以外には,甲状腺の機能亢進性腺腫,多発性結節性甲状腺腫ヨード剤の過剰摂取によるヨードバセドー,あるいは甲状腺中毒症を伴う原因不明の甲状腺腫であるプランマー病などでも,甲状腺機能の亢進がみられる。

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デジタル大辞泉

こうじょうせんきのうこうしん‐しょう〔カフジヤウセンキノウカウシンシヤウ〕【甲状腺機能×亢進症】
甲状腺の機能が異常に亢進した状態。血中の甲状腺ホルモンが過剰となり、それによる症状が現れる。バセドー病はその代表。甲状腺ホルモン過剰症。

出典:小学館
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家庭医学館

こうじょうせんきのうこうしんしょう【甲状腺機能亢進症 (Hyperthyroidism)】
 甲状腺(こうじょうせん)は、甲状腺ホルモンを分泌する器官です。このホルモンは、たんぱく質の合成や、中性脂肪、コレステロールなどとして体内に蓄えられたエネルギー源の燃焼、神経伝達などに重要な役割をはたしています。
 この甲状腺のはたらきが活発になりすぎて、甲状腺ホルモンが過剰に分泌(ぶんぴつ)されて血液中に増えた状態を、甲状腺機能亢進症(こうじょうせんきのうこうしんしょう)といいます。亢進症になると、安静にしていても、脈が速くなって動悸(どうき)がしたり、たくさん食べられるのに、やせてきたりします。
 甲状腺機能亢進症をおこす病気の代表はバセドウ病です。たんに、甲状腺機能亢進症といった場合、バセドウ病をさすといわれているほどです。
 そのほかに甲状腺機能亢進症は、プランマー病、甲状腺刺激(こうじょうせんしげき)ホルモン(TSH)産生腫瘍(さんせいしゅよう)でもおこるほか、亜急性甲状腺炎(あきゅうせいこうじょうせんえん)の初期や、甲状腺ホルモンを長期、大量に内服したときなどにもみられます。
■プランマー病
 甲状腺に腫瘍(しゅよう)(腺腫(せんしゅ))ができ、ここからホルモンが多量に分泌されるためにおこる病気です。手術で腫瘍を摘出して治療します。
■甲状腺刺激(こうじょうせんしげき)ホルモン(TSH)産生腫瘍(さんせいしゅよう)
 甲状腺は、脳の下垂体(かすいたい)から分泌されるTSHの刺激を受けて、甲状腺ホルモンを分泌しますが、その下垂体に腫瘍ができる病気です。TSHが過剰に分泌され、甲状腺ホルモンの分泌が過剰になります。治療は、下垂体の腫瘍を摘出します。

出典:小学館
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食の医学館

こうじょうせんきのうこうしんしょう【甲状腺機能亢進症】

《どんな病気か?》


〈3~5倍も女性に多いバセドウ病が代表的な病気〉
 のどにある甲状腺(こうじょうせん)からは、新陳代謝(しんちんたいしゃ)を促進する甲状腺ホルモンが分泌(ぶんぴつ)されています。その分泌が過剰に亢進(こうしん)して(高まって)いる状態が甲状腺機能亢進症(こうじょうせんきのうこうしんしょう)です。
 甲状腺ホルモンの分泌が亢進すると、エネルギーの消費力が高まり、食欲が増してきます。ところが、いくら食べてもやせてきてしまうというのが特徴の1つです。体で感じられる症状としては、動悸(どうき)や息切れ、多汗(たかん)、微熱がある、手や指がふるえるなどがあります。また不安を感じたり、集中力が低下するなどの精神的症状が現れることもあります。
 甲状腺機能亢進症状を示す代表的な病気がバセドウ病です。この病気の特徴は、前述の諸症状のほか、頸部のつけ根が腫(は)れる、目が突き出てくるなどの身体的変化です。バセドウ病は、男性にくらべて3~5倍も女性がかかりやすい病気です。また20~30歳代でもっとも多くみられます。
 ホルモン分泌の異常が原因なため、薬物療法を中心に治療します。

《関連する食品》


〈亜鉛で甲状腺を正常化、ヨードは厳禁〉
○栄養成分としての働きから
 食生活においては、消費されたエネルギーを補うために、1日あたり体重1kgに対し35~40kcalを目安に、高たんぱく質・高ビタミンの食品を十分にとる必要があります。肉類、魚介類、とうふ、牛乳やたまごなどでたんぱく質を、ニンジンやホウレンソウ、ピーマンなどの緑黄色野菜を中心にビタミンを補給しましょう。
 とくに、牛肉や豚肉などの赤身の部分に含まれる亜鉛(あえん)は、細胞の新生や体内の200以上の酵素の成分としても重要なので、とるようにしましょう。
〈発汗にはユリ根、動悸にはハスの実を〉
○漢方的な働きから
 甲状腺機能亢進症の諸症状の改善には、漢方的な食品の摂取も有効です。
 発汗や、寝汗がひどい場合には、汗止め効果もあるユリ根が有効です。動悸には強心作用(きょうしんさよう)があるハスの実をとると効果があります。また、シソの葉には鎮静作用があります。
○注意すべきこと
 気をつけたいのは、甲状腺ホルモンの主成分であるヨード(ヨウ素)の摂取に注意することです。ヨードが不足しても、過剰になっても甲状腺腫(こうじょうせんしゅ)が起こりますが、四方を海に囲まれた日本では不足より過剰のほうが問題になることが多いからです。
 ヨードはさまざまな食品に含まれていますが、もっとも多いのは海藻類です。とくにコンブには多く、直接食べるだけでなく、加工品やだし汁などもひかえたいところ。ワカメやノリ、ヒジキなども同様です。

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世界大百科事典 第2版

こうじょうせんきのうこうしんしょう【甲状腺機能亢進症】

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大辞林 第三版

こうじょうせんきのうこうしんしょう【甲状腺機能亢進症】
甲状腺ホルモンが過剰に分泌され、動悸・ふるえ・多汗・体重減少などを呈する状態。バセドー病が代表的。

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日本大百科全書(ニッポニカ)

甲状腺機能亢進症
こうじょうせんきのうこうしんしょう
甲状腺からホルモンが過剰に分泌されるためにおこる疾患である。甲状腺がほぼ一様に腫(は)れて眼球が突出してくるバセドウ病や、甲状腺に腺腫(せんしゅ)ができてそこから甲状腺ホルモンが大量に分泌されるためにおこるプランマー病などがある。わが国では99%がバセドウ病であるため、しばしばバセドウ病と同義語的に用いられる。[鎮目和夫]

出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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精選版 日本国語大辞典

こうじょうせんきのう‐こうしんしょう カフジャウカウシンシャウ【甲状腺機能亢進症】
〘名〙 甲状腺ホルモンの過剰によりおこる病態。症状は、動悸(どうき)が激しい、指先がふるえる、汗が多く出る、やせる、眼球がとびだし甲状腺が腫(は)れるなど。頻度の高いものにバセドー病があり、他には中毒性甲状腺腫などがある。甲状腺ホルモンの過剰投与でもおこる。

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内科学 第10版

甲状腺機能亢進症(甲状腺)
 甲状腺中毒症(thyrotoxicosis),甲状腺機能亢進症,Basedow病(Graves病)という用語はしばしば混同して用いられるが,区別して使用すべきである.甲状腺中毒症とは,「生体内に甲状腺ホルモンが過剰に存在し,そのために甲状腺ホルモン作用が過度に発揮されている状態」を意味し,原因の如何を問わない.これに対し甲状腺機能亢進症とは,甲状腺自体の活動が亢進し,そのため甲状腺における甲状腺ホルモンの合成・分泌が高まっている病態を表す.Basedow病は1つの独立した疾患名で,甲状腺機能亢進症の大部分を占める.亜急性甲状腺炎や無痛性甲状腺炎のように,甲状腺組織が一過性に破壊されて過剰のホルモンが血中に漏出したような場合や,過剰の甲状腺ホルモンを経口摂取したような場合は,甲状腺中毒症であるが甲状腺機能亢進症ではない.甲状腺中毒症をきたすのが,甲状腺機能亢進症だけでないことに注意する必要がある.
 甲状腺機能亢進症としては,①甲状腺が刺激物質により刺激された状態(Basedow病など),②甲状腺の自律的活動亢進によるもの(たとえば腺腫からホルモンが過剰に合成,分泌されている状態),③過剰のTSHによって刺激された状態(TSH産生下垂体腫瘍)がある.一方,甲状腺の活動亢進を伴っていないが甲状腺ホルモンの過剰状態をきたす病態としては,①甲状腺の破壊によって過剰のホルモンが放出される場合(亜急性甲状腺炎や無痛性甲状腺炎),②甲状腺ホルモンの過剰摂取による場合(甲状腺機能低下症や甲状腺癌において甲状腺ホルモンが過剰投与されている場合),③甲状腺以外の組織から甲状腺ホルモンが産生される場合(まれに卵巣の奇形腫のなかに甲状腺組織ができることがある)がある.これらはいずれも甲状腺中毒症に含まれる(表12-4-4).
 これらの鑑別は病態を理解する上で有用であるとともに,治療上重要である.Basedow病で用いられるホルモン合成を抑える治療法(抗甲状腺薬,放射性ヨウ素治療,外科的切除術)は,甲状腺の活動亢進を伴っていない疾患には不適切な治療法である.[中村浩淑]

出典:内科学 第10版
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甲状腺機能亢進症(代謝・内分泌疾患に伴う神経障害)
(3)甲状腺機能亢進症
概念・臨床症状
 本症の多くはBasedow病であり,甲状腺ホルモンの過剰に伴って易興奮性,神経質,集中力低下などの精神症状,手指振戦,頻脈,多汗などがみられる.甲状腺機能亢進症患者の61~82%に近位筋優位の筋力低下,筋萎縮,やせを生じ,甲状腺中毒性ミオパチーとよばれる.また,低カリウム性の周期性四肢麻痺を発症することがあり,その多くは20~40歳代の男性患者である.周期性四肢麻痺は軽い脱力や筋痛を前駆症状として,数分から数時間で四肢の脱力にいたる.麻痺は左右対称性で下肢から始まって上行し,起立や歩行が困難となる.夜間から早朝にかけての発症が多い.重症筋無力症にBasedow病を合併する例が3~10%ある.甲状腺眼症は甲状腺機能亢進だけでなく,機能正常の場合にもみられる.両側の眼球突出と外眼筋麻痺,複視を生じることがある.
診断
 ミオパチーがあっても筋原性酵素は正常で,筋電図も正常.眼症ではMRIで眼球突出と外眼筋の腫大を認める.
治療
 甲状腺機能亢進症の治療が基本で,チアマゾールやプロピルチオウラシルを用いる.詳細はBasedow病の項【⇨12-4-4)-(1)】を参照.周期性四肢麻痺ではカリウム製剤の補給も検討する.眼症では副腎皮質ホルモン薬の大量療法や放射線治療を行うこともある.[中里雅光]

出典:内科学 第10版
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六訂版 家庭医学大全科

甲状腺機能亢進症(バセドウ病)
こうじょうせんきのうこうしんしょう(バセドウびょう)
Hyperthyroidism (Graves' disease)
(子どもの病気)

どんな病気か

 甲状腺に慢性的に炎症が生じ、甲状腺ホルモンの過剰な生成を生じるもので、20~30代の女性に最も頻度が高い病気ですが、思春期の女子および男子にもみられます。

原因は何か

 甲状腺の甲状腺刺激ホルモン(TSH)レセプターに対する自己抗体(TRAb)がつくられ、TRAbによって甲状腺ホルモンの過剰な生成が起こります。自己免疫反応が病気の原因です。遺伝因子や環境因子が関係します。

症状の現れ方

 甲状腺機能亢進症の症状は、多汗、頻脈(ひんみゃく)心悸亢進(しんきこうしん)、体重の減少、()疲労性(疲れやすい)、手指振戦(しんせん)(震え)、集中できない、落ち着かないなどの精神神経症状です。学業成績が低下する例もあります。初期には甲状腺の腫大がないこともあり、小児では眼球突出は成人に比べて低頻度です。

 また、バセドウ病をもつ女性が妊娠した場合、妊娠後期に母体の甲状腺機能が低下すると、出産後の子が甲状腺機能低下症に陥ることがあります。また、母体のTRAbが50%以上の高値の場合、新生児に一過性に甲状腺機能亢進症(新生児バセドウ病)が発症します。

検査と診断

 血中TSH、遊離トリヨードサイロニン(FT3)、遊離サイロキシン(FT4)を調べます。TSHは低下し、FT3、FT4が上昇します。TRAb陽性、甲状腺刺激抗体(TSAb)陽性であれば診断がつきます。マイクロゾームテストやサイロイドテストも高頻度で陽性です。甲状腺腫大の有無は、視診と超音波検査によって行います。

治療の方法

 小児では内服薬が第一選択です。抗甲状腺ホルモン剤のチアマゾール(メルカゾール)の内服を長期的(2~3年以上)に行います。発疹、発熱、肝障害、顆粒球(かりゅうきゅう)の減少などの副作用に注意する必要があります。症例によってはプロピルチオウラシル(プロパジール)内服、ルゴール液内服、手術、放射性ヨード治療なども行われます。

 花粉症のある例では、春先に花粉症の悪化とともに再発しやすいという報告があります。

病気に気づいたらどうする

 内分泌疾患の専門外来をもつ小児科を受診します。

関連項目

 慢性甲状腺炎(橋本病)単純性甲状腺腫

杉原 茂孝

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甲状腺機能亢進症(バセドウ病)
こうじょうせんきのうこうしんしょう(バセドウびょう)
Hyperthyroidism (Graves' disease)
(内分泌系とビタミンの病気)

どんな病気か

 甲状腺から甲状腺ホルモンが多量に分泌され、全身の代謝が高まる病気です。しばしば甲状腺機能亢進症とバセドウ病は同じ意味に使われていますが、厳密には違います。

 バセドウ病以外にも無痛性(むつうせい)甲状腺炎亜急性(あきゅうせい)甲状腺炎機能性(きのうせい)甲状腺腫(プラマー病)でも甲状腺ホルモンが過剰になります。さらに故意や事故で甲状腺ホルモンを過剰に摂取するといったこともありますが、ここではバセドウ病に限って話を進めます。

 バセドウ病とは、この病気を報告したドイツの医師の名前に由来するもので、米国や英国では別の医師の名前をとってグレーブス病と呼んでいます。

原因は何か

 血液中にTSHレセプター抗体(TRAb)ができることが原因です。この抗体は、甲状腺の機能を調節している甲状腺刺激ホルモン(TSH)というホルモンの情報の受け手であるTSHレセプターに対する抗体です。これが甲状腺を無制限に刺激するので、甲状腺ホルモンが過剰につくられて機能亢進症が起こります。

 このTRAbができる原因はまだ詳細にはわかっていませんが、甲状腺の病気は家族に同じ病気の人が多いことでもわかるように、遺伝的素因が関係しています。

症状の現れ方

 甲状腺ホルモンが過剰になると全身の代謝が亢進するので、食欲が出てよく食べるのに体重が減り(高齢になると体重減少だけ)、暑がりになり、全身に汗をかくようになります。

 精神的には興奮して活発になるわりにまとまりがなく、疲れやすくなり、動悸(どうき)を1日中感じるようになります。手が震えて字が書きにくくなり、ひどくなると足や全身が震えるようになります。イライラして怒りっぽくなり、排便の回数が増えます。大きさに違いはありますが、ほとんどの症例で軟らかいびまん性の甲状腺腫(こうじょうせんしゅ)が認められます。

 バセドウ病では眼球が突出するとよくいわれますが、実際には5人に1人くらいです。

検査と診断

 甲状腺機能亢進症は甲状腺ホルモン(遊離チロキシン:FT4)と甲状腺刺激ホルモン(TSH)を測定することで、診断できます。

 さらにバセドウ病であることを確認するには、原因物質であるTSHレセプター抗体(TRAb)を測定します。まれにこの抗体が陰性のことがあり、無痛性甲状腺炎と区別したい時は放射性ヨード摂取率を測定します。眼球突出などバセドウ病眼症の診断のためには、眼窩(がんか)CT検査やMRI検査をすることもあります。

治療の方法

 抗甲状腺薬治療、手術、アイソトープ治療の3種類がありますが、通常、抗甲状腺薬治療をまず行います。

 抗甲状腺薬(チアマゾール、プロピルチオウラシル)は甲状腺ホルモンの合成を抑える薬です。この薬で合成を抑えると、4週間くらいで甲状腺ホルモンが下がり始め、2カ月もすると正常になって、自覚症状はなくなり、完全に治ったようになります。しかし、原因のTRAbが消えるのは2~3年後なので、TRAbが陽性の間は抗甲状腺薬をのみ続ける必要があります。

 いつまでもTRAbが陰性にならない時は、甲状腺を一部残して切除する甲状腺亜全摘(あぜんてき)出術をするか、放射性ヨードを投与して甲状腺を壊すアイソトープ治療をすることになります。このどちらを選ぶかは、甲状腺の大きさや年齢、妊娠の希望などを考慮して決定します。なお、抗甲状腺薬は妊娠中でも医師の指示のもとに服用することができます。

 バセドウ病は女性では100人に1人の頻度でみられる病気で、決してまれなものではありません。自覚症状がなくなっても治ったわけではなく、いつ薬をやめるか、薬物治療以外の治療に切り替えるかなど難しい点もあるので、できれば甲状腺専門医と相談しながら治療することをすすめます。

病気に気づいたらどうする

 バセドウ病を見つける簡単なチェックリストを示しておきます(表2)。これでバセドウ病の可能性があるという結果になった人は、かかりつけ医あるいは内分泌・代謝科のある病院でFT4、TSH、TRAbを測定してもらいます。

阿部 好文

出典:法研「六訂版 家庭医学大全科」
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