Rakuten infoseek

辞書

【かん】

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典


かん
ring
1つの集合 R が2つの結合法(2項演算)をもつものとする。それらを加法および乗法というが,これらは抽象概念であって,必ずしも普通の足し算や掛け算のことではない。この R が次の条件を満たすとき,R は環であるという。(1) R は加法についてアーベル群である。(2) R は乗法について半群である。(3) R の任意の元 abc に対して,分配法則 abc)=abac,(bcabaca が成り立つ。さらに,乗法に関する単位元があれば 1で表わし,これを環の単位元といい,加法に関する単位元は 0で表わし,零元という。環の例としては,整数全体の集合,任意の体,閉区間[0,1]上の連続関数の集合などがある。すべての有理数の集合,すべての実数の集合,すべての複素数の集合は,単位元 1をもつ環の例である。これらは,乗法について交換法則が成立する場合,すなわち可換環の例であるが,非可換環の代表的なものとしては,正方行列全体のつくる行列環がある。

出典:ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
Copyright (c) 2014 Britannica Japan Co., Ltd. All rights reserved.
それぞれの記述は執筆時点でのもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

デジタル大辞泉

かん〔クワン〕【環】
円くめぐって終わりのない形。輪。
数学で、任意の元の間に二つの演算(加法・乗法)が定義され、加法について交換法則が、乗法について結合法則が、加法・乗法について分配法則が成り立つときの集合。
原子が環状に結合した構造。この構造を分子内にもつ化合物を環式化合物という。

出典:小学館
監修:松村明
編集委員:池上秋彦、金田弘、杉崎一雄、鈴木丹士郎、中嶋尚、林巨樹、飛田良文
編集協力:田中牧郎、曽根脩
(C)Shogakukan Inc.
それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

かん【環】[漢字項目]
常用漢字] [音]カン(クヮン)(漢) [訓]たまき わ めぐる
ドーナツ形の玉。また、輪の形をしたもの。「環状一環金環連環
周囲を取り巻く。ぐるりと回る。「環海環境環視循環
[名のり]たま
[難読]苧環(おだまき)

出典:小学館
監修:松村明
編集委員:池上秋彦、金田弘、杉崎一雄、鈴木丹士郎、中嶋尚、林巨樹、飛田良文
編集協力:田中牧郎、曽根脩
(C)Shogakukan Inc.
それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

世界大百科事典 第2版

かん【環】
ドーナツ状をした玉で円孔の半径と辺の幅の等しいものをいう。天子諸侯を封ずるときに賜る瑞玉(ずいぎよく)の一種服飾車輿(しやよ)の装飾にも用いられたが,耳環,指環,腕環などを指すこともある。環に似て辺の一部分の欠けているものを玦(けつ),平板で外辺の幅と円孔の直径とが等しいものを璧(へき)という。とくに,腰に帯びる環を玉環ともいう。《左伝》昭公十六年に〈宣子,環有り〉とあるのは,杜預の注によれば玉環のことであるという。

出典:株式会社平凡社
Copyright (c) Heibonsha Limited, Publishers, Tokyo. All rights reserved.

かん【環 ring】
整数や多項式,あるいは二次の行列には,和およびがある。このように,数学で扱う対象には,次に述べる公理を満たす二つの算法〈加法〉〈乗法〉をもつものが多い。そこで,集合Aに,その2元a,bの和abを対応させる加法および積abを対応させる乗法が定義され,それらが次の公理を満たすとき,Aを環と呼ぶ。
all>[公理]
 (1)加法に関し,加群をなす。 (a)abba (b)(ab)+ca+(bc) (a,b,cA)  (c)axbは必ずただ一つ解をもつ。

出典:株式会社平凡社
Copyright (c) Heibonsha Limited, Publishers, Tokyo. All rights reserved.

大辞林 第三版

かん【環】
円形の玉。
一つの集合において、その元(要素)の間に加法と乗法の二種類の算法が定義され、 (1) 加法について可換群である、 (2) 乗法について結合法則が成り立つ、 (3) 加法・乗法の間に分配法則が成り立つ、という三つの条件が満たされているとき、この集合を環という。
…を囲むの意で、接頭語的に用いる。 -太平洋

出典:三省堂
(C) Sanseido Co.,Ltd. 編者:松村明 編 発行者:株式会社 三省堂 ※ 書籍版『大辞林第三版』の図表・付録は収録させておりません。 ※ それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

日本大百科全書(ニッポニカ)


かん
ring
任意の二つの整数の和と積はまた整数になる。この整数の和と積の性質を調べ、整数全体の集合Zの性質としてとらえると、環という概念に達する。すなわち一般に、集合Aに和と積とよばれる2種類の二項演算が考えられ、和についてはAが可換群になり、積については、結合律
  (ab)c=a(bc) (a, b, c∈A)
を満たし、和と積の間には、分配律
  (a+b)c=ac+bc,
  a(b+c)=ab+ac
   (a, b, c∈A)
が成り立つとき、Aを環という。とくに環Aが積に関して、可換律
  ab=ba (a, b∈A)
を満たすとき、Aを可換環という。
 整数全体の集合Z、多項式全体の集合C[X]はともに可換環である。また、n次正方行列全体の集合Mn(C)は環であるが、n≧2のときMn(C)は可換環ではない。このように環になっている集合はたくさんある。これらの共通した性質を研究するのが環論である。環Aには、Zの0のように
  a+z=z+a=a (a∈A)
を満たす特殊な元zがある。このzを環Aの零元という。多項式環C[X]の零元は零多項式であり、行列環Mn(C)の零元はn次正方零行列である。
 環Aの零元以外の元全体の集合が積に関して群になっているとき、環Aを体(たい)という。有理数全体、実数全体、複素数全体はそれぞれ体であるが、Zは体でない。環Aに、Zの1のように
  ae=ea=a (a∈A)
を満たす特殊な元eがあるとき、このeを環Aの単位元という。
 環は単位元をもつとは限らないが、もてば、ただ一つである。Zは単位元1をもつが、偶数全体の集合は単位元をもたない可換環である。また、C[X]、Mn(C)の単位元は、それぞれ、定数多項式1、n次単位行列
  En=(δij)
   (δijはi=jなら1、i≠jなら0)
である。[菅野恒雄]

出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
(C)Shogakukan Inc.
それぞれの解説は執筆時点のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

精選版 日本国語大辞典

かん クヮン【環】
〘名〙
① まるい輪。
② 代数系の一つ。二つの演算(これらを加法、乗法と呼ぶことにする。通常の加法、乗法とは限らない)をもつ集合Rが、(イ)加法について可換群である、(ロ)乗法について、結合法則がなりたつ、(ハ)乗法の加法に対する分配法則がなりたつ、の三条件を満たすときをいう。整数全体や偶数全体は通常の加法、乗法に関して環である。

出典:精選版 日本国語大辞典
(C)Shogakukan Inc.
それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

」の用語解説はコトバンクが提供しています。

環の関連情報

他サービスで検索

(C)The Asahi Shimbun Company /VOYAGE MARKETING, Inc. All rights reserved.
No reproduction or republication without written permission.