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生れてはみたけれど【ウマレテハミタケレド】

デジタル大辞泉

うまれてはみたけれど【生れてはみたけれど】
小津安二郎監督によるサイレント映画の題名。正式には「大人の見る絵本生れてはみたけれど」。昭和7年(1932)公開。サラリーマンの姿を子供の視点から描いた喜劇。出演、斎藤達雄吉川満子、突貫小僧ほか。

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世界大百科事典 第2版

うまれてはみたけれど【生れてはみたけれど】
日本映画。《大学は出たけれど》(1929),《落第はしたけれど》(1930)とともに風刺喜劇〈けれど〉三部作をなす小津安二郎監督の初期の傑作。1932年松竹蒲田作品。フェードイン(溶明),フェードアウト(溶暗)といったイメージの流れを出すための常套(じようとう)的な〈つなぎ〉の技法を徹底して排除し,イメージそのもののもつリズムによって画面をつなぎ,その間に,説明的な字幕としてではなく人物たちの肉声を入れるかのようにせりふを挿入しながら,全編カットつなぎでいくという小津独特のスタイルをこの作品で確立した。

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日本大百科全書(ニッポニカ)

生れてはみたけれど
うまれてはみたけれど
日本映画。1932年(昭和7)、小津安二郎(おづやすじろう)監督、松竹作品。表題に付された角書(つのがき)を含めると『大人の見る繪本(えほん) 生れてはみたけれど』。東京の中心地から郊外へ引っ越してきたサラリーマン一家の物語。サラリーマンの父親(斎藤達雄(さいとうたつお)、1902―1968)は、近所に住む上司(坂本武(さかもとたけし)、1899―1974)の機嫌取りに精をだすが、小学生の息子二人(兄・菅原秀雄、弟・突貫小僧(とっかんこぞう)(本名青木富夫(あおきとみお)、1923―2004))は上司の息子も従えて、町内のガキ大将におさまった。ところが上司の家で開かれたホーム・ムービーの上映会で、社内でへつらう父親の姿が映される。息子二人は憤慨し、父親を激しく批難する。1930年代にサラリーマンら小市民の生活や悲哀を描いて流行した小市民映画の代表作であり、無声映画期に小津安二郎の評価を決定づけた作品でもある。後年の小津作品にはみられない流麗な移動撮影に加え、兄弟や親子が同じ動作をする小津特有の構図や、小津映画におなじみの芸達者な俳優および子役陣の好演を通して、やんちゃな子どもの視点から大人社会の普遍的な矛盾を鋭く突いた、ほろ苦い喜劇に仕上がっている。[冨田美香]
『フィルムアート社編・刊『小津安二郎を読む――古きものの美しい復権』(1982) ▽中村博男著『若き日の小津安二郎』(2000・キネマ旬報社) ▽貴田庄著『小津安二郎と映画術』(2001・平凡社) ▽田中眞澄著『小津安二郎のほうへ――モダニズム映画史論』(2002・みすず書房) ▽井上和男編『小津安二郎全集』(2003・新書館) ▽デヴィッド・ボードウェル著、杉山昭夫訳『小津安二郎――映画の詩学』新装版(2003・青土社) ▽田中眞澄著『小津安二郎周游』(2003・文芸春秋) ▽蓮實重彦著『監督 小津安二郎』増補決定版(2003・筑摩書房) ▽松竹映像版権室編・刊『小津安二郎映畫讀本――「東京」そして「家族」』(2003・フィルムアート社発売) ▽千葉伸夫著『小津安二郎と20世紀』(2003・国書刊行会) ▽岩本憲児編『家族の肖像――ホームドラマとメロドラマ』(2007・森話社) ▽ミツヨ・ワダ・マルシアーノ著『ニッポン・モダン――日本映画1920・30年代』(2009・名古屋大学出版会) ▽佐藤忠男著『完本 小津安二郎の芸術』(朝日文庫)』

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