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星雲【せいうん】

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

星雲
せいうん
nebula
雲や煙のようにみえる星間ガスの塊からなる天体。近くの恒星の光を反射して輝くものを反射星雲,星からの紫外線で励起されたガスが赤い光を出して輝くものを電離ガス領域あるいは発光星雲という。オリオン大星雲はこれらが混然となって輝いている状態にある。低温のガスに含まれるちり(星間ダスト)によって背後の星が隠されて黒い雲のようにみえるものを暗黒星雲(分子ガス雲)と呼ぶ。オリオン大星雲に重なってみえる馬頭星雲や,南天の天の川の一部を隠す石炭袋がその例である。暗黒星雲は星形成の母体となり,生まれたばかりの高温の星によって周囲のガスが照らされて,反射星雲や電離ガス領域(発光星雲)が出現する。
これら銀河系内に漂う星間ガスの雲と異なり,恒星が起源となって輝いている星雲もある。小質量の星が進化の最終段階で吐き出したガスが,中心星の光で励起されて輝くものを惑星状星雲といい,こと座の環状星雲などがその例である。大質量の星が超新星となって爆発し,衝撃波によって周囲の星間ガスが高温に熱せられて輝く超新星残骸も星雲の一種で,はくちょう座の網状星雲がその例である。
かつては銀河を銀河系外星雲と呼んだ時期もある。今日でもアンドロメダ銀河をアンドロメダ大星雲,マゼラン銀河をマゼラン雲と通称する。同様に星団も星雲と同列に分類されていた時期もある。これは,眼視や初期の写真観測では銀河や星団と星雲の見分けがつかず,星と区別する意味でまとめて星雲と分類したためで,たとえばメシエカタログNGC星表では,銀河,星団,星雲がいっしょに載っている。しかし現代ではこれら三つの天体は物理学的に別種の天体として区別されている。

出典:ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
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知恵蔵

星雲
光る雲のように見える天体が星雲。銀河系内のガスやが主で、一部太陽系外の銀河。高温の星の紫外線によって周囲のガスが電離し、自ら輝くのが散光星雲(例:オリオン大星雲)。ガス中の塵が星の光を反射・散乱して輝いて見えるのが反射星雲(うん)。星の進化の最終段階に放出されたガスが星の周囲に作る星雲(例:こと座の環状星雲)や、初期の超新星残骸(例:おうし座かに星雲)は惑星状星雲と呼ばれる。惑星状に見えるのでこの名が付いたが、惑星とは無関係。ガス雲中の塵は、背景の光をさえぎって暗いシルエットを作る。これが暗黒星雲で、みなみじゅうじせい座の石炭袋(コールサック)やオリオン座の馬頭星雲などがある。アンドロメダ銀河マゼラン星雲などは星雲状に見えるが、系外の銀河。
(土佐誠 東北大学教授 / 2007年)

出典:(株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」

デジタル大辞泉

せい‐うん【星雲】
雲のように広がって見える天体。銀河系内星雲銀河系外星雲とに分けられていたが、現在では前者を単に星雲、後者を銀河と呼んでいる。星雲は、散光星雲暗黒星雲惑星状星雲などに分類される。→銀河

出典:小学館
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世界大百科事典 第2版

せいうん【星雲 nebula】
雲のように見える天体ということで星雲と呼ばれたが,星雲の中には,われわれの銀河系内の星間物質が光り輝いているものと,銀河系のはるか外側にあって,数十億個から数兆個の恒星の大集団であるものとの二つがあり,前者を銀河系内星雲,後者を銀河系外星雲と呼んでいた。現在では,これを区別して,銀河系内星雲を単に星雲,銀河系外星雲を銀河galaxyと呼んでいる。むろん,銀河系の外にある他の銀河にも星雲は存在し,観測されている。

出典:株式会社平凡社
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大辞林 第三版

せいうん【星雲】
銀河系の中に存在する雲状の天体。ガスや塵からなる。散光星雲・暗黒星雲・惑星状星雲などがある。以前は銀河系内星雲と呼んでいた。
銀河の旧称。銀河系外星雲。

出典:三省堂
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日本大百科全書(ニッポニカ)

星雲
せいうん
nebula
銀河系内にあるガスとダスト(塵(ちり))からなる星間物質が、さまざまな原因で光って見えたり、逆に光を吸収して暗く見えたりするもの。双眼鏡や小型望遠鏡で見ると、星のような点光源とは違ってぼんやりと広がって見える。歴史的な経緯から、単に「星雲」とよばれてきたが、あいまいさが残るので、現在では、各種の星雲の性質を反映した分類ごとにつけられた名称が用いられることが多い。全体を総称する場合には、ガス星雲ということもある。[岡村定矩]

観測の歴史

天体望遠鏡の性能が悪かった時代には、はっきり星とわかる点光源以外の、ぼんやりと淡く見える天体をすべて星雲とよんでいた。星の集まりは星団とよばれていたが、実際には星団であってもぼんやりとしか見えなかったものは星雲とされることもあった。このようなぼんやりとした「星雲」は、彗星(すいせい)(ほうき星)と紛らわしいので、当時のコメットハンターには困りものだった。フランスのコメットハンターであったC・メシエは、1771年から1784年にかけて、彗星と紛らわしいこのような天体103個を収録した『メシエ・カタログ』を出版した。このカタログに掲載された天体はメシエ天体とよばれ、カタログ番号の頭に記号Mをつけて、M31などとよばれる。
 この後1856年には、F・W・ハーシェルの息子のJ・F・W・ハーシェルが、約5000個の星雲と星団を含むGeneral Catalogue『一般カタログ』を出版した。ドライヤーはこれを増補改訂して、1888年に7840天体を含むNew General Catalogue of Nebulae and Clusters of Stars『NGCカタログ』を編纂(へんさん)し、さらに、5836天体を含む二つのIndex Catalogue『ICカタログ』を1895年と1905年に出版した。これらのカタログにある天体は、カタログ番号の頭にそれぞれNGCとICをつけて、NGC224やIC10などのようによばれる。
 その後、NGCカタログやICカタログで星雲と分類された天体には、天球上の分布に大きな違いのある二種類のものがあることがわかった。一つは天の川に沿って分布し、もう一つは天の川を避けるように分布していた。性能のよい望遠鏡で見ると、後者の中には渦巻き模様が見られるものがあり、それらは渦巻星雲とよばれるようになった。
 20世紀初頭になっても、宇宙の大きさとその中での太陽の位置はまだよくわかっておらず、渦巻星雲の正体もわかっていなかった。天文学者の考えには大きく二つのものがあった。天の川は多数の恒星の集団であることは共通していたが、一つの考えでは、太陽はその集団の端にあり、渦巻星雲はその集団の中で星がガスから誕生しているようすであるとした。もう一つの考えでは、太陽は集団の中心近くにあり、その外にも同じような規模の恒星の大集団(島宇宙)が多数あって、渦巻星雲はそれらの姿であるとした。
 1920年に、これら二つの考え方の代表者であるシャプレーHarlow Shapley(1885―1972)とカーチスHeber Doust Curtis(1872―1942)が、アメリカ国立科学院でそれぞれの主張を戦わせる公開討論会が行われた。これは後に、The Great Debate(大論争)とよばれるようになった。ここでは決着がつかなかったが、1923年にハッブルが渦巻星雲(M31)にセファイドとよばれる変光星を発見して論争の決着がついた。セファイドが見つかると距離を測ることができ、その結果M31は天の川恒星集団のはるか外にある島宇宙であることがわかった。
 島宇宙は銀河系外星雲とよばれた時期もあるが現在では銀河(galaxy)とよばれている。天の川恒星集団も一つの銀河であるが、われわれの住む銀河ということで、銀河系とよんで区別している。これに対して、天の川に沿って分布する星雲は、銀河系内の星間物質が光るものである。これらは銀河系外星雲に対して銀河系内星雲とよばれた時期もあるが、現在ではあまり使われない。[岡村定矩]

星雲の分類

散光星雲あるいはガス星雲とよばれるものには、反射星雲と発光星雲がある。反射星雲は、ガスに混じっているダストが近くの星からの光を反射・散乱して光っているものである。発光星雲はH領域(あるいは電離水素領域)ともよばれ、水素ガスが高温度星から放たれる紫外線で熱せられて発光しているものである。低温度のガスが濃く集まっているところは、ガスに混じっている濃いダストが背後から来る光を遮るので、空の上で周辺より暗く(黒く)見える。これは暗黒星雲とよばれる。反射星雲、発光星雲(H領域)、および暗黒星雲は、星間物質の分布状態とそれを照らす星との関係によって、星間物質が可視光で異なった見え方をするものに対してつけられた名前であるので、星生成領域ではそれらが複雑に絡み合って共存しているようすがよく見られる。
 惑星状星雲は、低質量星の進化の最終段階で星から噴き出されたガスが中心の高温度星からの紫外線に照らされて光るものである。また、大質量星の進化の最後に起こる超新星爆発で吹き飛ばされたガスが光っているものは超新星残骸とよばれる。
 それぞれの星雲についてのより詳しい説明は、当該項目を参照されたい。[岡村定矩]

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精選版 日本国語大辞典

せい‐うん【星雲】
〘名〙 雲のように見える天体。銀河系内のガスや宇宙塵が光って見えるものを銀河系内星雲(または星雲)といい、散光星雲、暗黒星雲、惑星状星雲に分ける。銀河系外に存する小宇宙を総称して銀河系外星雲(または銀河)といい、楕円星雲、渦巻星雲、不規則星雲などに分ける。星霧。ネビュラ。〔改訂増補哲学字彙(1884)〕
※基督信徒の慰(1893)〈内村鑑三〉一「此地球が未だ他の惑星と共に星雲(セイウン)として存せし時」

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