Rakuten infoseek

辞書

【うるし】

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典


うるし
lacquer
ウルシ (漆)樹皮木質部の間から分泌される乳白色の粘りけのある液体。樹皮に傷をつけて採取する。 25~30℃,湿度 75~85%で固する。このためには特別な室 (むろ) によって人工的に適温湿を与えなければならない。乾固した漆は光沢が美しく,酸,アルカリに対し安定で,防湿性,防腐性があり,接着力も強い。この性質により塗装剤として工芸品に利用される。中国では戦国時代にかなり発達した漆器が発見されており,日本では縄文時代末期に接着剤として使用された例がある。顔料を混ぜて,黄,緑,褐色,黒などの彩漆 (いろうるし) とし,これで漆絵を描く。蒔絵は常温常湿で固化しにくい漆の性質を利用し,塗りたての漆の上に金銀粉を蒔いて文様をつくり,室に入れて乾固させたもの。このほか乾漆のように彫塑に用いることもあり,きわめて用途が広い。

出典:ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
Copyright (c) 2014 Britannica Japan Co., Ltd. All rights reserved.
それぞれの記述は執筆時点でのもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

デジタル大辞泉

うるし【漆/漆樹】
ウルシ科の落葉高木。山野にみられ、葉は羽状複葉で、小葉は楕円形。雌雄異株で、初夏、黄色い小花が総状に咲く。果実はほぼ球形で白黄色。樹液から塗料をつくり、果実からは蝋(ろう)をとる。中国の原産で、古くから日本でも栽培。皮膚がかぶれることがある。ウルシ科双子葉植物木本で、樹脂道をもち、約600種が主に熱帯地域に分布ハゼノキヌルデマンゴーなども含まれる。 花=夏 実=秋》
ウルシの樹皮に傷をつけて採取した樹液(生漆(きうるし))に、油・着色剤などを加えて製した塗料。乾燥すると硬い膜を作り、水や酸に強い。

出典:小学館
監修:松村明
編集委員:池上秋彦、金田弘、杉崎一雄、鈴木丹士郎、中嶋尚、林巨樹、飛田良文
編集協力:田中牧郎、曽根脩
(C)Shogakukan Inc.
それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

しつ【漆】[漢字項目]
常用漢字] [音]シツ(漢) シチ(呉) [訓]うるし
〈シツ〉木の名。ウルシ。また、それから採った塗料。「漆器漆黒乾漆金漆膠漆(こうしつ)丹漆
〈うるし〉「漆絵生漆(きうるし)
[難読]漆喰(しっくい)可漆(ベクうるし)

出典:小学館
監修:松村明
編集委員:池上秋彦、金田弘、杉崎一雄、鈴木丹士郎、中嶋尚、林巨樹、飛田良文
編集協力:田中牧郎、曽根脩
(C)Shogakukan Inc.
それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

大辞林 第三版

うるし【漆】
ウルシ科の落葉高木。中国・インド原産。日本では古くから植栽される。葉は大形の羽状複葉で枝先に互生する。六月頃、葉腋に黄緑色の小花からなる円錐花序をつける。秋、黄褐色の球形の実がなる。雌雄異株。葉などに触れるとかぶれることがある。樹液から塗料、実から蠟ろうをつくる。
の乳状の樹液をいう。採取したままのものを生漆きうるしといい、成分の80パーセントはウルシオール。空気中では褐色に変色する。これを加温して水分を除き顔料などを加えたものを製漆せいうるしといい、塗料として用いる。

出典:三省堂
(C) Sanseido Co.,Ltd. 編者:松村明 編 発行者:株式会社 三省堂 ※ 書籍版『大辞林第三版』の図表・付録は収録させておりません。 ※ それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

日本大百科全書(ニッポニカ)


うるし
Japanese lacquer
天然樹脂の油性塗料の一つ。日本、中国、ベトナムなどに産するウルシ科の植物ウルシの表皮に切り傷をつけると、傷口から乳白色の乳濁状の樹脂を分泌する。これを生漆(きうるし)という。主成分はウルシオールで、そのほかに似た構造をもつラッコールやチオコールなどや、水分と少量のゴム質を含んでいる。採取の時期や方法、産地によっていろいろな名称があるが、なかでも盛夏から彼岸にかけて採取するものを盛漆(さかりうるし)といい、これはウルシオールが多く、水分が少ない良質のもので、とれる量も多い。日本産と中国産が良品であり、ほかのものはやや劣る。しかし最近では良品のものは得にくくなっている。[垣内 弘]

製法

生漆は、そのまま塗料にしても光沢が悪く、しかも酸化酵素ラッカーゼにより乾燥が早すぎるので、各用途に応じて加工(変性)が必要である。採取直後の生漆は、空気に触れると固化(樹脂化)する。生漆を木窯(きがま)に入れて常温でかき混ぜ、さらに38~40℃で数時間保存すると黒目漆(くろめうるし)が得られる。この工程を素黒目(すぐろめ)といい、主反応は酸化と脱水と考えられている。このほか、あまに油などの油や、種々の顔料(がんりょう)を加えて最終製品の精漆(せいうるし)が得られる。代表的なものに黄鉛(おうえん)を加えた黄漆(きうるし)があり、美しい黄色の塗料である。なお、生漆を70℃程度に加熱すると、ラッカーゼが作用しなくなり、固化しにくくなる。しかし130℃程度に熱すると、重合反応をおこして固化する。これを焼漆(やきうるし)という。[垣内 弘]

用途

漆は日本や中国で古くから金属や木工塗装用として用いられてきた。とくに黒目漆は漆器類に現在でも珍重されている。漆の塗膜は硬く、付着性、耐水性、光沢などに優れているが、耐候性に乏しく乾燥が遅いなどの欠点がある。生漆からゴム質を除いて加工した漆は焼付け塗料としても用いられる。しかし安価な合成樹脂塗料の発達に伴い、高価で塗布技術に熟練を要する漆は、おもに美術工芸品に使用されている程度で、その使用量は減少している。
 なお、漆を手や顔につけるとウルシオールの作用でかぶれを生ずる。[垣内 弘]
『松田権六著『うるしの話』(岩波新書)』

出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
(C)Shogakukan Inc.
それぞれの解説は執筆時点のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

動植物名よみかた辞典 普及版

漆 (ウルシ)
学名:Rhus verniciflua
植物。ウルシ科の落葉高木,薬用植物

出典:日外アソシエーツ「動植物名よみかた辞典 普及版」
(C) Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
それぞれの項目は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

精選版 日本国語大辞典

うるし【漆】
〘名〙
① ウルシ科の落葉高木。中央アジア原産で奈良時代以前に中国経由で日本に渡来し広く各地で栽培されるようになった。高さ七~一〇メートルに達する。葉は卵形か楕円形の小葉が七~一九枚羽状に並び、秋、紅葉する。雌雄異株で、初夏、黄緑色の小花が円錐状に集まって咲く。実は直径七ミリメートルぐらいのゆがんだ球形で一〇月頃熟し、これからろうをとる。樹皮からは漆汁をとり塗料とするほか、乾漆(かんしつ)は彫刻材、駆虫剤、せき止め薬とする。漆汁はウルシオールなどの有毒成分を含み、触れると皮膚がかぶれる。材は黄色で、水湿に強く、箱や挽物細工に用いる。漢名、漆樹。
▼うるしの花《季・夏》
▼うるしの実《季・秋》
※天理本金剛般若経集験記平安初期点(850頃)「児、小時漆(ウルシ)に患(かぶ)れて」
② ①の樹皮を傷つけ、流れ出る樹脂を採り、その漆汁に乾燥剤と着色剤とを加えてつくった塗料。普通乾くと光沢ある黒色となり、熱、酸などに強い。
※書紀(720)大化二年三月(北野本訓)「棺(き)は際会(ひまあひめ)に漆(ウルシぬ)れ」

出典:精選版 日本国語大辞典
(C)Shogakukan Inc.
それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

旺文社日本史事典 三訂版


うるし
塗料原料となる植物
樹皮から漆汁をとり,から木蠟 (もくろう) をとる。すでに縄文時代晩期の出土品漆塗の木器があり,大宝律令では園地に漆栽培の規定がある。漆器・漆絵・乾漆像など古代貴族の間で盛んに使用され,中世以降は武具馬具にも使われた。江戸時代には四木三草 (しぼくさんそう) の一つに数えられ,漆年貢が課せられた。会津藩の栽培は有名。

出典:旺文社日本史事典 三訂版
執筆者一覧(50音順)
金澤利明 竹内秀一 藤野雅己 牧内利之 真中幹夫
 
Copyright Obunsha Co.,Ltd. All Rights Reserved.
それぞれの項目は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

」の用語解説はコトバンクが提供しています。

漆の関連情報

他サービスで検索

(C)The Asahi Shimbun Company /VOYAGE MARKETING, Inc. All rights reserved.
No reproduction or republication without written permission.