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現象【げんしょう】

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

現象
げんしょう
phenomenon
ギリシア語の phainomenonに由来し,「現れ」ないし「現れるもの」の意。ギリシアでは現象は感性的認識の対象と考えられ,ヘラクレイトスプラトンでは存在それ自体とは区別され,パルメニデスなどエレア派では消極的な形で存在自体と区別されたが,アリストテレスでは現象界イデア界との二元論は否定され,一元論の立場が取られた。カントでは現象は時間,空間内に現出し,悟性形式としての範疇によって構成される可能的認識の対象であり,物自体は英知界の対象として認識不可能なものとされた。ヘーゲルでは世界は絶対的精神の弁証法的展開として考えられたが,しかし現象を離れて絶対者はありえないとされた。 E.フッサールでは現象は意識の相関者であり,現象学的還元による超越論的意識に世界の意味が問われた。

出典:ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
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デジタル大辞泉

げん‐しょう〔‐シヤウ〕【現象】
人間が知覚することのできるすべての物事。自然界や人間界に形をとって現れるもの。「不思議な現象が起こる」「一時的な現象」「自然現象
哲学で、
㋐本体・本質が外的に発現したもの。
カント哲学で、主観によって感性的に受容された内容が、時間・空間およびカテゴリーなどの主観にそなわる認識形式によって、総合的に統一されたもの。その背後にある物自体は不可知とされる。
フッサールの現象学で、意識に現前し、直接的に自らを現している事実。本体などの背後根拠との相関は想定しない。

出典:小学館
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世界大百科事典 第2版

げんしょう【現象 phenomenon】
一般に事象がわれわれに対して現れている姿を言うが,この現象については古来対立する二つの考え方がある。一つは,時空間的に制約されることのない本体(noumenon)あるいは本質を想定し,それが時空界に現れた姿を現象と考える。カントの現象概念がその典型であり,彼は物のそれ自体における姿つまり物自体と,われわれの感性にとってのその現れつまり現象とを区別し,われわれ有限な人間には物自体は認識不可能であり(不可知論),認識可能なのは現象界だけだと考えた。

出典:株式会社平凡社
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大辞林 第三版

げんしょう【現象】
人が感覚によってとらえることのできる一切の物事。自然界・人間界の出来事。現像。 「自然-」 「 -にとらわれる」
〘哲〙 感覚や意識にあらわれるもの。
〔phenomenon〕 (理性がとらえる「本体・本質」に対し)感覚のとらえる外面的・個別的なあらわれ。また、本体・本質が意識にあらわれた姿。
ドイツ Erscheinung〕 (その背後にある「物自体」に対し)カント哲学で、多様な感覚内容が認識の主観的形式によって規定されたもの。
ドイツ Phänomen〕 (背後にある「本体・物自体」を想定せずに)フッサールの現象学で、純粋意識に端的にたちあらわれる限りでの事象。 〔西周にしあまね訳「利学」(1877年)などで、哲学用語 phenomenon の訳語として用いられている〕

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日本大百科全書(ニッポニカ)

現象
げんしょう
PhnomenErscheinungドイツ語
形式的にはわれわれの意識主体に現れている事実一般をいう。しかし現れている「すがた」がどうとらえられるかによって、現象はさまざまな意味をもつ。
(1)知識の対象となるすべての経験的事実を意味し、自然現象、社会現象、心的現象などといわれる。
(2)「或(あ)るものの現れ」として、それが現れることによってそれ自身とは別のあるものを指示する。たとえば煙という現象は火を指示している。火の存在は「火の現れ」としての煙という現象を通して知ることができる。
(3)仮象としての現象。現象が本質と分離・対立させられ、現象は本質、真の実在を覆い隠すものとされる。現象のうちにはいかなる真理もないとされ、本質、真の実在は現象を通して((2)のように)ではなく、仮象としての現象を取り除くことによって認識される。
(4)カントにおける現象。現象と本質との区別という枠組みを前提し、しかし(3)と異なり本質そのものの認識は原理的に不可能であるとされる。カントにおいて人間が認識できるのは、直観形式である時間・空間とカテゴリーによって秩序づけられた現象のみである。現象は単なる仮象ではなく経験的実在である。物自体はけっして認識されえない。
(5)現象と本質との統一。ヘーゲルにおいて現象こそが本質を示すのであり、すべての本質は現象する。絶対者自身が現象することがヘーゲル哲学の根本をなしている。
(6)現象学における現象。ハイデッガーはギリシア語phainomenonに立ち返り、現象を「自己をそれ自身に即して示すもの」とした。現象はその背後にけっして現象とはならない本質を隠しているのではないが、現象がさしあたり隠蔽(いんぺい)されていることはありうる。現象学はその覆いを取り除き、現象を開示することをその課題とする。ハイデッガーにおいて、現象学の現象は存在者の存在であり、存在論は現象学としてのみ可能である。[細川亮一]

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精選版 日本国語大辞典

げん‐しょう ‥シャウ【現象】
〘名〙
① 直接、知覚することのできる、自然界人間界のできごと。また、そのありさま。顕象。げんぞう。
※内地雑居未来之夢(1886)〈坪内逍遙〉緒言「馬車の殖(ふえ)たると、フラフの増したると〈略〉まづ目にとまる現象(ゲンシャウ)なんめり」
哲学で、時間、空間の中に現われる対象。本体や物自体に対していう。
※利学(1877)〈西周訳〉下「又謂物、与之以為痛苦、共為全然離拆之現象也」
[語誌]明治時代になって、西周が②に挙例の「利学」などで、西洋の哲学用語 phenomenon の訳語として用い、それが「哲学字彙」に採用されてから一般化したと思われる。

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