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水滸伝【すいこでん】

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

水滸伝
すいこでん
Shui-hu-zhuan
中国の口語章回小説。元末明初の施耐庵 (したいあん) の作。羅貫中との共著ともされる。『忠義水滸伝』ともいう。『宋史』に,北宋末の宣和3 (1121) 年,宋江の率いる盗賊団がかなりの勢力をもった,とある記事を小説化したもの。この史実は南宋初から講談に取上げられ,元代には戯曲にもなり,その過程で内容が伝説化し豊富になって,『大宋宣和 (せんな) 遺事』として一応の完成をみるが,本書はそれをさらにふくらませ,従来 36人であった盗賊団の豪傑を 108人とした。彼らはふとしたはずみで盗賊となり,運命の糸に引かれて梁山泊に集結するが,朝廷の帰順策に陥って各地で次々と死んでいく。現存のテキストは,100回本,110回本,115回本,120回本などがあり,また文章にも繁簡があるなど,多くの系統があって,いずれが原本か確定しがたいが,一般には清の金聖嘆が独自の解釈によって後半をまったく削り,詳しい評注をつけた 70回本が流布している。反権力的な傾向により,しばしば禁書となったが広く愛読され,現在でも農民革命の文学として高く評価されている。『三国志演義』『西遊記』『金瓶梅』とともに「四大奇書」に数えられる。

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デジタル大辞泉

すいこでん【水滸伝】
中国の長編口語小説。四大奇書の一。清の金聖嘆(きんせいたん)が後半部を切り捨てた70回本のほかに100回本・120回本がある。作者は施耐庵(したいあん)羅貫中(らかんちゅう)らというが不明。明代初めの成立説が有力。宋の徽宗(きそう)の時代、宋江(そうこう)ら108人の豪傑の梁山泊(りょうざんぱく)への結集と、その後の悲壮な運命を描く。
北方謙三の長編歴史小説。平成11年(1999)から平成17年(2005)にかけて「小説すばる」誌で連載。平成17年(2005)、第9回司馬遼太郎賞受賞。

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デジタル大辞泉プラス

水滸伝
中国のテレビドラマ。2011年7月放映開始(全86話)。出演、チャン・ハンユー、リー・ゾンハン、イエン・クアンほか。歴史ロマン。

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水滸伝
横山光輝による漫画作品。中国・宋を舞台に、腐敗した世の乱れを嘆く百八の英雄の活躍を描く。『希望ライフ』『希望の友』1967年~1971年に連載。潮出版社希望コミックス全8巻。

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世界大百科事典 第2版

すいこでん【水滸伝 Shuǐ hǔ zhuàn】
中国の長編口語小説。施耐庵(1296‐1370)と羅貫中(1364生存)によってまとめられたという。《忠義水滸伝》とも標題する。北宋末年,山東省の湖,梁山泊の水辺すなわち水滸に集まった実在の群盗にもとづく物語で,南宋から元にかけて,断片的に講談や演劇でとりあげられていたものを,一つにまとめた。現在最古の版本は,100回から成るが,およそ4部に分かれる。(1)宋江を首領とする108人の豪傑が,それぞれ事情を異にしながら,官吏や土豪に圧迫されて群盗の仲間入りをせざるを得なくなる。

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大辞林 第三版

すいこでん【水滸伝】
中国、明代の口語体の長編小説。四大奇書の一。一〇〇回・一二〇回・七〇回(清の金聖嘆が物語の後半を削除して改作したもの)の諸本がある。施耐庵したいあん作(羅貫中らかんちゆうが合作、または改訂したとする説もある)。成立年代未詳。宋江そうこうを首領とする一〇八人の豪傑が山東省の梁山泊りようざんぱくを根城にして官軍に抵抗し、やがて滅びていく物語。「宋史」にも載っている宋江の反乱が、説話や芝居・小説などに脚色されて民間に流布していたのを集大成したもの。

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日本大百科全書(ニッポニカ)

水滸伝
すいこでん
中国、明(みん)代の長編小説。北宋(ほくそう)の末、徽宗(きそう)の宣和(せんな)3年(1121)淮南(わいなん)で宋江(そうこう)らが乱を起こし、一時大いに勢力を振るったが、やがて敗戦投降したとの記事が『宋史』にみえる。この宋江の乱を題材とした講釈がしだいに発展し、元末明初にいちおうの形を整えたものが『水滸伝』とよばれる。水滸とは水のほとりの意味で、宋江らが梁山泊(りょうざんぱく)という湖水に根城を構えたことに基づく。四大奇書の一つ。『水滸伝』の版本は70回本、100回本、120回本の3種に大別される。なかでも120回本が水滸説話のもっとも発展した姿である。いま、これによってその「あらすじ」を紹介してみよう。物語は七つの部分からなる。[大塚秀高]

あらすじ

第1回は物語の発端であり、太尉(たいい)の洪信(こうしん)が竜虎山(りゅうこざん)の伏魔殿(ふくまでん)を開き、封じ込められていた天(てんこうせい)36、地(ちさつせい)72、あわせて108の魔王を逃がしてしまうことが述べられる。続く第2~71回は、水滸説話のもっとも古く、かつもっとも人々に愛好された部分であり、魯智深(ろちしん)、武松(ぶしょう)、楊志(ようし)などが梁山泊に上るまでの銘々伝、および晁蓋(ちょうがい)らによる生辰綱(せいしんこう)(誕生日の贈り物)の詐取とこれに引き続く宋江の閻婆惜(えんばしゃく)殺しなどが述べられ、108名の英雄が梁山泊へ勢ぞろいすることをもって終わる。この部分は『水滸伝』の中核である。第72~82回は、宋江が東京(とうけい)で徽宗寵愛(ちょうあい)の名妓(めいぎ)李師々(りしし)と会い、その手引きにより罪を許されて帰順する経緯が述べられ、帰順した宋江らによる遼(りょう)征伐が第83~90回に、反乱軍田虎・王慶討伐が第91~110回に述べられる。この間宋江らは1人も戦死することがなかったが、第111~119回の方臘(ほうろう)征伐に至り、諸将は次々と倒れ、生き残った者も出家、出奔し、東京に帰還したものわずかに27名という惨状を呈する。最後の120回ではこの27名の結末が語られる。[大塚秀高]

成立

『水滸伝』は長編小説の形式をとってはいるが、その実、短編を寄せ集めたものにすぎない。『酔翁談録(すいおうだんろく)』には宋代の朴刀(ぼくとう)・桿棒(かんぼう)話本の演目として、「青面獣(せいめんじゅう)」「花和尚(かおしょう)」「武行者(ぶぎょうじゃ)」「李従吉(りじゅうきつ)」「徐家落草(じょけいらくそう)」などがみえる。これらを緯糸(よこいと)に、『宣和遺事(せんないじ)』にみえる晁蓋・宋江説話を経糸(たていと)とし、これに当時元曲として演ぜられていた水滸劇をも取り入れ、「官逼民反(かんひつみんぱん)」の大義名分を林冲(りんちゅう)に体現させ、初期『水滸伝』は成立したものと推定される。その時期は元末とも明初ともされ、編者には施耐庵(したいあん)、その協力者ないし後継者として羅貫中(らかんちゅう)が擬されている。近来施耐庵の墓碑銘、家譜なども発見されているが、その真偽のほどはさだかではない。こののち、嘉靖(かせい)年間(1522~66)までには征遼部分を含めた100回本が、明末には田虎・王慶の挿話を加えた120回本が刊行された。しかし『水滸伝』は盗賊の物語であり、支配者とくに征服王朝の清(しん)にとってはまことに不都合なものであった。たびたび禁書とされたゆえんである。この風潮のなか、明末清初の批評家金聖嘆(きんせいたん)が先の第1回を楔子(けっし)(序)とし、71回までをとって70回とし、108名が皆斬首(ざんしゅ)されるのを盧俊義(ろしゅんぎ)が夢みる一段を書き足した70回本を刊行するに及び、これが他を圧して流行したのである。[大塚秀高]

影響

続書のなかでは、明末清初の逼塞(ひっそく)した政治状況を反映した陳忱(ちんしん)の『水滸後伝』がもっとも優れる。兪万春(ゆばんしゅん)の『蕩寇志(とうこうし)』は盗を懲らさんとする意図が勝ちすぎ、評価は高くない。日本では岡島冠山の『通俗忠義水滸伝』以来、多数の翻訳がなされ、江戸後期の読本(よみほん)に多大な影響を与えた。その代表としては建部綾足(たけべあやたり)の『本朝水滸伝』、曲亭馬琴(ばきん)の『南総里見八犬伝』があげられよう。[大塚秀高]
『吉川幸次郎・清水茂訳『水滸伝』全15冊(岩波文庫) ▽駒田信二訳『中国古典文学大系28~30 水滸伝』(1967~68・平凡社)』

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