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時代物【じだいもの】

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

時代物
じだいもの
人形浄瑠璃歌舞伎作品の一分類。世話物 (せわもの) に対する称。歌舞伎では時代狂言ともいう。その作品の時代背景,主要人物の社会的地位による分類で,時代的には江戸より以前の史実に基づき,百姓町人より上の階級である武士僧侶公卿などの人物を中心とした作品をいう。狭義には近世以前の武将の事跡を脚色したものをさすが,広義には平安時代以前を扱った王朝物 (王代物) ,大名の家督争いを主題とした御家物をも含める。また『新うすゆき物語』など,御家物を加味した3巻形式の時代物を「時代世話 (物) 」と称することもある。明治 10年代以後に特に歴史的事実や時代考証を重視して作られた作品を活歴物 (かつれきもの) といい,これも時代物のなかに包含する。演出上からは,世話物に比べて様式性が強い。

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知恵蔵

時代物
時代物とは、江戸時代公家や僧侶、武士階級に起きた出来事を劇化する時に、時代を中世以前に置き換えた幻想性の濃い歌舞伎脚本。平安朝以前に置き換えた脚本は王代物とも言われる。興行の一番目に上演されるため一番目物と言う。世話物は町人社会の出来事を素材にした、写実的で現実性の高い歌舞伎脚本。二番目に上演されたので二番目物とも言われる。鶴屋南北が得意にした生世話(きぜわ)は、下層社会の人々の生活実感を描いた、当時の現代劇。生とは、生粋や純粋という意味。「仮名手本忠臣蔵」のように、時代物の中に勘平切腹のような世話味の濃い部分を含む脚本を時代世話とも言う。
(山本健一 演劇評論家 / 2007年)

出典:(株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」

デジタル大辞泉

じだい‐もの【時代物】
長い年数を経てきているもの。年代物。「時代物の時計」
演劇・映画・小説などで、主に江戸時代以前を扱ったもの。まげもの。
浄瑠璃歌舞伎で、江戸時代以前の公卿・僧侶・武家などの社会を題材としたもの。王代(おうだい)物御家(おいえ)物も含む。一番目物。⇔世話物

出典:小学館
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とっさの日本語便利帳

時代物
歌舞伎や人形浄瑠璃で、武士、貴族、僧侶など支配階級の人物を扱った狂言。「義経千本桜」「絵本太功記」「伽羅先代萩」など。「曽根崎心中」「新版歌祭文」など町人、農民の生活を描いたのが世話物。さらに、これらをより写実的にしたものを生世話(きぜわ)、、狂言から取材し、能舞台を模したものを松羽目物(まつばめもの)という。

出典:(株)朝日新聞出版発行「とっさの日本語便利帳」

世界大百科事典 第2版

じだいもの【時代物】
人形浄瑠璃,歌舞伎狂言の分類の一つ。江戸時代よりも古い時代のさまざまな事件を題材に扱って仕組みの骨格(〈世界〉)とし,人物の名も歴史上知られている名をそのまま(あるいは一部をもじって)使う狂言である。当代の市井町人社会を題材とする世話物に対して,公卿や武家の社会を扱うが,時代物でも世話の場面が含まれるのが通例。近代以降に創作された史劇である活歴物も含まれる。時代物のうち,とくに王朝時代の公卿の社会を扱った狂言を王朝物(王代物)と呼んで区別することもある。

出典:株式会社平凡社
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大辞林 第三版

じだいもの【時代物】
時代を経たもの。古物。 -の時計
明治時代以前の事柄に取材した演劇・映画、また文学。時代劇。髷物まげもの
江戸時代以前の武将の事件・事跡を題材にした歌舞伎・浄瑠璃作品。広義には、源平時代以前の公卿世界を扱った「王代おうだい物」を含む。世話物とは異なる演出・演技術を伴う。 ⇔ 世話物

出典:三省堂
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日本大百科全書(ニッポニカ)

時代物
じだいもの
人形浄瑠璃(じょうるり)、歌舞伎(かぶき)脚本の一種別。江戸期からみて通俗史上の事件に取材し、武家・貴族・僧侶(そうりょ)など上層階級の人物がおもに活躍する作品をいう。江戸時代の市井の事件に取材した世話物に対する語。狭義には『義経千本桜(よしつねせんぼんざくら)』『本朝廿四孝(ほんちょうにじゅうしこう)』『絵本太功記(えほんたいこうき)』など、源平時代から大坂冬夏の両陣に至る武家時代を題材にしたものだけを時代物とよび、『菅原伝授手習鑑(すがわらでんじゅてならいかがみ)』『妹背山婦女庭訓(いもせやまおんなていきん)』など平安朝以前の事件に取材したものを王代(おうだい)物、『伽羅先代萩(めいぼくせんだいはぎ)』など江戸期の大名の事件を脚色した作をお家物と分けてよぶこともある。舞台に金色の襖(ふすま)の御殿の場面が出ることが多いため、金襖(きんぶすま)物という俗称もあり、一般に時代物の場面、扮装(ふんそう)、演技は様式的であるのを特徴とするので、「時代な台詞(せりふ)回し」「時代な演出」「大(おお)時代(とくに古風で誇張の多いこと)な場面」などと形容詞のように使われもする。[松井俊諭]

出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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精選版 日本国語大辞典

じだい‐もの【時代物】
〘名〙
① 長い年月を経過した物。古びた物。古物。年数物(ねんすうもの)
※浮世草子・好色二代男(1684)三「紅梅染の手拭掛は、信長の時代(ジタイ)物」
※抱擁家族(1965)〈小島信夫〉二「彼は俊介に時代物の小さな扇風機をかしてくれた」
② 浄瑠璃・歌舞伎で、江戸時代以前の武家社会に題材をとった作品をいう。一番目狂言。時代事。⇔世話物
※滑稽本・東海道中膝栗毛(1802‐09)四「女方の阿仏、立役の親行、十六夜日記(いざよひのにき)、東関紀行の類、世に行るる多なれど、皆下役者の時代物、聾桟敷の耳遠きをいかにせん」
③ 演劇・映画・小説などで、江戸時代、およびそれ以前の時代を題材とした作品をいう。まげもの。
※蝴蝶(1889)〈山田美妙〉序「時代物に必ずその時代の言葉を用ゐるといふことは」

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