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泉鏡花【いずみ きょうか】

美術人名辞典

泉鏡花
小説家。石川県生。名は鏡太郎。明治23年上京、尾崎紅葉に師事する。観念小説から出発して、浪漫的・神秘的作風に転じ、独自の境地を開く。著書に『照葉狂言』『高野聖』等。昭和14年(1939)歿、67才。

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デジタル大辞泉

いずみ‐きょうか〔いづみキヤウクワ〕【泉鏡花】
[1873~1939]小説家劇作家。石川の生まれ。本名、鏡太郎。尾崎紅葉門下。繊細優雅な文体で、独特の浪漫的境地を開いた。小説「夜行巡査」「照葉(てりは)狂言」「高野聖(こうやひじり)」「婦系図(おんなけいず)」「歌行灯(うたあんどん)」、戯曲夜叉ヶ池」など。

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus

泉鏡花 いずみ-きょうか
1873-1939 明治-昭和時代前期の小説家。
明治6年11月4日生まれ。尾崎紅葉に師事。「夜行巡査」「外科室」で脚光をあびる。明治29年発表の「照葉(てりは)狂言」から幻想的でロマンにみちた独自の世界をきずいた。代表作に「高野聖(こうやひじり)」「婦(おんな)系図」「歌行灯(うたあんどん)」など。芸術院会員。昭和14年9月7日死去。67歳。石川県出身。北陸英和学校中退。本名は鏡太郎。
【格言など】要するにお化は私の感情の具体化だ(「予の態度」)

出典:講談社
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世界大百科事典 第2版

いずみきょうか【泉鏡花】
1873‐1939(明治6‐昭和14)
明治・大正の小説家。金沢生れ。本名鏡太郎。父清次は腕のいい彫金師で,母鈴は江戸葛野流の鼓打ちの娘。鏡花文学には父方の工人の血と,母方の芸能の血とが一つになって流れていた。1882年母が死亡。84‐87年まで,金沢のミッションスクール北陸英和学校に学ぶ。やがて貸本などにより多くの小説類を耽読。90年小説家たらんとして上京,91年尾崎紅葉の門人となる。93年京都《日出新聞》に《冠弥左衛門》を,94年には《読売新聞》に《義血俠血》(上演名《滝の白糸》)を連載,95年《夜行巡査》《外科室》を当時最大の文芸誌の一つであった《文芸俱楽部》に発表するに及んで観念小説と名づけられ,新進作家として脚光をあびる。

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大辞林 第三版

いずみきょうか【泉鏡花】
1873~1939) 小説家。石川県生まれ。本名、鏡太郎。尾崎紅葉に入門。巧みな文体で幻想美にみちた特異な浪漫的世界を展開した。代表作「照葉狂言」「高野聖」「婦系図」「歌行灯」など。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

泉鏡花
いずみきょうか
[生]1873.11.4. 金沢
[没]1939.9.7. 東京
小説家。本名,鏡太郎。父は名人肌の彫金師,母は能楽師の家系で,ともに彼の文学に影響を与えている。 1890年上京,翌年尾崎紅葉の門に入り,のちに『滝の白糸』として舞台化される『義血侠血』 (1894) を書いた。『夜行巡査』 (95) ,『外科医』 (95) などで川上眉山とともに観念小説の代表作家として文名を得たが,以後は浪漫的な作風に転じ,『照葉 (てりは) 狂言』 (96) ,『湯島詣』 (99) などで女性への思慕を,『高野聖 (こうやひじり) 』 (1900) で幻想と神秘の世界を,『歌行灯 (うたあんどん) 』 (10) で芸道の神髄を叙し,尾崎紅葉,幸田露伴以後の文壇に独自の存在を示した。しかし,自然主義の勃興に伴い不遇となり,日本の伝統美を受継ぐ最後の物語作家として再認識されたのは大正中期以後である。ほかに長編『婦系図 (おんなけいず) 』や,『薄紅梅』 (37) ,『縷紅新草 (るこうしんそう) 』 (39) など。

出典:ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
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日本大百科全書(ニッポニカ)

泉鏡花
いずみきょうか
(1873―1939)
小説家。明治6年11月4日、石川県金沢生まれ。本名鏡太郎。父清次は腕のいい彫金師で、工名は政光。母鈴は江戸葛野(かどの)流の大鼓(おおかわ)の家中田氏の娘で、鈴の兄松本金太郎は宝生(ほうしょう)流のシテ方として聞こえた能楽師、その子長(ながし)も能の名人として高名である。鏡花文学には、父方の工芸の血と、母方の芸能の血が一つになって流れている、とみなしてよいだろう。1882年(明治15)母鈴は次女やゑ出産後死亡、繊細な神経をもつ少年鏡太郎は心に深い傷を受け、母を恋うる感情は、彼の作品の主要なテーマの一つとなる。
 1884年金沢の高等小学校に入学、のちに北陸英和学校に転じ、やがて文学書に親しむようになる。とくに尾崎紅葉(こうよう)の作品に感嘆し、1890年17歳で上京、1891年牛込(うしごめ)横寺町の紅葉宅を訪ねて入門を許され、玄関番として住み込む。1893年京都『日出(ひので)新聞』に漣山人(さざなみさんじん)閲、泉鏡花著として『冠弥左衛門(かんむりやざえもん)』を連載、1894年「なにがし」の署名で『義血侠血(きょうけつ)』を『読売新聞』に掲げる。後者は『滝の白糸』という題名で新派の重要な演目の一つとなる。1894年父清次死去、祖母や弟を抱え生活苦を味わう。1895年『夜行巡査』『外科室』を当時最大の文芸誌『文芸倶楽部(くらぶ)』に発表、一躍新進作家として脚光を浴びる。「鏡花の『夜行巡査』着筆思想大いに見るに足る。前途多望の筆力紙面に躍る」(『文学界』「時文」1895.5)と評する匿名時評も現れた。1896年『照葉(てりは)狂言』を『読売新聞』に連載、それまでの「観念小説」とよばれる鋭い感覚と批評性をはらんだ世界から、少年を主人公とする清新な叙情をたゆたわせる新しい境地へ転じ、『化鳥(けちょう)』(1897)、『辰巳巷談(たつみこうだん)』(1898)、『湯島詣(ゆしまもうで)』(1899)、『高野聖(こうやひじり)』(1900)等々、立て続けに問題作を発表するに及んで、師紅葉を超えるほどの人気作家の地位を獲得する。
 1906年(明治39)ごろより活発になる自然主義文学隆盛の影響で、文壇的にはいささか影の薄い存在となるが、能楽や江戸文学への造詣(ぞうけい)の深い鏡花の世界は、母恋いの情、鮮やかな色彩性、夢幻性をあわせもち、この不遇の間にも『春昼(しゅんちゅう)』(1906)、『草迷宮』(1908)といった幻想的な作品に特色をみせる。また『婦系図(おんなけいず)』(1907)、『白鷺(しらさぎ)』(1909)、『歌行燈(うたあんどん)』(1910)、『日本橋』(1914)といった風俗性の濃い作品においても円熟の境地をみせている。大正期に入っては『夜叉(やしゃ)ヶ池』(1913)、『天守物語』(1917)などの戯曲の世界でも、俗世間の迫害に耐える女たちの哀れさを、華やかな幻想性に包み込んで描きあげる。1899年(明治32)、のちに夫人となるすず(神楽坂(かぐらざか)の芸妓(げいぎ)桃太郎)を知り、やがて同棲(どうせい)、紅葉の怒りにあって一度は離別したことは有名。『縷紅新草(るこうしんそう)』(1939)を最後として、昭和14年9月7日永眠した。墓は東京・雑司ヶ谷(ぞうしがや)墓地にあり、戒名幽幻院鏡花日彩居士。前近代の文化とも、また土俗の根とも深くつながるその世界は、今日再評価の声が高く、文学史の書き換えの問題ともあわせて、さまざまな論議の対象となっている。[笠原伸夫]
『『鏡花全集』全29冊(1973~76・岩波書店) ▽村松定孝著『ことばの錬金術師泉鏡花』(社会思想社・現代教養文庫) ▽笠原伸夫著『泉鏡花――美とエロスの構造』(1976・至文堂) ▽三田英彬著『泉鏡花の文学』(1976・桜楓社)』

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精選版 日本国語大辞典

いずみ‐きょうか【泉鏡花】
小説家。本名、鏡太郎。石川県金沢に生まれる。尾崎紅葉の門下。はじめ「夜行巡査」「外科室」などの観念小説を発表、のち「湯島詣」「高野聖」で作風の完成をみ、神秘的、浪漫的世界を展開した。ほかに「照葉狂言」「歌行燈」「婦系図」「滝の白糸」など。明治六~昭和一四年(一八七三‐一九三九

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