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方言周圏論【ほうげんしゅうけんろん】

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

方言周圏論
ほうげんしゅうけんろん
柳田国男が『蝸牛考』 (1930) で唱えた学説で,相離れた辺境地域に「古語」が残っている現象を説明するための原則。文化的中心地において新語が生れると,それまで使われていた単語は周辺へ押しやられる。これが繰返されると,池に石を投げ入れたときにできる波紋のように,周辺からに古い形が並んだ分布を示すというもの。周圏分布をなすものが古層であると解釈される根拠は,言語記号の音と意味の関係が非必然的である点にある。言語現象のすべてが周圏的分布をなすとはかぎらないし,また周圏分布を示しても,周辺で独立に平行的変化をしたのではないかという検討,さらに体系性の観点などが必要であるが,言語地理学において分布から歴史を推定するための原則として最も有効なものの一つである。なお,文字どおりの圏状ではなく,線状の両端にA,中心にBが分布する ABA型分布も本質的に同一である。イタリアの M.バルトリらの新言語学派も同様に古語の辺境地域残存について述べている。

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デジタル大辞泉

ほうげん‐しゅうけんろん〔ハウゲンシウケンロン〕【方言周圏論】
ある言語現象が中央から周辺地域に広まっていく過程は波紋のそれに類似していると考え、波紋の周辺にあたる方言圏のあちこちにかつて中央で使われた共通の古い形がみられると説く柳田国男の「蝸牛考(かぎゅうこう)」によって提唱された方言学理論の一。

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世界大百科事典 第2版

ほうげんしゅうけんろん【方言周圏論】

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大辞林 第三版

ほうげんしゅうけんろん【方言周圏論】
柳田国男が「蝸牛考かぎゆうこう」で唱えた、方言語彙の地理的分布の成因に関する学説。文化の中心地で相次いで新語が生まれ、それが波紋のように周辺に伝播でんぱした結果、同心円状の分布が形成され、発生の古い語ほど外側の遠隔地で見いだされることになると説く。

出典:三省堂
(C) Sanseido Co.,Ltd. 編者:松村明 編 発行者:株式会社 三省堂 ※ 書籍版『大辞林第三版』の図表・付録は収録させておりません。 ※ それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

日本大百科全書(ニッポニカ)

方言周圏論
ほうげんしゅうけんろん
方言の地理的分布はほぼ同心円をなし、文化的中心地付近に新しい言い方が広まり、遠い所に古い言い方が残るという考え方。柳田国男(やなぎたくにお)が『蝸牛考(かぎゅうこう)』(1930)において、カタツムリをさすことばの全国分布をもとに唱えた。近畿とその周辺に分布するデンデンムシ系がいちばん新しい言い方で、その外側に分布するマイマイ系、カタツムリ系、ツブリ系は、この順に古い言い方だと考えた。これは「古語が方言に残る」という形で、江戸時代の学者も気づいていたことである。20世紀初頭にヨーロッパで発展した言語地理学でも同様に考え、このような地理的分布から過去の言語変化を推定する。周圏論的分布は、地方都市に比べて山間部のことばは古めかしいというように、狭い地域のなかでも観察される。ということは、京都以外の都市でも、さらには小さな町でさえも、新しいことばを生み出して周囲に広げる力をもっていることを示す。このように、国土の辺境でことばをどんどん変えると考えるのが「孤立変遷論」である。このほか、発音や文法では、変化の可能性が限られるために、離れた地域で同じ変化をおこすことがあり、このため「逆周圏論」的分布を示すことがある。このように、周圏論は、方言についてさえ万能ではない。しかし、ことば以外の種々の人文現象にも、中央の都市付近に新しい現象が分布することは多くみられ、周圏論は万能とはいえないが多方面に役だつ理論といえる。[井上史雄]

出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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精選版 日本国語大辞典

ほうげん‐しゅうけんろん ハウゲンシウケンロン【方言周圏論】
〘名〙 文化の中心地に発生した新語が、波紋のように周囲に広がり、古語を次第に辺境におしやって、その結果離れた地に語の一致がみられるという、柳田国男が「蝸牛考」で提唱した伝播理論。

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