Rakuten infoseek

辞書

物権【ぶっけん】

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

物権
ぶっけん
Sachenrecht; property
特定の人の行為 (給付) を媒介とせず,直接一定の物を支配できる権利。その性質上,一定の物の上に排他的に成立し (一物一権主義) ,何人に対しても主張できる絶対権とされる。このことから,債権のように当事者の契約によって自由に内容を決めて成立させることはできず,原則として,民法および特別法に認められた型にあてはまるものしか認められない (物権法定主義。民法 175) 。民法の認める物権には,所有権のほか各種の用益物権担保物権があり,ほかに漁業権,鉱業権,採石権 (他人の土地において岩石及び砂利を採取する権利。採石法4) など特別法によって物権と認められたもの,流水利用権 (水利権) ,温泉権 (温泉源を利用する権利,温泉法) など慣習法上の権利のうち判例によって物権と認められているものがある。

出典:ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
Copyright (c) 2014 Britannica Japan Co., Ltd. All rights reserved.
それぞれの記述は執筆時点でのもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

デジタル大辞泉

ぶっ‐けん【物権】
財産権の一。一定の物を直接に支配する権利。所有権・占有権地上権永小作権地役権質権抵当権留置権先取特権など。

出典:小学館
監修:松村明
編集委員:池上秋彦、金田弘、杉崎一雄、鈴木丹士郎、中嶋尚、林巨樹、飛田良文
編集協力:田中牧郎、曽根脩
(C)Shogakukan Inc.
それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

世界大百科事典 第2版

ぶっけん【物権 real right】
物権は,債権と並んで,財産権の二大領域を形成するので,債権(債権・債務)と対照してみるとき,その本質が明瞭になる。すなわち,物権は物を直接的・対世的に支配する権利である。これに対し,債権は特定人(債権者)が特定人(債務者)に対し一定の給付を請求する権利である。例えば,物権の代表的なものは所有権であるし,債権の最もポピュラーなものは金銭債権であるから,両者を念頭に置いて考慮してみよう。まず,物権の客体は物の支配である。

出典:株式会社平凡社
Copyright (c) Heibonsha Limited, Publishers, Tokyo. All rights reserved.

大辞林 第三版

ぶっけん【物権】
特定の物を直接に支配する権利。所有権・占有権・地上権・永小作権・地役権・入会権・留置権・先取特権・質権・抵当権などが民法上認められており、また、譲渡担保権・温泉権などが判例上・慣習法上認められている。

出典:三省堂
(C) Sanseido Co.,Ltd. 編者:松村明 編 発行者:株式会社 三省堂 ※ 書籍版『大辞林第三版』の図表・付録は収録させておりません。 ※ それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

日本大百科全書(ニッポニカ)

物権
ぶっけん
私法上、物を直接に支配する権利をいう。所有権がその代表である。債権とともに財産権中の主要部分を構成する。[高橋康之]

債権との差異

債権は、金銭の支払いや洋服の縫製などのような特定の行為を特定の人(債務者)に対して要求することのできる権利である。つまり債権はその実現にかならず人の行為を必要とするのであって、そこに物(金銭、洋服)が介入しても、債権者がその物に対して直接の権利をもつわけではない。これに対して、物権は物を直接に支配する権利であるから、物権をもっている者は、その実現のために他人の行為を介す必要はない。そこで、物権は特定の人だけに対する権利ではなく、天下万人に対する権利だといわれる。また、物権には排他性があり、債権には排他性がないといわれている。これは、一つの物に同じ内容の物権は二つ以上成立しえないが、同一債務者に対して同一の内容の債権が二つ以上成立することはありうるということである。物権と債権との以上の差異は理念的なものであって、前述の基準が現実に貫かれるわけではかならずしもない。たとえば、一般先取特権は物権であるが、排他性はない。また、賃借権は民法上は債権であるが、土地の賃借権は借地保護立法により、物権である地上権とほとんど異ならないようになった(賃借権の物権化)。[高橋康之]

物権の種類

債権は、原則として、その内容を当事者が自由に決定できる。これに対して、物権は、その内容が法律で定められており、それとは異なる内容の物権を当事者が創設することはできない。
 その主要なものは民法第二編に規定されている。物を全面的に支配する権利である所有権、物を限られた方向においてだけ利用する用益物権(地上権、永小作権、地役権、入会(いりあい)権)、物を債権の担保として支配する担保物権(留置権、先取特権、質権、抵当権)とに大別される。そのほか特殊な物権として占有権がある。[高橋康之]

物権の対象

物権の対象は原則として有体物に限られる(民法85条)。民法上、有体物は動産と不動産とに分かれ(同法86条)、両者は物権法上かなり異なった取扱いを受ける。物権の対象となる物は、特定の、独立した物でなければならない。たとえば、単に100平方メートルの土地についての所有権というのは成立しない。どこの土地であるかが定められて、初めて土地は所有権の対象となる。また、数個の物のうえに1個の物権が成立することもない(一物一権主義)。もっとも、このあとの点は、多数の物の集まりである工場などの企業施設全体を担保にする財団抵当の制度で修正を受けている(財団抵当の制度は、企業施設全体を1個の物であるとし、それに抵当権を認めるものである。この意味においては、財団抵当の制度は一物一権主義に従っているともいえる)。[高橋康之]

物権の効力

物権に与えられる一般的な効力には、優先的効力と物権的請求権とがある。
(1)優先的効力 同一の物のうえに物権と債権とが重なって成立した場合には、物権が優先する。たとえば、甲が乙に対して物を賃貸し、ついで甲が丙に対してそれを売った場合には、丙の所有権が乙の賃借権に優先し、丙は乙に対してその物の引渡しを請求できる(ただし不動産の賃貸借には例外もある)。前記とは異なって、同一の物のうえに内容の衝突する二つの物権が重なって成立した場合には、先に成立したものが優先する。たとえば、ある土地に抵当権が設定され、そのあとで地上権が設定された場合に、抵当権の実行によって地上権は効力を失う。これは、物権の排他性、つまり同一の物のうえに同一内容の物権は重ねて成立しないという原則の結果である。もっとも、排他性は、権利の成立のときではなく、対抗要件が備えられたときに生ずるのが原則である。したがって、不動産については登記(民法177条)、動産については引渡し(同法178条)を先に得た者が優先することになる。
(2)物権的請求権 物権の内容の完全な実現が妨害され、また妨害されるおそれがある場合には、物権をもっている者は、妨害者に対してその妨害の排除を請求することができる。[高橋康之]

国際私法上の物権

日本の国際私法典である「法の適用に関する通則法」(平成18年法律第78号)によれば、動産および不動産に関する物権の成立・効力の準拠法はその目的物の所在地法とされている(同法13条1項)。ただし、物権の得喪は、その原因となる事実が完成した当時におけるその目的物の所在地法によるので(同法13条2項)、A国にあった当時に動産に対して担保物権が設定され、後にB国に移動した場合には、その担保物権が成立したか否かはA国法により、その効力はB国法によることになる。物権は対世的な効力があるため、物権法定主義といわれる原則が妥当しているのが一般的であり、B国法においてA国法上の担保物権を認めることはできず、B国法上の類似の担保物権があれば、それに置き換えてB国法上のその類似の担保物権としての効力が与えられることになる。他方、B国法上の類似の担保物権がなければ、B国にその動産がある間は効力を認められず、その動産がA国に戻るか、または類似の担保物権を認めるC国に移動した場合にふたたび効力が与えられることになる。
 船舶、航空機のように移動を常とする動産については、そのときどきの所在地法を適用することは法律関係の安定性を害することになるため、それらの物権問題は一般に登録国法(船舶については旗国法)によるとされている。また、日本の判決によれば、自動車を運行の用に供し得る状態の場合と、ナンバープレートがつけられていない場合など運行の用に供し得ない状態の場合に分け、前者の場合にはその自動車の利用の本拠地法を適用するが、後者の場合には所在地法によるとされている(最高裁判所平成14年10月29日判決、民集56巻8号1964頁)。
 国際裁判管轄の局面では、不動産の物権を目的とする訴訟についてはその所在地国の専属管轄とするとのルールがみられる。ヨーロッパ連合(EU)の「民事及び商事に関する裁判管轄及び判決の承認・執行に関する規則(2000)」(ブラッセル規則と称される)第22条第1項はこのことを定めている。これに対して、日本の民事訴訟法の国際裁判管轄の専属に関する規定(3条の5)には、日本に所在する不動産の物権を目的とする訴訟は含まれていない。[道垣内正人]

出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
(C)Shogakukan Inc.
それぞれの解説は執筆時点のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

精選版 日本国語大辞典

ぶっ‐けん【物権】
〘名〙 特定の物を、他人の行為を媒介とせずに直接支配できる権利。債権と並んで財産権の主要なものとされ、現存の特定した独立の物の上にだけ成立する。所有権・占有権・地上権・永小作権・地役権・入会権・留置権・先取特権・質権・抵当権の一〇種類。公示方法(登記・引渡)によって第三者に対して権利を主張できる。
※明六雑誌‐三五号(1875)夫婦同権弁〈津田真道〉「民法の規則に於て人権物権契約の権義を掲載したる条欵」

出典:精選版 日本国語大辞典
(C)Shogakukan Inc.
それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

物権」の用語解説はコトバンクが提供しています。

物権の関連情報

他サービスで検索

「物権」のスポンサー検索

(C)The Asahi Shimbun Company /VOYAGE MARKETING, Inc. All rights reserved.
No reproduction or republication without written permission.