Rakuten infoseek

辞書

熱電子放出【ねつでんしほうしゅつ】

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

熱電子放出
ねつでんしほうしゅつ
thermoelectronic emission
高温に加熱された固体表面から電子が放出される現象金属または半導体などの固体が加熱されて高温になると,固体内の自由電子の運動は激しくなり,表面のエネルギー障壁を越えて外へ飛出すものが出てくる。これを熱電子と呼び,温度が高いほど毎秒放出される電子数は多い。 1883年 T.エジソン白熱電球フィラメントの近くに別の電極を置くと,この間に電流が流れることを発見した。これをエジソン効果といい,熱電子放出の研究のりとなった。 1910年に O.リチャードソンは熱電子放出を理論的に説明し,その後の研究により熱電子放出による電流密度 i を表わす次のリチャードソン=ダッシュマンの式を得た。

iAT2 exp (-eφ/kT)

A は定数,T は絶対温度,e は電気素量,φ は仕事関数,kボルツマン定数である。

出典:ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
Copyright (c) 2014 Britannica Japan Co., Ltd. All rights reserved.
それぞれの記述は執筆時点でのもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

世界大百科事典 第2版

ねつでんしほうしゅつ【熱電子放出】

出典:株式会社平凡社
Copyright (c) Heibonsha Limited, Publishers, Tokyo. All rights reserved.

日本大百科全書(ニッポニカ)

熱電子放出
ねつでんしほうしゅつ
物質を高温に加熱すると、電子が放出される現象。1884年エジソンが、真空電球に2本のフィラメントを入れ加熱すると、接続していない2本のフィラメント間に容易に電流が流れることからこの現象を発見し、また1901年イギリスのリチャードソンが系統だてた理論を発表したので、エジソン効果あるいはリチャードソン効果ともよぶ。金属に例をとると、自由電子は金属中で自由に動くことができるが、金属より外に出るには、一種の障壁があって容易に出られない。しかし高い運動エネルギーをもった電子は、その壁を乗り越えて外に出ることができる。この壁の高さをその金属の仕事関数Wといい、この仕事関数より大きい運動エネルギーをもった電子は、金属の外に出ることができる。金属の温度を絶対温度でTとすると、金属から単位時間に放出される熱電子の数Ne
  NeAT2e-W/kT
の形に表される。この式はダッシュマンの公式といい、eは電気素量、Aは係数、kはボルツマン定数となっている。この式によれば、金属の温度が高いほど、また仕事関数が小さいほど、放出される熱電子の数が多いことになる。
 熱電子放出をもっとも直接に応用して発達したものに真空管がある。それまでは気体中の放電によってしか取り出せなかった電子の流れを、真空中でも金属を加熱さえすれば容易に取り出せることを利用し、その電子の流れを第三電極で制御する装置が真空管である。仕事関数の小さい物質としてセシウム、バリウム、ストロンチウムなどの金属やその酸化物があり、これらが真空管やブラウン管にも用いられている。蛍光ランプ、高圧水銀ランプなどのアーク放電においても熱電子放出の現象が寄与しており、電極には酸化バリウムなどの仕事関数の低い酸化物が塗布されている。[東 忠利]

出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
(C)Shogakukan Inc.
それぞれの解説は執筆時点のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

精選版 日本国語大辞典

ねつでんし‐ほうしゅつ ‥ハウシュツ【熱電子放出】
〘名〙 金属または半導体を高温に熱すると、固体内の電子が熱的に励起(れいき)されて運動が盛んになり、物体表面から飛び出す現象。エジソン効果。リチャードソン効果。熱電子効果。

出典:精選版 日本国語大辞典
(C)Shogakukan Inc.
それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

化学辞典 第2版

熱電子放出
ネツデンシホウシュツ
thermionic emission

真空中で物体を熱してその内部の自由電子に運動のエネルギーを与えると,電子が仕事関数Wに打ち勝って物体の外に出てくる現象.最初,T. Edison(1883年)が発見したのでエジソン効果ともいう.一方,W. Richardson(1902年)が理論を考えたが,のちに自由電子のエネルギー分布にパウリの原理を取り入れた結果は放射電子の数を A cm-2 単位で表すと,

となる.ここで,Tは絶対温度,kボルツマン定数A(A cm-2 K-2)は実験的には物質に依存してPt(17000),W(60~100),Th(70),Ba(60),Cs(162)の程度である.よく知られたタングステンフィラメントや,低温でもよく電子を放射する性質がある酸化物被覆陰極が熱電子放出源としてよく用いられている.[別用語参照]熱陰極

出典:森北出版「化学辞典(第2版)」
東京工業大学名誉教授理博 吉村 壽次(編集代表)
信州大学元教授理博 梅本 喜三郎(編集)
東京大学名誉教授理博 大内 昭(編集)
東京大学名誉教授工博 奥居 徳昌(編集)
東京工業大学名誉教授理博 海津 洋行(編集)
東京工業大学元教授学術博 梶 雅範(編集)
東京大学名誉教授理博 小林 啓二(編集)
東京工業大学名誉教授 工博佐藤 伸(編集)
東京大学名誉教授理博 西川 勝(編集)
東京大学名誉教授理博 野村 祐次郎(編集)
東京工業大学名誉教授理博 橋本 弘信(編集)
東京工業大学教授理博 広瀬 茂久(編集)
東京工業大学名誉教授工博 丸山 俊夫(編集)
東京工業大学名誉教授工博 八嶋 建明(編集)
東京工業大学名誉教授理博 脇原 將孝(編集)

Copyright © MORIKITA PUBLISHING Co., Ltd. All rights reserved.
それぞれの項目は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

デジタル大辞泉

ねつでんし‐ほうしゅつ〔‐ハウシユツ〕【熱電子放出】

出典:小学館
監修:松村明
編集委員:池上秋彦、金田弘、杉崎一雄、鈴木丹士郎、中嶋尚、林巨樹、飛田良文
編集協力:田中牧郎、曽根脩
(C)Shogakukan Inc.
それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

熱電子放出」の用語解説はコトバンクが提供しています。

熱電子放出の関連情報

他サービスで検索

(C)The Asahi Shimbun Company /VOYAGE MARKETING, Inc. All rights reserved.
No reproduction or republication without written permission.