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生糸【きいと】

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

生糸
きいと
raw silk
蚕の繭糸を何本か抱合させて1本の糸条にしたもので,加撚精練などを施してないもの。原料として春繭が秋繭よりも上等とされる。糸の太さはデニールで表わし,取引上,14デニール,21デニールを基準として繰糸した製品が多い。天然繊維のなかで最もすぐれた繊維とされ,軽いうえに光沢,手ざわりがよく吸湿性,保温性に富む。元来中国原産地とされるが,その後,日本,中国,朝鮮,イタリア,ソ連,インドなどが主産地となった。日本は第2次世界大戦前に世界の生糸生産量の約 80%を占めたこともあったが,戦争の影響のほか化・合繊台頭による市場の構造変化,農業政策などによって衰え,1966年以後は中国や韓国などから輸入している。おもに絹織物として和・洋装用,刺繍糸などに用いられ,また工業用に使われることもある。

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デジタル大辞泉

き‐いと【生糸】
家蚕の繭糸数本をそろえ、繰り糸にしたままで練らないもの。

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監修:松村明
編集委員:池上秋彦、金田弘、杉崎一雄、鈴木丹士郎、中嶋尚、林巨樹、飛田良文
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世界大百科事典 第2版

きいと【生糸 raw silk】
カイコ(蚕)の作る繭層から繭糸を解離し,数本以上の繭糸を抱合させつつ繰糸して得た連続する1本の糸で,撚糸(ねんし)や精練などの加工をしないものをいう。玉繭を繰った糸を玉糸というが,広義の生糸には玉糸を含めるが狭義の場合には含めない。
[種類]
 生糸は原料の繭色によって白繭糸(白糸ともいう)と黄繭糸(黄糸ともいう)に大別されるが,現在一般に飼育されている蚕品種の繭色は白であり,大部分の生糸は白繭糸である。

出典:株式会社平凡社
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大辞林 第三版

きいと【生糸】
かいこの繭から繰りとったままの、精練していない糸。 ⇔ 練糸ねりいと

出典:三省堂
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日本大百科全書(ニッポニカ)

生糸
きいと
(まゆ)から繰糸したままの長い糸で、精練処理や撚合(ねんごう)などの加工をしていないものをいう。ときには2匹以上のカイコがつくった繭から繰糸した玉糸や、精練を施したものを生糸に含めることがある。この生糸は、屋内で飼育されるカイコからとれる家蚕(かさん)糸と、サクサン・天蚕・エリサンなどからとれる野蚕(やさん)糸に分けられるが、一般には家蚕糸が使われる。カイコは、鱗翅(りんし)目カイコガ科カイコガの幼虫で、桑の葉を食べて、卵・幼虫・蛹(さなぎ)・成虫の変態を繰り返し成長する。幼虫の間、4回の休眠(脱皮)を経て、繭をつくり蛹になるが、ここで熱気を当てて、蛹を殺す。
 繭から生糸にする作業を製糸とよび、その工程は、乾繭(かんけん)(繭を長期にわたって保存するため、乾燥して繭中の蛹を殺す)、煮繭(繭から繭糸がよく解けるように繭を煮る)、繰糸(繭糸を数本引きそろえて糸にする)からなり、不良繭を除去後、繭糸を引きやすくするため熱湯中で煮繭し、目的に応じた糸の太さに従って繭の個数を決め、糸口を集めて1本の生糸にする。これを繰枠に巻き取ったのち、大枠に巻き返して綛(かせ)に仕上げ束装(そくそう)する。
 この束装は、輸出生糸の増加とともに統一されてきたが、生糸市場においては、1綛約70グラムの綛を捻造(ひねりづくり)にし、30綛を1括(くく)りとして紙装したのち、内地向けには、約18括を1梱(こり)(10貫=37.5キログラム)として莚(むしろ)包みにする。輸出向けには、約29括を1俵(16貫=60キログラム)に洋装する。これが標準の梱包(こんぽう)方法であったが、現在では国内生産が減少して、輸入生糸に依存しているために、過去のものを示した。
 製糸は、初め釜(かま)などで繭を煮ながら枠に巻き取る手挽(てび)き法によったが、巻き取りに歯車などを使った座繰(ざぐり)機が江戸後期に現れ、明治初期にはイタリア・フランスから製糸機械が輸入され、官立富岡製糸場が設置されて、生産は家内工業から工場生産へ移っていった。現在では、能率的な多条繰糸機が一般的に用いられ、また糸質の均一化を図るため、自動繰糸機も一部で使われている。
 わが国における明治以後の生糸生産は、殖産興業政策による輸出産業として、東北地方から中部地方にかけて、盛んに地場産業として育成されたが、外国の生糸市場における価格の変動に、国内の製糸産業は影響を受けた。そのため購入繭価格の安定化、製糸工程の合理化、製糸労働者の確保、等級別賃金の設定などの経営合理化を進めることにより、生産原価の低廉化と生糸価格の維持を図り、外国生糸に対抗することにした。そのため第二次世界大戦前には、生糸生産高は世界一を誇ることになるが、これらは主としてアメリカに輸出され、婦人用靴下に加工された。
 繰糸したままの繊維は、空気中で酸化されると表面が膠質(こうしつ)(セリシン)に包まれるため、光沢がなく、粗硬である。そのため、せっけん液などで精練し、これを除去すると、フィブロインが残り、絹独特の光沢と柔軟さが生まれるので、練糸(ねりいと)としてもっぱら使用される。
 生糸は、2本の繊維を構成するフィブロインと称するタンパク質と、膠質としてフィブロインを含むセリシンというタンパク質とからなる。フィブロイン、セリシンの生糸全体に対する比は、前者70~80%、後者20~30%で、そのほか、わずかに脂肪質、無機質、色素を含んでいる。アルカリで処理するとセリシンは除かれ、2本の練絹(ねりぎぬ)となるが、この工程を生糸の精練、あるいは単に「練り」とよんでいる。繭糸の繊度は、2~4デニールで、1個の繭から製糸される長さは、短いもので600~800メートル、長いのは1200~1500メートルの連続繊維である。多数の繭を組み合わせ、繊度がそろった所定繊度の生糸を繰糸するのは、かなりの熟練を要する。生糸の繊度は、14、21、28デニールのものが多いが、要求に応じて、各種の太さのものがつくられる。
 生糸の取引には、正量検査、品位検査を受ける。品位検査は、糸条斑(むら)、繊度斑、強伸度、抱合状態、肉眼光沢、手ざわり、色相などについて行う。生糸の抗張力は1デニール当りだいたい3~4グラム、伸びは20%前後、ヤング率毎平方ミリメートル当り800~1200キログラム、比重1.35、公定水分率は11%。弾性に優れ、耐熱性が大きく、発火点以後の燃焼速度はいろいろな繊維のなかでとくに小さいことが注目されるが、高価で、紫外線に弱いのが欠点である。その反面、水中に置いたとき、低温時でも性質があまり変わらないので、用途は広い。
 絹織物の原糸として使用するのがもっとも多いのは当然であるが、そのほかに絹靴下などの編物や、組紐(くみひも)などの組物、琴糸や三味線糸などにも使われている。[角山幸洋]

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精選版 日本国語大辞典

き‐いと【生糸】
〘名〙 蚕の繭をときほぐしたままの繭糸を数条合わせて糸にしたもの。
※正倉院文書‐天平六年(734)尾張国正税帳「壱口料稲壱束弐把 生糸一分二銖直」

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