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生憎【アイニク】

デジタル大辞泉

あい‐にく【生憎】
《「あやにく」の音変化》
[形動][文][ナリ]期待や目的にそぐわないさま。都合の悪いさま。「生憎な空模様」「生憎ですが、もう売り切れました」
[副]折あしく。ぐあい悪く。「彼を訪ねたが、生憎留守だった」

出典:小学館
監修:松村明
編集委員:池上秋彦、金田弘、杉崎一雄、鈴木丹士郎、中嶋尚、林巨樹、飛田良文
編集協力:田中牧郎、曽根脩
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あや‐にく【生憎】
感動詞「あや」+形容詞「にくし」の語幹から》
[副]意に反して不都合なことが起こるさま。あいにく。
「―眼が冴えて昨夕よりは却って寝苦しかった」〈漱石それから
[形動ナリ]目の前の事柄が、予想や期待に反していて好ましくないさま。
意地が悪い。
「惜しめばや花の散るらむ―にものも言はでぞ見るべかりける」〈躬恒集
不都合だ。間(ま)が悪い。
「―に睦びきこえ給へば、え忍び敢え給はず」〈栄花・衣の珠〉
予想以上に厳しい。過酷だ。
「さらに知らぬ由を申ししに、―に強ひ給ひしこと」〈・八四〉

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大辞林 第三版

あいにく【生憎】
〔「あやにく」の転。「生憎」は当て字〕
( 形動 ) [文] ナリ 
期待や目的にそわない状況になって、都合が悪く残念なさま。自分の場合にも、相手の気持ちを思いやる場合にも用いる。 「 -なお天気です」 「 -の雨で一歩も外へ出られなかった」
(「おあいにくさま」の形で)相手の期待がはずれたことを、からかっていう。 「お-さま、ちゃんと一人でできました」 → おあいにくさま
( 副 )
都合の悪いことに。折あしく。 「 -(と)留守をしていて失礼しました」 〔相手の期待がはずれている、というように皮肉の意を込めても用いる。「私は-物覚えがいいものでね」〕

出典:三省堂
(C) Sanseido Co.,Ltd. 編者:松村明 編 発行者:株式会社 三省堂 ※ 書籍版『大辞林第三版』の図表・付録は収録させておりません。 ※ それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

あやにく【生憎】
〔感動詞「あや」に形容詞語幹「にく」の付いた語。「生」は当て字〕
( 副 )
折あしく。あいにく。 「 -差掛りました用事が出来まして/緑簑談 南翠
( 形動ナリ )
予期に反して思いどおりにならないさま。不本意であるさま。 「疾く死ねかしと思へども、思ふに任せぬ命数の未だ-に尽ざるか/緑簑談 南翠
意にそまないさま。意地が悪く感じられるさま。 「さらに知らぬよし申ししに、-にしひ給ひしこと/枕草子 84
折あしく不都合なさま。 「しぐれといふばかりにもあらず、-にあるになほいでむとす/蜻蛉

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精選版 日本国語大辞典

あい‐にく【生憎】
(「あやにく」の変化した語)
[1] 〘形動〙 予想と違ったり、目的と合わなかったりして、都合の悪いさま。
※漢書列伝竺桃抄(1458‐60)張馮汲鄭第二〇「驕子はあいにくの子のやうにせらるるぞ」
岸過迄(1912)〈夏目漱石〉須永の話「(アイニク)な天気なので」
[2] 〘副〙 (「と」を伴っても用いる) 具合の悪いことに。おりあしく。あやにく。
※洒落本・二筋道後篇廓の癖(1799)一「ひとつうたがわしくおもひなんすと、あいにくいふ程する程の事がうたがわしくおもひひすは」
※浮雲(1887‐89)〈二葉亭四迷〉二「生憎(アイニク)故障も無かったと見えて」
[語誌](1)「あやにく」の音変化した語であろうが、副詞「あやに」が語の根幹であるとする説もある。近代には副詞の用法が多い。
(2)(一)に挙げたように、古く抄物にも使われており、ヘボンの「和英語林集成(初版)」には口語の旨の注記があり、話しことばで多用している例の多いことなどから、口頭語として伝えられてきたと考えられる。→「あやにく(生憎)」の語誌

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あや‐にく【生憎】
[1] 〘形動〙 気持や予想に反して、困ったこと、好ましくないことが起こるさま。また、思うようにならず、残念に思うさま。「の」を伴っても用いられる。
① 予期に反してまが悪いさま。おりあしく不都合だ。〔新撰字鏡(898‐901頃)〕
※蜻蛉(974頃)上「出でんとするに、時雨(しぐれ)といふばかりにもあらず、あやにくにあるに、なほいでんとす」
② 予期に反して思うにまかせないさま。思いどおりにならないで困る。
※源氏(1001‐14頃)宿木「さらに見ではえあるまじくおぼえ給ふも、かへすがへすあやにくなる心なりや」
※長享二年正月二十二日水無瀬三吟百韻(1488)「むかしよりただあやにくの恋の道〈肖柏〉 わすられがたき世さへうらめし〈宗長〉」
③ 予期に反して程度のはなはだしいさま、はげしいさま。
※枕(10C終)八四「さらに知らぬよしを申ししに、あやにくにしひ給ひし」
④ 状態ややり方が思いのほかであるさま。意地悪いさま。
※落窪(10C後)一「『さらば人にけしき見せで、この御文奉るわざし給へ』といへば『いで』とて、取りて、あやにくに、かの部屋にいきて『これあけん、これあけん、いかでいかで』といへば」
[2] 〘副〙 (「と」を伴っても用いる) 具合の悪いことに。おりあしく。あいにく。〔日葡辞書(1603‐04)〕
※滑稽本・東海道中膝栗毛(1802‐09)三「あやにく、しょぼしょぼ雨がふり出したはなさけない」
[語誌](1)感動詞「あや」と形容詞「にくし」の語幹から成るとするのが通説であるが、副詞「あやに」との関係を考えるべきだとする説もある。
(2)「新撰字鏡」に「憎也」とあるように、「にく」が「にくし(憎し)」に通ずるという理解は平安時代にあるが、「生憎」の表記は「盧照鄰‐長安古意詩」に見られるから漢籍にもとづくものか。
(3)「観智院本名義抄」では「咄」(意外な事態に驚いて発する声)の字が当てられているところから、一語の感動詞のように用いられ、やがて形容動詞に進んだとも見られる。
(4)近世末から明治にかけ「あいにく」が併用されるようになり、大正以後は「あいにく」が一般化する。

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あや‐にく・し【生憎】
〘形ク〙 (「あやにく(生憎)」を形容詞に活用させたもの) 思うようにならないでぐあいが悪い。
※宇津保(970‐999頃)楼上下「『さもあやにくきめを見るかな』と、をかしき声してよみかけておはしぬ」
※俳諧・若みどり(1691)「腰簑に脛あや憎し蜑乙女」

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なま‐にく・し【生憎】
〘形ク〙 (「なま」は接頭語) いやに憎い。なんだかうとましい。少しもかわいげがない。
※源氏(1001‐14頃)横笛「かやうに夜ふかし給ふもなまにくくて」

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